5月11日の朝日新聞夕刊第6面に、「てくの玉手箱」というコラムが載っていた。筆者は、雑誌「ぱそ」の編集員となっている。
コラムの内容を要約すると、「最近はCD−R/RWの登場により、パソコンで「マイCD」を作れるようになった。今度雑誌で特集を組むので、(よろしければ)読んで下さい」、というものである。まお、ここでの「マイCD」とは音楽CDを指している。ちなみに、大見出しは「世界に一つ マイCDを作ろう」である。
パソコンにある程度通じている人ならば、パソコンとCD−Rドライブを組み合わせれば、自分で音楽CDを作れることくらい知っているはずである。つまり、そういう人にとってこのコラムは無用である。そのことを、くだんの筆者が知らないとは思えないから、このコラムがターゲットとする読者層とは、パソコンにそれほど通じてなくて、かつ音楽好きで、更にMDデッキを持っていない人々あたりだと考えられる。
ところが、このコラムは、そういった人を対象とするにしては、いささか不親切というか筆が足りないのである。紙面の枠という制約も考えられるが、不特定多数を読者に持つという新聞の性格からして、そういう言い訳を通用させてはならないと思う。
では、筆が足りない点を2箇所指摘しておこう。
(1)CD−R音楽専用とパソコン用の2種類があることが書かれていない
音楽CDを自作するには、オーディオ専用機器としてのCD−Rドライブを買うという選択肢もある。そのことに触れないで、パソコン用CD−Rだけが音楽CDを自作する手段であるかのような誤解を与えるのは、フェアではない。実際に試した人なら分かるだろうが、パソコンを使ってのCD制作は結構面倒である。
(2)「パソコンで作製したCD−Rは、どんなCDプレーヤーでも聴くことが出来る」、というのは誇大宣伝である
CD−Rは反射率がCDよりも若干低いため、どんなCDプレーヤーでも再生出来るというわけには行かないのである。最近のカタログには、このことが明記されている(PL法への予防措置であろう)。これは、音楽専用CD−Rにおいても同様らしい。
結局このコラムは、消費者に不公正な情報をもたらしているのである。恐らく、筆者には人を騙すつもりなど毛頭無かっただろう。それに、筆者も新聞編集者も、新聞のコラムに誘惑されてパソコンを買ってしまう人がいるとは思っていないのだろう。その上、最近はCD−R/RWドライブを内蔵したパソコンが極く普通に売られているから、実害は少ないかもしれない。だが、それらを理由に、このコラムを良しとするわけにはいかないのである。
それにしても、どうもパソコン関連の記事には、「読者に過剰な期待を抱かせるもの」が多いような気がするのだが。私の偏見もしくは気のせいだろうか。
(2001-5-12)
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