2001/12/23〜2002/04/04
現在、進行状況は「わらしべ長者、新井式廻轉抽籤器に挑む」の朝のセーブデータから。
このゲームに限ったことではないけれど、セーブデータにタイトルを付けてくれるタイプのゲームは、ファーストプレイだとネタバレになるのが個人的にはちと不満。
夜、寝る前の時点でセーブできればいいんだけど、朝を迎えるまでは、夜が終わったという確信が無いから、ついつい朝目覚めるまでは見てしまうんだよねえ。これも『家族計画』に限った話ではないんだけど。
まあ、中断無しにプレイするのが、一番いいんだろうけどさ。
で、『わらしべ長者』というからには、交換を続けて単純にいいものが貰えていくのかと思ったけれど、選択肢あるんだな、やっぱ。
●選択1 福引きを司がやるかやらないか──【やらない】/【やる】
マウスクリック連打で選択ミスしてしまったとき以外、何らかのエンドに辿り着くまでは、明らかに間違った選択肢を選んだことが選んですぐ分かったとしてもロードしてやり直すことを、ファーストプレイでは私はしないので、慎重に選ばなければならない。
福引きイベントを持ってきたということは、必ず、当たるルートがあるはずだ。
まあ、福引きのときの選択だけで当たるかどうかが決まるとは限らないけれど、家族計画のこのイベントに関しては、ここの2択で決まるだろう。
んー。
司は、自分のことをクジ運が悪いと言っている。それは、ほんとにそうなんだろう。
それは、今回気まぐれで回して当たるような幸運を、司は持ち合わせていないということだ。
たとえ、ゲーム中の仕組まれた空間でも、きっとそれは例外ではあるまい。
司たちが家族計画を始めたことで、司自身の性質は変わりつつあったとしても、本人の持って生まれた属性は変わらないはずだ。
それに、ここで司が福引きをやってしまうと、春花の好感度が上がってしまいそうというのもある。最初は末莉を攻略すると、さっき決めたばかりだ。
というわけで、【やらない】を選択。
> 春花「金玉」
うっしゃ、正解! 司も驚いて吹いてるよ。
> 春花「ツカサ、きんたまが出た!」
ぶっ。
司に遅れること1セリフで私も吹き出す。
「金玉」を文字で見たときは、当たりが出たという意味にしか受け取らなかったけれど、あー、それはそういう発音なのね。
確かに同行している年頃の女の子に、そんなセリフを大声で言われたらビビるよなあ。
何はともあれ、PCをゲット〜。
●選択2 当たったPCをどうする?──【共有化する】/【誰かにあげる】
来た来た来た来た、来ましたよ〜。末莉好感度アップのチャンス!
【誰かにあげる】で更に対象を選ぶ選択肢が出てくるなら問題無し。選択肢が出てこないとしても、冷静に考えて、末莉が対象になる可能性は非常に高い。
一番PCを活用できそうな準とは直前の会話で決着がついているし、真純にはどうあがいてもPCは使いこなせないだろう。
無論、春花と司は対象外。この2人が必要としてれば、そもそも「PCをどうしよう?」という展開になっていないから。
間違っても寛にやるような真似を司はしないだろうし、青葉と末莉の残り2人なら、今の司は末莉を選ぶんじゃないだろうか?
ということで、【誰かにあげる】を選択。
> こういう時、本当の家族だったら。
うんうん。本当の家族だったら?
> 本物の親、本物の兄だったら。
兄だったら?
> こういった新しいモノは。
新しいものは!
> 末っ子に……。
ををを〜〜!!!
> 司「末莉にやるか」
えらい! 司、お前は偉い!!
思わず、モニタの前でガッツポーズを取る。
期待を裏切られないことが、こんなに嬉しいことなんて。1クリック1クリックを、司に問いかけながらやってしまっていたよ。
末莉という選択が、仕組まれていたのか、好感度で決まるのかは、私の知ったことではない。いずれにしたって、それは必然に違いないのだ。
●選択肢3 末莉のおめでたい日──行かない/様子を見に行く
末莉って、まだ、そんな年齢なんだねー。
それはさておき、ここは必然、【様子を見に行く】。
実際の私なら見に行ったりしないけれど、実際の私を忠実に選択肢に反映させていたら、いつまで経っても誰のトゥルーエンドにも辿り着かないし、今の私は「末莉をちょっとだけ気にかけている司くん」なのだ。
しかし……。
> 真純「これもね、司くんが大好きな末莉ちゃんのために、一生懸命バイトをして貯めたお金で買ったのよ」
そー来ますか、真純さん?!
