向山型算数への挑戦
「向山型算数」で中1数学に挑戦
原田 賢治
1.新卒時の授業
新卒1年目。中2数学を担当した。
連立方程式の授業。
中1の文字式の計算ができない生徒がいる。分数を通分できない生徒がいる。
「できない生徒をそのままにしてはいけない。どの子もできるようにしたい。」
そう思い、文字式の計算や通分を、黒板に板書しながら一生懸命説明した。
連立方程式の授業なのに、連立方程式を1問も解くことなく終わった。
参観した校長先生、教頭先生から
「連立方程式の授業なのに、連立方程式を1問もやらないで終わるのはよくない。
一生懸命な気持ちはわかるが、できない子は個別に指導して、授業は進めるべきだ。」
こう指摘された。内心腹が立った。
「こんなにたくさんできない生徒がいる。落ちこぼれている子を、見捨てていいの
か。どの子も何とかしようとするのが、教師の使命ではないか。」
できる子、できない子の差が生じている。
いろいろな例をあげ、言葉をかみ砕いてわかりやすく説明した。
一生懸命説明した。黒板に、たくさん板書した。自己流の手書きプリントを作る
ときもあった。先輩教師のプリントを使わせてもらい授業したこともあった。
だけど、数学ができるようなったという手応えはなかった。
授業の雰囲気はどんよりし、がやがやしていた。集中に欠けていた。
授業はつまらないという声があがった。テストの平均点ものびなかった。
こんなに一生懸命説明しているのにどうして? 生徒にやる気がないからなのか。
今振り返ると、当時の校長先生の指摘に納得できる。
授業のまずさがよくわかる。
・説明すればするほど、わからなくなる。
・授業のテンポが大切であることなど、意識にもなかった。
・プリント授業も、何枚も配ってやったが、やればやるほど、生徒の意欲がなくなっ
ていくように感じた。(テンポの悪さに拍車がかかったからだと思う。)
・「教科書通りに教える」ということは意識に全くなかった。
2.向山型算数で再挑戦
今年(教職7年目)、中1数学の担当になった。(免許は理科・農業なので免許外担当である)
3月末、数学担当が決定してから、向山型算数に関する論文のコピーをできるだけ集めてノートに貼った。
向山氏が紹介している新年度の授業準備の方法である。
(ツーウェイ99.4月号p10〜11)
ツーウェイ、トークライン、向山型算数トークラインなどから、向山型算数に関する論文を探す。
探すとき雑誌に目を通す必要があるので、かなりの情報が頭に入る。同時に授業の構想も浮かんでくる。片っ端からコピーをとった。
これはと思う内容には蛍光ペンで印をつけておいた。コピーはかなりの量になった。
コピーをとった後、ノートに貼りつけていった。
細かく内容ごとに分類したかったが、うまく分けられないのでおおざっぱに分類して、大学ノート(80枚のもの)にどんどん貼っていった。
ノートに収まるようにカッターで切って、糊でノートに貼る。
ものすごく時間がかかる作業である。
貼るときに論文をざっとながら見るので、授業の構想がさらに膨らんでくる。
貼り終えたら、ラベルシールに項目を書いてノートに貼りつけた。
丸3日かかって、ようやくノートが完成した。
あまり整理されていない、向山型算数に関する論文を集めただけのノートだが、ノートづくりを通してかなりのヒントが頭に入った。
この方法が優れているのはノートづくりの作業を通して、自然と授業に関する内部情報の蓄積・再構成を行っている点である。
今回、実際にノートを作ってみて初めてコピーを貼るノートづくりの良さを実感した。
論文を読んで、向山型算数のポイントと思うこと、自分が思ったことを付箋に書いて、集めていった。
・分ければわかる。
・ジャンプ問題−スモールステップで対応
・補助計算−堂々と書く
・黒板に書かせる。
・はなまる、植木鉢、ちょうちょ、トンボ
・黒板の答えを写しなさい。
・できた印、できなかった印。
・教えたとおりに書かせる。
・問いのユニットを最小に。
・シンプルな作業を繰り返す。
・授業はリズム、テンポ。
・扉絵まで授業する。
・様々なほめ言葉。
・徹底したノート指導。
・どの子にも書くべきことをきちんとノートに書かせる。
・ノートがきちんと書ければ、実力がついている。
・説明は30秒以内。
・必ず、授業中何度かノートの個別チェック。
・ノートに、我流の書き方を認めてはならない−妥協しない。
・教えたとおりに書かせる。
・黒板8等分−8人板書したら、板書の通り読ませて答え合わせ。
・ノート−全員きちんと書かせる。
・難問を用意。
・教科書の□に書き込ませる。
・ミニ定規−貸し出し用準備。
・ジャンプを変化のある繰り返しで克服。
・助走問題は速いテンポで。
・細分化した指導(分ければわかる)
・確認の徹底。
・単元終了後教科書とノートチェック。
・つまづく子への優しさ。
・導入なし。いきなり本論へ。
・シャワーのようにほめる。
・教師の説明は、長くなれば長くなるほどわからなくなる。
・一切説明のない授業。
・赤鉛筆にこだわる(色ペンを認めない)
・詰め−「まだノートを書いてない子は立ちなさい」
・心の中でいったら腰掛けなさい。
・異質な問題を見抜く。ひとまず区切ってノートチェックする。
・アップテンポ−ものすごく易しい問題から入る。
・念のため。
・3点セット−式・計算・答え
・補助計算を書かせよ
・1秒も無駄のない進め方。
・「間違えた人は直しておきなさい。やってなかった人は写しておきなさい。
一番いけないのは何もしてないことです。」
・写すだけでできるようになる。
・全員そろうまで待たない。
・立たせて全員を追い込む「全員起立。式が書けたら座りなさい」
・3分ゆっくり説明するよりも、30秒で6問出した方が子供は理解する。
・ノートの見せ方
@先生の方を向けさせる。
A両手で持たせる。
・ノート指導
@日付、ページが毎回きちんと書いてある。
A文字、数字が大きく堂々と書いてある。
B計算と計算の間が1行以上開いている。
横の幅が指2本入るくらい開いている。
C位取りがきちんとしている。
見事なくらいにそろっている。
Dミニ定規を使う。
E筆算や補助計算を堂々と書いている。
F消しゴムを使わず、×をつけて書き直す。
・ジャンプ問題までの配列
@すごく易しい問題
Aわずかに変化させた問題
Bちょっと飛躍させた問題
C教科書と似た問題
D教科書の問題に戻る
・助走問題は変化のある繰り返しで。
3.向山型算数で授業が変わった
向山型算数のポイントは、たくさんある。
全てを満たした授業は、授業の技量が未熟な私にはできない。
@テンポよく A説明しない B細分化する
この3つを特に意識して、「教科書通りに授業する」に挑戦している。
まだまだ、未熟で荒削りな授業である。
教科書通り授業する「向山型算数」にはほど遠い。
しかし、たくさんあるポイントのうち、1つを曲がりなりにも行うと、授業が変わってきたのだ。
確かに、生き生きと数学に取り組んでいる。
新卒の時、担当したクラスとは違う。
拙いながらも、授業をやっていて、手応えを感じるのだ。
まだまだ、課題は多いが「向山型算数」をもとに、中1数学の実践を重ねたい。
index TOP