Mountain Trekking編

第2日目('97.5.8)
ランドルンから、 シウリー、ニューブリッジ、ウディを経てチョムロンへ

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 朝起きてヒマラヤの方を見たが、雲に覆われて全く見えない。まだまだ時間はあるしいつか見えると心配もしない。じっくり時間をかけて作られた朝食をとっていると、昨日会った若者オーストラリアン4人組が通っていく。一人が我々のところに近づいて来て、昨日ヒョウに会ったのではないか、みんなで心配していたという。私達は茶屋に寄り難を逃れたことを説明し、また会おうと言って別れる。
 AM8:00出発。川へ向かって下り、川沿いを歩く。下る途中で道を間違えたが、直ぐ引き返す。途中、ポーター付きのスイス人風女の子に出会う。金髪で色が透けるように白い。目茶綺麗。とても印象的だった。でも、一人で来ているのだからたくましいのだと思う。 川にはいくつか支流があり、板で作った小さな橋を4つほど渡る。川向こうにもトレイル(道)があり、人が見えると大きく手を振って声をかけたりする。向こうの方が往来が多い。ここからヒマラヤは見えない。

 


ランドルンから
ニューブリッジ

ニューブリッジ
AM9:30ニューブリッジ着。ポカラから乗ったタクシーの運転兄ちゃんが最初"ニューブリッジまで行くのか"、と聞いてきたのを思い出す。辺りを見回し、まさかここまで車がこれるはずがないと不思議に思う。橋を渡る。全然"ニュー"には見えない。今まで通った中で最も大きく揺れる吊り橋。札幌十五島の吊り橋とは大違い。kanaはおそるおそる歩くが、これも今考えればかわいいものだった。川底がすっぽり見える穴もなければ切れた綱もない、非常に安全な橋だったといえる。橋を渡ったところにゲストハウスがある。ここはヒパルキュウというらしい。様々な人種が混ざり合ってそれぞれ休息をとっている。でも系統は似ている。なんとなくヒッピー風でどちらかというとインドから流れてきた感じ。つまり、"ネパールは物価が高くてやってられねいぜ"なんて真顔で言う人たち。そう、彼らは数多くの修羅場をくぐり抜けてきている。

 私達は休息不要とそのまま歩く。また少し道を間違えたが、正しい道に戻り、ひたすら登る。途中日本人にすれ違うが、今日の目的地であるチョムロンへの最後の登りはかなりきついから覚悟するように言われる。私たちがよっぽど苦しい顔をしていたのか、心配してくれたようだ。山の中腹にあるウディを通り、また、川へ向かって下り、橋を渡り、ひたすら石の階段を上る。この登っても川を渡るためにいったん下り、また登る、、、行程が今後も続く。
 年輩の男女2名ずつのネパール人4人と出会い私たちが先に行く。ペースはこちらが速い。どんどん離れたと思っていたが、水を飲み石段に座り込んで休息していると、あっと言う間に追いついて来てしまった。一人のおばちゃんは、"強いでしょ?"と言わんばかりに手を大きく振って堂々と歩くまねをしてふざける。私は"ははっ、完敗です!"と両手を広げて負けを認める。言葉は通じなくてもこういう瞬間がたまらなく楽しい。それにしても、山の歩き方とはまさにこのようにすべきもの。ゆっくりと自分の鼓動を聞きながら、無理をせずに行くのがベスト。体力に任せて進んでも結局は負担がかかるだけ。

