湿った起爆剤

 YAHOO NEWSに載った11/21付けの夕刊フジの記事によれば、
 NHK、紅白でBSデジタル普及作戦
「NHK紅白歌合戦」の紅白勝敗決定に、初めて視聴者の意見が反映されることになった。BSデジタル受信機を使った双方向サービスで、お茶の間から優勢チームを投票することができるようになる。名付けて「デジタル紅白歌合戦」だ。 
とのこと。
 そしてこの記事の続きにはこう書かれている。
 現在、BSデジタル受信機は165万台普及している。ただ、「視聴者投票を何票分に換算するかは研究中」などとNHKは話しており、当日まで課題は多そうだ。
 私は、この記事からNHKの意図を以下のように推測する。
(1)BSデジタル受信者を増やす。
(2)視聴率落ち目の「紅白」の視聴者層を増やす。
 もっとも、こんなことは誰の目にも明らかではある。だが、果たしてNHKの目論見どおりにことは運ぶのだろうか?

 私の予測は 「否」 である(別に大した予測でもないが)。
 そもそも、BSデジタル放送を受信しようとする人達は、
(1)金銭的に余裕があり、
(2)新し物好き
である。だが、これでは、従来型の「ハードウェアがソフトウェアの上位である」という認識と変わりない。問題は、
「BSデジタル放送が配信すべきソフトウェアとは何か?」 がNHK側には決定的に欠けていることなのである。

 NHKの「紅白」は地上波でもBSアナログでも放映されるのである。それをわざわざ、BSデジタル・チューナーまで購入してまで見ようとする人がどれだけいるのだろうか?
 なるほど、BSデジタルでは、画質が良くなり、音質が向上するという話を聞く(ゴーストに強いのは確かだろうが、その他のことはよく分からない)。しかし、「紅白」に関して、画質や音質が向上することを期待する人がいるとは、とても思えない。というのも、「紅白」を見る側、聞く側が重視するのは「うた」であり、音質を重視などしていないと推測されるからである。また、近年騒がしい「衣装合戦」にしても、別に現行地上波の画質で充分と思われているに違いない(もっとも、あれは視聴者無視でマスコミが騒いでいるだけと思うのだが)。

 更に、年々「紅白」の視聴率が落ちていることも考える必要がある。これはつまり、「紅白は役割を終えた」と考えていいと思う。これに対し、BSデジタル放送は、新しいメディアであり、これが普及するか否かは若者次第と言ってもいい。今や、地上波放送は老人の楽しみの一つだそうだが、テレビが普及し始めた頃、老人が積極的に受像機を買おうとしたのだろうか? もちろん、当時と今とでは受像機の相対的価格が格段に異なるが、若者を差し置いて老人が新しいメディアに積極的になるなんてことが、あり得るはずがないだろう。

 NHKが何かの番組を起爆剤として、BSデジタルを普及させたいという気持ちは、理解できなくはない。しかし、起爆剤として「紅白」を用いようとしていることは、間違いだと思う。
 
 
 
 

 
 

(2002-11-24)

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