縦隔腫瘍に対する手術療法

縦隔とは、左右の肺(正確にいうと胸膜腔)の間のあって、前方は胸骨、後方は胸椎によって境される場所を言います。実質臓器としては、胸腺とリンパ管があり、管腔臓器としては、心、大血管、食道、気管、胸管、リンパ管があります縦隔腫瘍とは、これらの臓器より発生する腫瘍を言います。主な腫瘍は、胸腺腫瘍、神経性腫瘍、リンパ性腫瘍、先天性嚢腫などがあります。
1.胸腺腫
 上皮性胸腺腫瘍の中には、胸腺腫、胸腺癌、胸腺カルチノイドなどがあります。この中で最も多いのは胸腺腫であり、上皮性腫瘍細胞とリンパ球の混在した組織像を呈しますが、腫瘍性の性格をもつものは上皮性細胞のみです。また、腫瘍の悪性化に伴ってリンパ球成分が減少します。
 胸腺腫は基本的には悪性の疾患です。発見されれば、摘出する必要があります。
 手術方法は、胸骨を正中で切開し、胸腺腫+胸腺組織を一塊として切除します。
 
2.重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術

@原因:重症筋無力症とは、神経と筋肉の接合部(接点)において、神経刺激が筋肉に伝わらないでおこる筋無力症状で、症状としては、瞼(まぶた)が垂れる、手足の筋肉の脱力などとして現れます。その原因としては、神経筋接合部の後膜(アセチルコリン受容体)に対して、間違って自己抗体(自分の体に対する抗体)ができ、その後膜が破壊されて伝達物質であるアセチルコリンが受け入れられなくなるためと考えられています。その自己抗体をつくる最も大きな場所が、胸腺です。なぜ、胸腺がこのような自己抗体をつくるようになったかは不明ですが、胸腺のウイルス感染などによって胸腺中のアセチルコリン受容体が変化し、異物として認識され、抗体ができるのではと考えられています。
A治療:発症後なるべく早期に胸腺と周囲の脂肪組織を摘出するのが良い(拡大胸腺摘出術)とされています。


左の写真は
切除した胸腺と脂肪組織です。

3.後縦隔腫瘍
@後縦隔腫瘍の代表的なものとして神経原性腫瘍があります。後縦隔には肋間神経、横隔神経、交感神経
などの神経があり、それらの神経から発生する腫瘍です。
A治療方法としては、胸腔鏡を使用して摘出するのが一般的です。

上の胸部X-PおよびCTは30代の女性。健康診断で異常を発見されました。
下は、上の症例の胸腔鏡を使用した神経鞘腫(神経の鞘から発生した腫瘍)の摘出の様子です.(1)→(2)→(3)(4)
(1)(2)(3)(4)





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