12/29の朝日新聞朝刊には、同紙の10/20付け朝刊に載った投書が再度取り上げられている。テーマは「あったらいいな嫌言権」、つまり乱れた日本語を嫌悪する権利とのこと。その程度の権利はあると思うのだが。
例として挙げられたのが、あるアナウンサーが木造家屋を見て、「家が木とかしてるじゃないですか」と発言したことである。
投書の主は「とか」が曖昧で嫌いらしいのだが、このアナウンサーの発言は、「とか」を抜いてもまだ変なのである。「家が木してる」とは一体如何なる意味か。「木する」などという動詞がいつ作られたのか(造語はあって良いと思うが)。
ところで投書の主は、後日「あれは『家が木と化しているじゃないですか』という意味で言ったので、誤りではない」と言われたこともあったのだとか。だが、これも妙な見解である。もしも、自分がその家の持ち主だったとして、「家が木と化している」などと表現されたら、心中穏やかではなくなるだろう。もっとも、私はひねくれ者なので、「家が木(を)溶かしているとは何事か。我が家は塩酸か」と怒るであろう。
実はここからが本論である。上に書いた記事が載った傍に、鈴木健二元NHKアナウンサーのコメントが載っており、それに対して引っ掛かりを覚えたのである。
◆「最近のアナウンサーの言葉は、聞くに堪えないの一言に尽きます」
そう思うのも無理からぬ所があるので、これはいい。
◆「NHKは文化の礎をつくっているのです」
元NHK社員の鈴木氏からすれば、愛社精神の発露なのだろうが、それにしても傲慢である。「礎」とは、つまり最も大事な部分の形成者がNHKだ、と言いたいのだろう。しかし、民放だろうがNHKだろうが、文化の担い手である点においては優劣はないはずだ。官尊民卑の思想がここに現れている。
◆後輩への助言? 何を措いても、本をお読みなさい。それも一流の作品を。
若いアナウンサーに対して、「本を読め」ということ自体はいいだろう。話し言葉と書き言葉という差はあるけれども。問題なのは、「しかも一流の」などと言っていることである。一体、何を基準に線を引くのだろうか。
このコメントを読むと、どうもこの人は「権威好き」であるように思えてくる。NHK然り、一流の本然りである。それも仕方がないか。その昔、クイズ番組の司会者として、解答者に「さあ書きなさい」などと言っていたオッサンなんだし。
(2001-12-29)
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