私も司同様、自分がやっていないことを、さも自分がやったように言われるのは居心地が悪くて嫌だ。
末莉が誤解するだろうと言う司に、寛の一言が。
> 寛「させておけ、思わせておけ、好感度上げておけ」
ぐあ……。
このセリフは、司に対してというより、むしろプレーヤの私に向けられているのは明白で、実際、私はその通りのことを考えている訳だから、突き刺さる突き刺さる。
さすが、異次元に向かって会話できる男、寛。侮りがたし。
さて、やたら長くなったが、これは単に前フリだったりする。
(続く)
前回の続きの話で、「シェーバーとアヒル隊長と宮縄賢治の因果関係」の朝。
●PCがお下がりという話が本当かどうかを末莉に問われて──【実は買った】/【本当だ】
この選択肢のお陰で、さっきからプレイが止まっているのですよー。(涙)
ここで、嘘をつくのは、絶対によくないと思う。
「実は買った」と言われれば、確かに末莉は喜ぶだろう。けれど、後になって嘘がバレたときの落胆は、今の時点で真実を知ることの比ではないはずだ。
そして、この手の嘘は、いつかバレるものだ。
だから、私がすることは、「本当だ」と末莉に告げることのはずである。
……しかし。しかしだ。
昨晩、真純に「司が末莉のためにPCを一生懸命働いて買った」という話を聞かされ、司に対する信頼度が急激にアップした末莉が、すがるような目つきで、
「本当……ですか?」
と言うのは反則だ。
オレに、この末莉を落胆させられるのか?
「司さんは私のことを思っててくれたんだ」
という末莉の信頼を、自分の手で無情にも突き崩せるのか?
そう考えると、「嘘は突き通せば嘘じゃなくなる」という、内なる心の悪魔の囁きが聞こえ出してくる。
くそ、真純め。
1つ嘘をつくと、こうして、また嘘を重ねなければならなくなることくらい、30年間生きてて分かっちゃいないのか?
嘘が嘘だと分かったときに、傷付くのは自分が一番知っているだろうに──。
真純なら、「嘘だったとしても、幸せだったから。それは幸せな記憶だから」と考えるかも知れない。
けど、相手は末莉だぞ?!
独りで生きてきて、ある面では非常な強さを見せているとはいえ、純粋で傷付きやすい末莉に、そんな砂上の楼閣のような幸せを与えるのか?
だが、今の司たちがやってる家族計画自体、砂上の楼閣なので、その行為を完全否定もできない。
私は、絶対に、今正直に打ち明けるべきだ、と思っている。
私ならそうする。
ここで嘘をついても、必ずバレる。
客観的に見て、お気楽春花がいる時点でアウトだし、嘘をつく選択肢が用意されている時点で、バレるのも必然なのだ。
では、何でためらっているかと言うと、ここでの嘘が、シナリオ上必要なのではないかという勘繰りだ。
トゥルーエンドを見るために、あるゲームのあるシナリオで恋人関係になった幼馴染を突き放す行動を取るのが必須であるように、末莉に嘘をついて一旦仮初めの幸せに染めて、その後嘘がバレることで末莉を深く傷つける、という一連の展開が末莉シナリオには必須なのではないか?
それを、私には否定することができない。
ああ、私は制作者の意図を読むのが苦手なのに──。
……どうしよう?
