世の中にパソコン用ソフトというのは沢山あるが、存在意義を疑う類のソフトがあって、それは
「翻訳ソフト」 である。自分で買ったことはないものの、筆者も過去には、体験版を試したり、フリーウェアを使ったことはある。また、ネット上での翻訳サービス(良く知られているのが、Exciteというポータル・サイトのサービスである)を試したこともある。そのどれもが、筆者にとっては満足の行くものではなかった。つい最近も、会社の同僚が使った結果を見たことがあるが、昔と似たり寄ったりの結果であった。すなわち 「誤訳が多いし、日本語として意味が通らない訳になっていることが殆ど」 なのである。だが、一方では翻訳ソフトへの需要は少なからずあるのだろう。そうでなければ、何度もバージョン・アップされるはずもない。従って、着実に売れている類のソフトであることは確かであろう。 「よくまあ、あんな代物を我慢して使っているなあ」 これが最近の筆者の感想である。今では使ってみようとさえも思わない。
ところで、翻訳ソフトがかようなレベルである場合、大きな矛盾が生じる。ここでは英日翻訳に限って話を進める。 翻訳ソフトを必要とする人は、英語力が無いから必要なのである。ところが、日本語として意味を成さない訳が多出する場合、改めて英文を読みながら和訳する羽目に陥ってしまう。辞書を引く手間が省けるわけでもないし、面倒なことには何も変わりが無い。 逆に、英語力がある人にとって、そのような翻訳ソフトは無用な代物である。初めから自分で訳すだろう(ただし、和訳の文書化が必要な場合であって、英語力のある人は、一々和訳などしないはずである)。 つまり、必要な人にとっては役に立たないし、必要でない人は手を出さないソフトなのである。こんな矛盾した商品に、ある程度の需要があることが、これまた不思議である。その背景を考えて見ると、 「もしかしたら役立つかもしれない」、と思う消費者の心理が働いているのかもしれない。バージョンアップ版ならば、「今度こそは満足できるかも」という心理である。あるいは、「わらにでもすがりたい」という心理か。
そういえば、パソコンの雑誌に、時々翻訳ソフトのレビューが載ることがある。そこには、悪いことは殆ど書かれていない。書かれていても、マウスの操作性が悪いとかその類であって、決して翻訳結果のレベルには言及しないのである。ライター達は、本当に使ってみてレビューを書いているのだろうか。
ところで、以上のようなことを書くと、
「それは技術文献特有の用語があるからじゃないの?」 という反論が返ってきそうである。確かに、筆者が英文に接するのは、技術文献であることが圧倒的に多い。そして、技術用語は、件の翻訳ソフトは、かなりの確率で間違って訳してしまう。だが、それを割り引いても、誤訳が多いと思うし、いずれにしても、役に立たないことには変わりない。 第一、専門性云々を言い出したら収まりがつかないのではないか。英字新聞の見出しは独特だし、経済には経済用語、科学には科学用語、音楽には音楽用語がある。誰もが教科書的な文章を読むわけではないのだ。
(追記) 思い出したのだが、上記のパソコン雑誌には、海外サイトを読むために翻訳ソフトが役に立つようなことが書かれていることが多い。これは、事実なのだろうか。特にショッピング用サイトでは、定型化した英文が多いだろうから、役に立つかも知れない。
(2001-9-15)