無価値な取材から得られるものは 

 YAHOOニュースというウェブサイトに、夕刊フジの記事が載っている。さる10月12日には、森田健作代議士への取材記事が載っていた。私からすれば、この組合せからして、ヘンな意味で期待出来たのだが、掲載された中身は、やはりと言うべきものであった。
 まずは見出しだが、
森田健作吠える!自衛隊派遣は当然
となっていて、まあ、本当に吠えるように言ったのか定かではないが、まあ意見としては認めよう。問題は本文である。

その1:「平和とか安全は誰もが望むもの。しかし、黙っていれば転がり込んでくるものでもない」と力説、「報復攻撃をしなかったとしても再び同じことが繰り返されかねない。それがテロだ」と断言する。
 まず、「平和や安全を誰もが望んでいる」という前提が、私には納得できない。兵器産業の経営者はどうなのか。あるいはそういった業種の株を買う人は。それから、軍隊だって、平和だと存在意義が薄れてしまうぞ。

その2:(自衛隊派遣問題に絡んで)「憲法改正については、国民の7割が理解を示している。いい機会だし、国民投票で問うこともいいんじゃないでしょうか。小泉首相は支持率も高いし、国民に訴えるべき。
 この代議士センセイは日本国憲法を読んだことがあるのかね。憲法の改正は、国会議員の2/3以上の改正で発議」するのが第1段階だ。国民投票はその次の段階だろうが。首相の支持率が高いからやっちまえ、というのも乱暴だし。まあナチスの台頭の背景についても、この人何も分かっていないのだろうな。

 その3:青少年に作法を指揮する森田塾を開講するなど、和を尊ぶ森田議員。「控えめで、話し合いで済まそうというのが日本人の美徳だったが、それだけでは済まないこともある。
 「指揮」という行為のどこが「和を尊ぶ」のだろうか。それは、上からの押し付けによる「和」であって、森田センセイは「和」の一員ではない。つまりは、どこかの共産党政権となんら変わりない。
「話し合いで済まそうというのが日本人の美徳」とは、恐れ入る。「話し合いが出来ず、ナアナアで済まそうというのが日本人」という見方の方が、的を得ていると思うが。さらに、話し合いで解決せず、強行採決するのが自民党の得意技であって、これに対して森田センセイはどう思っているのか、意見が知りたいものですな。

その4:異論はあるでしょうけど、日本に失われつつあるのがナショナリズムだと思う。やはり国際社会の中で、日本人としての誇りを持てるようにしないと・・・」
 大いに異論がある。日本でもナショナリズムは最近復活しつつあると思うから。でなければ、「つくる会」なんかが、あれだけマスコミで脚光を浴びることもなかっただろうし。そもそも、国際化時代に、ナショナリズムなんて無用の対立を生むだけだと思うが。
 しかし、ナショナリズムが大切というのなら、イスラム原理主義に対しても、少しは理解を示しても良さそうなものだが、この人はそうでは無いらしい。ちなみに、私は原理主義には共鳴できないが。

 それにしても、この記事を読んでも、さっぱり分からないのは、「森田センセイは、自衛隊はどのような活動をすべきと考えているのか」という点である。だが、それに関しては、取材した側にも問題があるのかもしれない。要するに、取材した側としては、森田センセイが、それこそ「吠えて」くれることだけを期待しており、難しい議論などして欲しくなかったのではないか。つまり、相手は代議士ではなく芸能人だ、という意識のまま取材したように思えるのだ。

 そもそも、自民党の議員を取材すれば、十中八九「自衛隊の派遣は当然」と答えるのであって、その程度ではニュースとしての価値などない。それでも、上記の大ボケ発言が得られたという点では、個人的には暇つぶしに役立ったわけで、多少は価値があったとは思う。だが、本来森田センセイに聞くべきことは、例えば以下の類である。
 この前の選挙の時、自民党の公認を受けられなかったことで、相当自民党を非難していたけど、この前あっさり復党したのは何故か。有権者をコケにしているとは思わないのか。
 

(2001-10-13)

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