前回の結果。
これは気付かなかったんじゃなくて、書き忘れたんだけど、先の選択肢で、末莉は、嘘を嘘と知っていて、それにすがって見上げてたという可能性もあった。
むしろ、末莉の家族計画に対する姿勢を見てれば、それこそが濃厚と言えるかもしれない。
で、結局私は、シナリオよりも自分の心情を取ったんだけど。(【本当だ】選択)
> 末莉「……つれないです……」
はぅぐぁぁぁぁぁ。
ごめんよ、末莉……。兄さんが間違ってたよ……。兄さん、末莉を甘く見すぎてたよ……。
……雅史エンド確定かなあ?(汗)
まあ、どちらが正解かなんて、まだ分からないけど。
進行状況は末莉シナリオ「育む日々」。ここまで来るのに、色々あった。
末莉を呼び戻した直後に、ばらばらになっていく高屋敷家が悲しかった。
家族計画は、まだまだ続くと錯覚していた。いつか終わることを、私は頭でしか分かっていなかったのかもしれない。
シーツを全身に纏う、覚悟を決めた末莉の綺麗さに、金縛りに遭ったかと思うほど気圧された。
その後、末莉に心を閉ざされたときには、自分では末莉を救えなかったと思った。
左手を焼きながらも自分を見失わない青葉の気高さに、心打たれた。
あの状況で、茫然自失としている人間を我に返せるような人間に、いつか私がなれる日は来るだろうか。
そして、末莉と2人だけが残り、始まった共同生活。
末莉は、やはり実は誰より弱くて、愛情を注いであげたくなる対象だった。
それは、プレイ当初末莉が予想させた、司だけでなくプレーヤとしての自分の価値観をも粉砕するような破壊力は持っていなかったけれど、2人で過ごすささやかな日常は幸せで、ずっと続くことを願った。
2人で一緒に住み始めて半年が経ち、司が、末莉の気持ちに応えようと決意し、それを末莉に伝えた日の夜。
うわぁ……。
ハチマキ姿に思わず絶句。
というか、枕を胸に抱えてぎゅっと抱きしめる様は、司が言うまでも無く反則だ。
気絶しちゃうのなんて、卑怯すぎ。
翌日もその翌日も、同じように登場する末莉に、崩壊寸前。
また気絶しちゃうあたりが、もう、なんと言ってよいのやら。
そして1週間後。
「……お久しぶりですが」
と言いつつ登場する末莉に激萌え。
ついに陥落。もう、私にはどうしようもない。
モニタの前でのた打ち回って、先に進めなくなったので、やむなく日記更新することに。
しかし、純粋に萌えさせる方でこんな破壊力があるのは、予想外だった。
いや、帽子イベントのときに気付いて然るべきだったろう。油断してただけかもしれない。
ああ、末莉、言われなくったって、おにーさんが一生一緒にいてやる──。
……本当に幸せにしてあげたい。
末莉シナリオプレイ中、なんとなく連想してたのは一角(りびんぐゲーム)だったりしました。まあ、それはほんとに余談ですので割愛。
とにかく、幸せな時間でした。
焼失した高屋敷の家を、散り散りになったみんなが互いに相談することも無く、でも、協力し合って再建して、10年後に思い出の高屋敷に還っていくエピローグは、すごくよかったです。
それぞれ新しい生活をしているだろうみんなが、こうして家族として会える。
10年間かかったけれど、戻る場所をちゃんと作れた。
家族計画の成功を、それがもたらしたものを、本当に幸せに思いました。
末莉が、10年前の麦わら帽子を大事に取っておいて、それを被っているのがものすごく嬉しかったな。
【物置】−【シーン鑑賞】で、ちゃんと「初夜」という表現がされていたことにも満足です。あれは、まさに「初夜」と呼ぶにふさわしい内容でしたから。
