「様々なる位相」にも書いたことだが、何日か前の朝日新聞朝刊に、
日本人の印象一新
と題した特集記事が載っていた。これは、サッカーW杯に関連して、外国の新聞の日本人に対する印象が良くなったことを報じたものである。もっとも、好意的に書かれている記事だけを選んで取り上げている可能性も捨て切れないから、本当のところはどうなのか分からない。
この特集記事には多くの問題点があるのだが、ここでは敢えて重箱の隅をつつくようなことをする。それは何かというと、中国のある新聞記事に関してのことである。そこでは、
「日本の高音多湿の気候の中で欧州の選手がプレーするのはキツイであろう」
という主旨のことが書かれていたそうだ。ところが朝日の記者は、この記事に関して、
というのもあるが、これはやっかみであろう。
として、あっさりと退けているのである。
この記者がもしも、「それが『地の利』というもの」だとか、「ホーム&アウェイという問題は仕方がないのではないか」と書いていたならば、別段構わないと思う。問題なのは、この記者が(記事の)論旨を「やっかみ」という感情論に引き寄せたことなのである。
こういう記事を読むと、「外国人から見ても、日本人は良い人達だ」という命題を証明するために躍起になっている姿が想像でき、何だか哀れにも思えてくる。
しかし、これで終わっていれば、私は本稿など書きはしなかった。それを覆させたのが、今日(6/30)付けの朝日新聞の記事である。それは、日米大学選手権の第一戦を報じたものであり、
日本、アウェイに戸惑い
という見出しが掲げられていたのである。本文の論調も、「敗因は、日本選手達が米国の芝に不慣れだったから」、のように読める。
一方では、「地の利は言い訳にすべきではない」と主張しておきながら、他方では、平然と地の利を言い訳にしている。確かに書いた記者は別人だし、新聞社の社員が皆同じ意見の持ち主ではなかろう(皆同じ意見では、あまりにも気持ち悪い)。しかし、この2件の記事は、結果として自国に甘くなっている。その共通性に関し、私は非常に気味悪さを感じるのだ。
ところで、こういった記事が新聞に載るのは、ナショナリズム云々というよりは、経営上の理由からなのだろう。朝日新聞は、社説などでは政治家を批判するが、一般国民に対しては殆ど批判しない。何故なら、そんなことをすれば購買者が減るからである。つまり、日本選手に批判的な記事を、読者が読みたくないので、こういった記事が新聞に載るとも考えられるのである。もっとも、W杯に関しては、朝日新聞社が後援しているという事情もあるのだが。
いずれにせよ、
「マーケティングはジャーナリズムより強し」
なのだろう。あーあ(タイトルはこれから来ている)。
さて、ここまで書いてきて、ふと思ったのだが、この記事を読んで不快になった私が、朝日新聞の購読を止めるかというと、そんなつもりはないのである。批判的な投書を送るつもりもない(これには意味が無いということもある)。まあ、自己嫌悪がひどくなるだけのことである。
(2002-6-30)
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