「本当の学力をつける本」
という本がベストセラー(公称25万部)だそうだ。新聞に載った宣伝文句は以下の通りである。
(1)進学塾もない山あいの小学校の卒業生が超難関校に続々合格したのはなぜか
(2)ただ「読み書き計算」の反復練習が、10年後に結果を出した。
私はこの本を読んだことがないので、批判をすべきではないのかもしれない。しかし、上記の宣伝文句を読んだけで、
そんなうまい話があるわけないだろ
と少々憤ってしまったので、ここに書いているわけである。
ところで、「本当の学力とは何ぞや。大学入試では計れないものではないのか」という意見があるのだが、ここではその点には踏み込まないでおく(ややこしくなるから)。難関校合格=学力ありと仮定しておく。
まず(1)なのだが、
小学校時代にどんなに素晴らしい教育を受けたとしても、中学、高校で怠ければ、難関校に合格できなくなることくらい、誰だって分かりそうではないか。
いや、(2)に「10年後」とあることからして、著者は小学校3年生あたりを担当しているようだが、そうなると、小学校高学年期の教育の質だって関係してくる。とにかく、決して、特定の時期の教育者だけの手柄に帰するべきものではないだろう。
2番目に、「続々合格した」とあるが、それは何年に渡って続いた現象なのだろうか。そして、超難関校に合格した卒業生は、結局何人いたのだろうか。例えば、1年限りでは「一過性の出来事」と見なすべきかもしれないではないか。それから、現役と浪人の区別は、といった疑問もある。
3番目は(3)についてである。「読み書き計算」(さすがに「そろばん」とは書いてない)などという宣伝文句は、老人達から賛同されることを期待したのかもしれない。要するに、親ではなくて祖父母に訴えたかったということだろう。まあ、そういう面を置くとしても、
小学3年生あたりで、そういった反復練習をしている児童は、何もこの本に取り上げられた「元児童」だけではなかく、全国中にいることであろう。
つまり、大した特徴とも思えないのである。
結局、この本の宣伝文句は、巷によくある類の、「論証不充分な仮定だが、それに基づいた本」であることを宣言しているに過ぎないのである。そりゃあ、出版するのは自由だけどね。でも、買う側も賢くならないといけませんな。まあ、「本当の」というタイトルだけで眉唾ものという法則もありますが。
ところで、この本のパロディが幾つか作れるように思うのだが、いかがであろう。
進学塾もない小学校の卒業生が続々と超難関校に合格したのはなぜか
◆学校給食に秘密があった
◆地元を流れる川の「水」に秘密があった
◆特別製の機材を使っていた
◆地元の森林のマイナスイオンが・・・
◆地元に祭られる神様の
いや、もっと期待したいのは、その学校で高学年を担当していた先生が本を出すことである。
あれは、私の教育の賜物だ。
互いに手柄を主張しあって泥仕合。楽しそうですな。
(2002-7-14)
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