そういう意味では、23日(3)も呼称を先読みしてきっちり考えて、「兄さん」ではなく「おにーさん」と書きたかったです。まあ、多分、私には「おにーさん」は読めなかったと思いますけど。
それから、タイトル画面にキャラが増えていくんですね。末莉は入口ですか。
誰がどこ、と予想するのも楽しそうですけれど、恥をかくだけっぽいのでやめておきます。
基本的に青葉狙いなのだが、ファーストプレイで選ばなかった選択肢の回収もほどほどに行ってしまったので、分岐に失敗したかもと思う今日この頃。
まあ、そのときはそのとき。
末莉の家出も、末莉シナリオのときのように引きずらずに終わって、迎えたお祭りの日。
という訳で、進行状況は「お祭り」の夜。
末莉シナリオで見られなかった末莉との祭りイベントということで、結構うきうきしてたりしたのだが。
……。
……。
……痛い。
何が痛いって、昔、こういう妄想ばかりしてた自分を思い出して痛い。
最近はほとんど全くすることのなくなった妄想だが、現実が見えていなかった○学生の頃はよくやっていた。
> 司「いい大人が女の子二人と手繋いでチャラチャラ歩き回るなんてことが──」
すかさず、イベントCG表示。
歩き回るなんてことが──あるらしい。素晴らしい
>
末莉「あのですねえ、もてるってことは……」
>
ちらりと俺を横目で見て、春花の耳元に口を寄せた。
> 末莉「……ってことですよ」
> 春花「おー」
> 春花「……それは、考えるなー」
……浪漫だ。誰に何と言われようと、浪漫ですよ、これは。
> 春花「帰ろーう!」
> と俺の腕にまとわりつく。
> 末莉「よいしょっと」
> 反対側には、不器用に末莉がまとわりついてきた。
>
まずいですか?まずいですか?といった様子で見上げてくる。
相変わらず末莉は反則。せっかく青葉モードでこれまで必死に冷たくしてきたのを一瞬で壊してくれるくらい程だ。見上げてくる様子が、CGが無くても容易に脳裏に浮かんでしまう。
しかし、そんなのは序の口だった。
帰宅後のお風呂で……崩壊。
狭い湯船に3人で入るのは卑怯だよーーー!
末莉の反応が可愛いったらありゃしない。
水着とはいえ、末莉と密着しちゃったりした日にはもう(ダメ人間につき検閲削除)
──今日も高屋敷家の夜は平和に更けていくのであった。
プレイ後、しばらく引きずったり、余韻が抜けない作品というのはある。
18禁ゲームでの私にとってのそれは、とっさに思いつくものを挙げると、『ONE〜輝く季節へ〜』の茜シナリオ、『月姫』のアルクェイドトゥルー、『君が望む永遠』の水月シナリオなどは、それなりに日常生活に差し障ったりした。
先日、『家族計画』を始めて、末莉シナリオと青葉シナリオを終えた。
青葉シナリオを終えた辺りから、自分の体の調子が少しおかしくなっていることに気付いた。
胸が締め付けられるように苦しいのだ。
一瞬体調を崩したかと思ったが、頭は(正常かどうかはともかく)冷静だし、別段、体の調子も時折胸が苦しい以外は特に悪くない。
だから、自分が末莉にいかれてしまったのだと思った。この苦しさは、萌えをずっと強力にした感覚に似ていたし、末莉インパクトは強力で、家族計画ページに使用した末莉の表情を見てるとたまらなくなるのは事実だったから。
でも、末莉以外のことに思いを馳せても、胸が苦しいことがある。
この作品に触れているあまりの幸せにあてられたのか、主旋律が幾つかの曲で使われるOP曲を頭の中でリフレインしたときに、それが顕著であるらしい。
ということは、だ。
私は、『家族計画』という作品そのものに、恋焦がれてしまったのか?
