責任転嫁するようでは・・・

 報道機関は、9月5日付けのニュースで、ほぼ一斉に「エイベックスの赤字転落」を報じていた。私もウェブ上で幾つか当たってみたのだが、ニュアンスには若干の違いが見られた。概ねスポーツ紙では、エイベックス側の主張通りに、
パソコンを利用した違法コピーの横行が原因だ、
と伝えていたようだ(その一方で、アサヒ・コムやZAKZAKのように、長引く不況も原因に挙げていたサイトもあった)。
 まず、エイベックスの姿勢を批判しておこう。業績が良いときは、 自分たちのマーケティングの優秀さを盛んに吹聴しておきながら、業績不振になった途端に、「CDの違法コピーが悪い」と主張するのは、大変見苦しい。

 次に、問題の「CDのコピー」についてである。そもそも、中高校生あたりが聞きたいCDを全部買えるわけがなかろう。私が高校生の頃だって、レコードの貸し借りは行われていたし、レンタル・レコード屋を利用したりもした。今現在ミュージシャンを生業としている人たちだって、高校生の頃はレコードあるいはCDを貸し借りしていたに決まっている(まあ、音楽にまったく関心が無かったという人は別だが)。
 もしも、レコード会社側が、中高校生に対して「CDの貸し借りまでは良いが、ダビングは一切駄目だ」などと主張するのであれば、CDの価格を下げるべきである。世の中はデフレにより物価は下落している。確かに、CDの価格も下がってきてはいるが、子供の小遣いに見合っているとは言えないのではないか。

 そもそも、CDの売り上げが高かった90年代半ばにおいても、MDやカセット・テープといった、音楽を複製する機材は存在していた。そういった事実を故意に無視して、「最近は違法コピーが横行して」などと言って欲しくない。もしも、言うのであれば、統計データ(一枚CDが売れるごとに、平均で何枚のコピーが作られるのか)を示して欲しい。まあ、半ば冗談であるが。

 もう一点、エイベックス側の主張の問題点を指摘しておこう。彼らが「CDの違法コピー」を問題にするならば、CDを貸し出す側をも非難しなければ、不公平である。レンタルCD店が存在すれば、借りる側が発生するのは当然である。確かに、レンタルCD店は、CDのコピーを奨励はしていない。しかし、借りる側の目的は百も承知で貸していることなど、明々白々である。まさか、「CDをレンタル屋で借りる人たちは、又貸しをしたり、他人にコピーを渡したりはしないのだ」とでも主張するのだろうか。

 ところで、私は何も他人に対して「CDは買わないでもよろしい。借りてコピーしろ」と奨励する気は毛頭無い。懐に余裕がある人は買えばよろしい。ただ、あまりにもレコード会社側の主張が偏っているのと、企業批判はしないで個人批判だけをするという、相も変らぬ日本の状況を目にしたから、批判したまでである。

 
 上記のエイベックスの主張に対する反論として有力なのが、
(1)CDの売り上げが落ち込んでいる原因は「不況」のせい 
(2)魅力ある楽曲やアーティストを提供できないから、CDの売り上げが落ちたのだ
の2点である。(2)には、子供というターゲットしか考えていない、偏ったマーケティングというのも含まれるであろう。私としても、これらの意見は妥当であると思っているが、敢えて問題を提起したい。すなわち、
 そもそも、日本国内でミリオンセラーが年に何10枚も出現することが、本来の姿だろうか。
 である。つまり、それほどみんな音楽に関心があるのだろうかということだ。多くの人は、付き合いがあるからという消極的理由でCDを買っていた層に属するのではないのか。敢えて嫌味な言い方をすれば、
接待ゴルフの代用品たるカラオケあるいはCDに過ぎなかったのではないか。
 であるからして、他の「ツール」が見つかれば、そちらに流れるのも当たり前のことなのである。
 
 

 

 
 

(2002-9-8)

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