去る7月29日に参議院選挙が行われたが、その結果はマス・メディアが盛んに報じているから、ここで敢えて繰り返すことはしない。それよりも、当日の夜のTV番組について述べることにする。
<以下敬称略>
夜の8時になると、テレビ東京を除いた在京キー局が、一斉に選挙特番を始めた。日頃からあまりTVに熱心ではない私にとって、そのこと自体は別に構わない(実際、当日はザッピングしながら見ていた)しかし、8時になってすぐに、出口調査の結果を発表したことは、興ざめでだったと思う(しかもこれが、かなり正確な予測だったので、尚更だ)。あれは、「我々は正確な統計調査手法を確立しているんだ」、という自慢話に過ぎないのではないか。なんでも、この出口調査には数億の費用が掛かっているという。何処の誰が、そんな金をかけてでも調査して欲しいと言ったのだろうか?
<<これは企画として良いぞ>>
そう思ったのは、東京MX−TVである。他のTV局の報道の様子をバックで流しながら、司会者とゲストが、マスメディアと政治の関係についてあれこれ問答するという形式であった。この斜に構えた姿勢は個人的に好きだ。ゲストは全部で5人招かれたが、そのうち外国人が3人混じっていたことも評価出来る(ただし、そのうちの一人はロクでもなかったが)。他のキー局の報道が単なるレース中継に終始し、「グローバリズム」云々を言いながら、日本人しか出演しなかった(テレビ東京は違うか?)ことと比較して、遥かに工夫されている。また、東京ローカル局でありながら、都知事をゲスト出演させるという安直な企画を避けたことも評価していいだろう。
ただし、MX−TVにも問題が無かったわけではない。女性司会者が、コメントの途中で割り込んだりすることが多く、聞き苦しかった。「時間に追われているから」、という理由を理解できなくはないが、それが今のTVの最も駄目な点でもあると思う。
<<あきれたTV局>>
その最たるものは日本テレビであった。8時台に「風水から見た選挙対策」なんて企画をやるのは、幾らなんでもふざけている。この時間帯、普段なら「特命リサーチ」をやっているはずではないか。よりによって、そんな時間帯に「風水」を持ち出したということは、そもそも、普段からTV局のポリシーが無いと言われても仕方あるまい(ポリシーが視聴率主義であったとしたら、尚更、こんな企画を出すべきではなかったのである)。その他にも日本テレビに対しては述べたいことがあるが、省略する。
<<あきれた文化人・議員達>>
(1)社民党から立候補して当選した田嶋陽子。構造改革について聞かれ、サッチャリズムについては、「当時イギリスに留学してましたが、(サッチャーの政策に対しては)初めは反対が多かった。しかし、何年かたって盛り返したでしょ」、と答えていた。ところが、後に「私はサッチャーを称えていない」などと言うものだから、ややこしい。さっきの発言は、誰が聞いても「サッチャー礼賛」である(程度は別にして)。それから、サッチャリズムが社民党の提言とは180度異なることだって、ものを知る人間なら誰でも分かる。なのに、何故社民党の比例区から立候補したのか。さっぱり分からない。
そして、サッチャーを称えない理由として、「サッチャーはフェミニストではないから」、などと言うに及んでは、もう開いた口がふさがらなかった。全くの筋違いである。あくまでも論点は、「サッチャリズム、すなわちサッチャーの政治経済政策に対する評価」であったはずだ。
(2)何故だか、あの鈴木宗男がフジテレビに出演していた。争点はここでも構造改革であったが、この人「ペレストロイカが失敗に終わったように」などと言い放ったのである。ところが、民主党の岡田克也が、旧ソ連でのペレストロイカを評価するという意味の発言をしたところ、途端に鈴木宗男は、「いや、私はロシアのペレストロイカを言っているんじゃなくて」、と意味不明のことを言い出す始末。修飾語を抜きで「ペレストロイカ」と言ったら、旧ソ連における改革運動を指すのは当然ではないか。こういうのを「語るに落ちた」と言うのだろうか。
それだけでなく、臨席の石原伸晃の腕をつかんで、「大臣!」と、まるで酔っ払いのようなこともやっていた。なんでこんな人がTVに出てくるのかねえ。
(3)テレビ朝日に出演した福岡正行だが、「私は、参議院の存在意義は薄れてきたと思う」、と発言した。その根拠は、「メディアが発達したから」だそうだ。ここでいうメディアとは、CNNというニュース専門局からインターネットまでが含まれるらしい。こういうのを、本来の意味で「ナイーブ」と言うのだろう。この人、ソフトなイメージで、マスコミで活躍しているようだが、イメージで点を稼いでいるところは、小泉首相以上かもしれない。
まず、CNNに関してだが、普及率はどの程度で視聴率はどの程度なのだろうか。在京民放局やNHKに比べて同等以上だとは思えない。ずっと低いのではないだろうか。政治家の発言として世に出るのは、記者クラブを通したものが殆どである現状に対して、何ら批判をせずに、「CNNがある」なんていう発言は、無意味どころか害悪だと思う。そもそも、CNNだって本当に公平な報道をしているのだろうか。
次にインターネットだが、その匿名性をどう考えるのだろうか。ネット上では、ガセネタを流しても責任が問われる可能性が非常に低く、実際問題になったこともあるが、その点について、このセンセイは鈍感のようだ。
(2001-7-30)
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