……ああ、確かに、これは片思いに近い感覚の気がする。久しく忘れていた感情だ。
好きな作品は結構あるけれど、作品をこんな風に好きになったのは初めてだ。
でも、気付いたところで、何の解決にもなっていない。
相手がいれば、ぶつけたりして、気持ちに整理はつけられる。
だが、作品を相手にくすぶっている気持ちはどうすればいいんだろう? 自分が何をどうしたいのかすりゃ分かっていない。そもそも、私はなんでこんな気分になっているのか。『家族計画』に触れているのが幸せすぎて怖いのか? それとも──
──青葉シナリオで私が受けた印象と関係があるのかもしれない。
まだ、純粋に気持ちが末莉個人だけに向かっていた方が、分かりやすい分、始末に負えた気がする。
慣れない感覚をちょっと持て余し気味。ただの過労とか、落ちにならない落ちがつかないかなあ。どうせ、精神が風邪にかかったようなものだから、放っとけば治るんだろうけど。
(青葉話に続……かないだろうなあ)
私が、作品を評価するときに最重視してるものの1つは、心に届くかどうかだ。
前回列挙した幾つかのシナリオは、いずれも心に届いて、私の心を大きく揺さぶった。
(無論、前回列挙したもの以外にも心に届いたシナリオは多々あるが、ここでは関係ないので割愛。)
心を揺さぶられたとき、私に表れる顕著な症状に、『泣く』ということがある。
シナリオに引き込まれて、感情の制御ができなくなって、ただ涙するしかなくなってしまう状況だ。
泣ければいいというものではないが、泣けるだけ感情移入させてくれる作品と言うのは、それだけで評価に値すると思っている。
私は、青葉シナリオで泣けなかった。
──と、この文章の流れだと、私の青葉シナリオに対する評価は低いと思われてしまうかもしれないが、そうではない。
私はゲームをするとき、大抵、登場人物の誰かに感情移入している。
『家族計画』の場合は、特定の誰かに感情移入するというより、末莉シナリオなどでは、どちらかというと作品世界自体に浸っていたのだが、青葉シナリオでは、実際の自分とシンクロ度の高い司や青葉の話がメインになるので、自然と彼らに感情移入していた。
『家族計画』プレイ当初は司が自分に近いかと思っていたが、性質的には青葉の方がより近い気がする。例えば、青葉が「末莉が怖い」と言ったときには、プレイ直後に自分が書いた文章を思い出して苦笑してしまった程だ。
さて、青葉シナリオでは、ある意味似たもの同士の司と青葉が絆を育んでいくことになるのだが、作中では司の方が一足先に心を開いて、青葉を開放していくことになる。
青葉の開放は、2段階で行われる。
最初の転機は、引き出しにしまわれた竹とんぼの間違った解釈によって。
次の転機は、竹とんぼの真相によって。
結果的に間違っていたとはいえ、竹とんぼの持つ意味を見抜いた司に、まず私は置いていかれた。青葉同様、司の説明で初めてその意味を知った訳だ。
置いていかれたというのは、今言った洞察力面も然ることながら、実は気持ちの変遷の方が大きい。青葉を意識し始めて、青葉を助けたいと思い始めた司は、既に、私のように他人に一定以上踏み込もうとしない存在ではなくなっていたのだ。
この時点で、私は、作中での自分の立ち位置を半分見失ってしまっている。司はもうシンクロする対象ではなく、むしろ、私にとっては踏み込んでくる相手──言わば末莉のような対象に移り変わっているからだ。
司にシンクロできなくなった以上、必然的に青葉にシンクロするようになっていくのだが、司が竹とんぼの真の意味を見抜き、青葉を開放してしまった瞬間、私の立ち位置は完全に無くなった。
司が開放したのは、あくまで青葉であって、私ではないから。
性質面で青葉に似ているところが私にあるのは確かだが、青葉と私で過去は似ても似つかない。私は青葉と違って、家族愛に恵まれていなかった訳ではない。
だから、作中、青葉は変われたけれど、私は変われなかった。
過去を共有できない以上、外側から青葉を見てればよかったのだが、下手に性質面で青葉に同調していたものだから、司のように青葉の凄惨な過去に対して悔しさと悲しさで涙することもできない。
青葉シナリオにおいて、私は感情移入する先を見失ってしまったのだ。
それが、私が泣けなかった所以だ。
激しく結ばれる2人を見て、私を支配していた気分は、
「……置いていかれた」
である。
「オレ1人だけ置いていくなよ!」
と声を大にして叫びたかった。それは、本当にそう叫びたかった。
そして、私は『家族計画』への恋焦がれるような気持ちに染まることになる。
過去につらいことがあっても、幸せへとベクトルが向かっているのを感じられる『家族計画』は、私を捕らえて離さない。
それは、司と青葉に置いていかれた青葉シナリオにあっても同様だ。むしろ、自分に似ているところのある2人が変わっていったことに、羨望すら感じる。
泣けるだけ感情移入させてくれた作品の評価が高いのは、今でも変わらない。
でも、泣けなくても、いや、泣けないほど心を揺さぶった青葉シナリオの評価もまた、高いのだ。
「うわあ……」
思わず声が漏れた。
圧倒的に幸せなエンディングだな、おい。
