統計学は、本格的に取り組むと非常に難しいものだと思うが、世の中では非常に多く使われていることは間違いないだろう。例えば、テレビの視聴率、CDの売上げ、世論調査などはサンプリングと呼ばれる手法を使っており、これは統計学の知識無くしては、意味の無い数値が出てくるものである。
サンプルデータが5個程度だと結果を疑うことがあるが、これが「統計学に基づいた云々」と言われ、実際サンプルが数100個もあったりすると、つい導かれた結果を信用してしまう。これは、私が特別だからではなく、多くの人がそうなのではないかと思うのだが、どうだろうか。
ここで、統計学を信用するな、などと主張するつもりは毛頭無い。問題だと思うのは、それを利用する側なのである。特に最近私が気になっているのは、世論調査である。
もう一月以上前のことだが、あるTV局系の調査期間が発表した内閣支持率を見た。そして私は、どうも納得しがたい点があることに気付いた。
第1が、回答依頼者数が1200に対して、有効回答数が650弱だったことだ。有効回答率に直せば約54%である。こんな調査が本当に正確と言えるのだろうか。
他の例を考えてみよう。統計を活用する業種として生産現場があるが、出荷検査において、有効な数値が得られるのが54%だったとする。仮にそんな事態に陥ったならば、検査工程自体が疑われるだろう。ましてや堂々と発表したりせず、まず原因調査に入るだろう。
もちろん、世論調査と生産現場での検査とを同じ土俵に載せることが無意味だという意見があるかもしれない。だが、本当にそうだろうか。逆に、世論調査において56%もの無効回答が出現したことの意味が問われなければならないのではないか。
まず、無効回答とは一体いかなる「回答」だったのであろう。ここでは電話による調査だったとしてみると、今思い付くのは、以下の3通りのケースである。
(1)電話をかけたら留守だった。
(2)協力を要請したら、いきなり電話を切られた。
(3)内閣総理大臣が誰だか知らなかった。
(1)のケースを、一々サンプル数に含めるとは考えがたいから、残る(2)、(3)が「無効回答」に相当するのだろう。しかし、(2)は、世論調査そのものへのアンチであるかもしれないし、(3)は政治そのものを見捨てている可能性もある(言い悪いは別として)。
以上(1)〜(3)は、私の勝手な憶測に過ぎない。しかし、無効回答を切り捨てて、内閣支持率がどうだと言ったところで、世論操作以外の意味を持つとは考えがたいのである。
(2001-12-23)
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