体の芯から嬉しくなってくるような、そんな感じ。
末莉、青葉、真純と3つ見た中では、一番『家族計画』のハッピーエンドとして相応しい終わり方だと思った。
末莉エンドのエピローグ後は、きっとこれに近い風景が繰り広げられていたんだろうなあ。
タイトル画面は予想通り、買い物帰りの真純さん。母役だった彼女には、やっぱりこれが一番似合ってる。
ほんと、タイトル画面のこの演出は素敵だと思う。
最初に、末莉が入口にしゃがんでいるグラフィックを見たときには、一切の思考が停止するんじゃないかというくらいの衝撃を受けた。
青葉が予想に反して門のところで立って待ってるのを見たときには、青葉が可愛くって、思わず微笑んでしまった。
……終わらせたくないな、『家族計画』。
春花は、言った。
「準がしたこと、いろいろあるけど……」
「ぜんぶ、許すね」
そして、司も、言った。
「春花は、許した」
「俺も許す」
なんて、あたたかみに満ちた、
なんて、思いやりに溢れた、言葉。
許すというその行為は、まさに、家族という深い絆だからできること、と思った。
……ごめんなさい。エピローグでの、これでもか、これでもか、と言わんばかりに伝わってくる、みんなからの準への思いに感極まってしまって、感想など、うまく文章に書けそうにありません。
『家族計画』のプレイで、私が避けようとした女性は2人いた。
1人は末莉、そして、もう1人が、最後に残った春花だ。
末莉に踏み込まれるのが怖くて避けようとしたなんてのは、直後に末莉に傾倒して、その後、案の定あっさり陥落したせいで、人からからかられるネタにしかならなかったけど、春花は未だ避け続けている。
別に、春花が嫌いな訳ではない。
ただ、末莉とは違った意味で、私は春花が怖いのだろう。畏怖の念に近いかもしれない。
母親に会いたい一心で、日本に密航してきた少女。
冒頭の、
>
もし捕まったら下手すれば殺されるなーと思っていたので、そこはもう腹をくくって、行きがけの駄賃で店の人間の荷物をひったくるという行為にまで出たりした
という一文を取ってみるだけでも、春花が、常に安全な道を選ぶ私にはできない選択をできる人間であることが窺える。
司が、倒れている春花を見たときの反応は、私には至極納得がいくものだった。
> よく無事でいたものだ。
> あるいは、もう無事ではないのかも知れないが。
> だとしたら、厄介なことだ。
本当に、厄介なことだ。
川で溺れるなら、自分の知らないところで溺れてくれ。
襲われるなら、自分の知らないところで襲われてくれ。
司は多分、私と同様に、こういう思考をする人間だと思う。
倒れているなら、俺の知らないところで倒れていてくれ!
春花が倒れているのを見たとき、司がそう強く思っただろうことは、想像に難くない。
目撃してしまった以上、放っておくことはできないからだ。
そして、関わることになってしまった以上、取るべき次善の手は決まっている。
> 司「無理ですよ、警察に渡しましょう」
トラブルに遭遇した小市民が、これ以上の揉め事を避けようとするための、当然の判断である。
しかし、状況は、春花を警察に任せることを許さなく──。
冒頭に書いたように、私は春花を避けてきた。
それは、自分には密航者を守りきる覚悟なんて、ありはしなかったから。
だから、春花の気持ちを理解していても、それに知らん振りして、春花の司への気遣いを利用して、春花から逃げて。──春花の思いを踏みにじって。
時、遅きに失した感は強いけれど、春花への罪滅ぼしを始めよう。
春花と司を見届けなければ、『家族計画』を見届けたことにならないと思うから。
●選択1 後ろから抱きつく春花に──【振り返る】/【我慢する】(『対話』にて)
これ、どう考えても、【我慢する】しか選択できないと思うんだけど、そういうこと書くと、それは私が(略)だからと言われそうな気がするのは、被害意識が過剰に過ぎるだろうか。
……もとい。
理性って、こういう場面でフル動因するためにあるのだと思う。
ここで振り返っちゃったら、自分が春花を助けた行為が、結果として、春花の体を目的としていることになってしまう訳で、それは、『家族計画』をこれまでプレイして感じた司という人間が取る行動ではないだろう。
でも、ここで流されてしまったほうが、司の負い目は増すから、そっちでもいい気はしなくもないけど。据え膳食わぬはなんとやら、とも言うし。
って、結局抱かなかったですが。
まあ、実際、ここで振り返っても我慢しても、どちらもそれなりに司らしくはあると思うんだけど、この直後にカプセル剤を3錠飲んだところだけは、何度見ても司の行動とは思えない。
司がビタミン剤を常時利用する人で、それと同じビン、同じカプセル、というなら何とか理解できるけれど、さすがにねえ……。
ここだけは、何度、司の心理をトレースしても、薬を飲むに至れなかったりする。まあ、このときの司、睡眠不足だったというから、魔が差したんだろうな、きっと。
#それよりも、気になるのはこれ↓。
#>
鞄の中には、札束が少しとカプセル剤の詰まったビンがたくさん入っていただけだった。
#札束!?
#……ごめん、司。単なる揚げ足取りだ。
●選択2 春花を床に押し倒して──【自己処理に走る】/【慰めてもらう】(『対話』にて)
当然、慰めてもらうでしょー。
実際、司くん、クスリは飲み慣れてないから、効きがよさそうだし。
ましてや、麻薬・媚薬の類に免疫などないでしょうから、クスリのせいだという自覚が無い以上、この欲求を抑えられるはずはないと思うし。
え?
>
理性って、こういう場面でフル動因するためにあるのだと思う。
じゃなかったのかって?
人間にはできることとできないことがあって、できないことを要求するのは、酷というものでしょう。
けど、ここで【慰めてもらう】を選んだとき、司の思考は十分冷静なんだよなあ。
冷静というか、頭の片隅にかろうじて理性が残っているけど、止まらない状態。
肉体の欲求に身を任せて、後で激しく後悔するパターンで、司もご多分に漏れてはいないけれど。
●選択3 あと一回ほど出せば、なんとか自分を制御できそう──【あと一回だけ】/【やめる】
やめるのかな、やっぱ。
「あと一回ほど出せば」なんて思考ができる時点で、すでに理性は戻っている訳だし、最早、ここから先は、単なる言い訳に過ぎないから。
と書いたところで、ここまでの流れも、単なる言い訳に過ぎない気が大いにしてきた……。
つーか、ここでやめるくらいなら、最初から抱くな、という話になるかな、やっぱ。
……流されまくりだな、司。
>
春花「ツカサとは、いつまで一緒にいられるかな?」
> 司「そうだな」
> 司「そいつは───」
> 言葉を出せなかった。
> そこに当てはまるべき回答が、なかったからだ。
> 俺と春花は、いつまでここにいられるんだろうか。
> いつまでもいられるわけじゃない。
> むしろ、その可能性は低い。
> だって春花は……。
……不法入国者だから。
母親と会ったら母親と暮らすだろうから、とか、いずれは国に戻るだろうから、とか、いろんなことが司の頭を去来したのは間違いないと思うけど、『いられる』ことに一番の障害となるのは、春花が不法入国者であるという事実だと思う。
抜け道を探せばいくらでもあるかもしれないけれど(そういう意味では家族計画だって抜け道の1つだ)、不法入国者ということがバレたら、もう一緒にはいられない。
司が、強迫観念とまでは言わないまでも、「春花への借りを返さなければならない」という思いにとらわれているのは、春花がいずれはいなくなることを知っているからだ。
だから、劉家輝に、
「君は警察から彼女を守れまい」
と言われたときには、無力感に襲われたものだが、それはさておき、不法入国者と一緒にいるのは覚悟がいる。
司には、今ひとつ、そこまでの覚悟はなさそうだよなあ、と思っていたけれど──
> 司「行くな」
おお?
> 司「いいから、おまえは黙って俺のそばにいればいいんだよ」
うわ……。
> 司「なんとかする」
> 司「……なんとかしてみる」
恰好いい!
先日私の中でモードが変わったと書いたのは、ここの会話。一瞬で司に引き込まれた。
私にとっての最後の家族計画が、ようやく幕を開けた瞬間だった。
(続く)