 頑張って頑張って、AM11:15ジヌー着。予定通り。ゲストハウスが3,4件ある。チョムロンへはそう遠くはない。時間はある。まずは近くのhot springsで、疲れた筋肉をほぐしのんびり楽しむことにする。ゲストハウスのお兄ちゃんにhot springsへの道を尋ねると、向かいの道を指し、下り15分登り25分と言う。食事の前に行こうと下っていく。黒と茶の犬2匹が道案内をするように先頭を歩く。それにしてもどんどん下る。あんまり下りたくないよう!と思うが急降下。と、黒い犬が、どこからか来た別の黒いのと喧嘩を始めた。なかなか凄まじい。上に乗ってかみついたりしている。怖いと思いながらも、犬同士戦っているうちはストレス溜まらないから、日本のように人間にかみつくことも無いだろうと考え安心する。ただ望むことは、"そこどけて!"ということ。kenが"こらっ"といい小石を投げ(格闘もせず、"ここ掘れわんわんと言わんカネ"と催促もしなかった)、ちょっと道からどけた隙に通り抜ける。400m下ったところで川にぶつかる。20分もかかる。温泉にはいるために、折角登ってきた道を下ってしまった。2つの小さな石のタブがある。1つのタブには5,6人入れる。そこには、昨日から抜きつ抜かれつしているオーストラリアン4人組がカップルごとに別れてくつろいでいる。
 ちょっとした陰で早速着替え、タブのお湯に足を着ける。暖かい。本当に温泉だった。2年前にヨルダンで見つけた山の中にあった滝の温泉を思い出す。水と熱湯が合流してちょうど良い温度の滝になっていた。イスラムを気にして、kanaは上からTシャツを羽織っていたっけ。ここは、石を囲み、そこにビニールを敷き、パイプからお湯を注いでいる。1組のカップルのおじゃまをして一緒にはいる。ふーっ、体が溶けていく。温泉の中で疲労した筋肉をほぐし、熱くなったら川に足を入れてさます。愉快愉快。頑張ったから味わえるこの心地よさ。水の不思議なパワーに感謝。体と心をリラックスさせる。しばらくするとオーストラリアンが出ていく。私たちも、30分ほどくつろいだ後、もと来た道を引き返すことにする。ずっとここにいたいけど、そうもいかない。さっき脱いだTシャツはからからに乾いている。リフレッシュした体は軽い。 でもこの気分はほんの一瞬のこと。一気に下った分一気に登らなくてはならない。20kg以上の荷物を背負っている研治は、ランチをとることを約束してゲストハウスに荷物を預けておくべきだったと後悔する。折角乾いたシャツも一気に汗でびっしょり。おまけに途中でぽつぽつ雨も降り出した。
 PMO:30ジヌー着。チベット・ゲストハウスでポリージュ(いわゆるミルク粥。この中にバナナや蜂蜜、レーズン、ドライフルーツなどを入れて食べるとおいしい)を食べる。ここのおばちゃんは愛想が良くずっと歌を歌っている。言葉がもっと通じれば話がはずむに違いない。さっきまでぽつぽつ雨だったのが土砂降りになる。温泉には、後から来たニューブリッジに行く途中で出会ったスイス人風の女の子とポーターが残っている。ちょっと心配。土砂降りの中、カップルがびしょぬれになってウディーの方から登ってくる。山の中では、ちょっとタイミングがずれただけで、悪天候に見回れ、体力を消耗したり、予定通りに進めなかったりする。ちなみに、このカップルは、後で判るがアイルランドから来ている。40代前半で細く、穏やかで人がよい。でも、問題は天候に恵まれないこと。いまでも、彼らを思いだして懐かしむが、全身ぐっしょりになっている姿ばかり。
 PM4:00小雨になったのでスタートすることにする。随分長くいた。ここからはきつい登り。2050mのチョムロンまで1時間で400m一気に昇る。初日のフェディーからダンプスまではまだかわいかった。急な階段を一段一段登る度に汗が吹き出る、回りの景色もどんどん変わる。途中、ポーターが倒れている。顔が真っ青。けがと言うよりは目眩もしくは心臓にきている模様。荷物を持たせ過ぎたのか、体調が悪かったのか、プロにもきつい坂らしい。この頃には雨もやみ、雲も離れていっている。途中からは、茶色の犬が道案内。山で見かける犬は筋肉ががっしりしていて犬らしい。マーキングも度々。なんと雄々しい!?

 PM5:00やっとこさチョムロンの村に到着。呼吸はまだ多少乱れている。・・・と、すばらしい!!ヒマラヤが見える。景色が一気に開ける。やっと、やっと、見ることが出来た。3年ぶりのご対〜面!右からマチャプチャレ(6993m)、ヒウンチュウリ(6441m)、頂上に雲がかかっているアンナプルナV(7219m)。まだ、目指すアンナプルナTは見えない。でも、ポカラの町からてっぺんだけ見つめていたマチャプチャレが、中腹からはっきり見える。雨に感謝する。雨が雲を消し、こんな素晴らしい景色をプレゼントしてくれた。急坂を登って来た疲れを一気に忘れる。この景色をうまく表現できないのがもどかしい。とにかく、すごかった。ゲストハウスは明日少しでも先に進めるように村の下のにすることも考えたが、やはりこの景色を優先してこの頂上に取る。


チョムロンから見える
マチャプチャレ・アンナプルナ
 交渉の結果、PM5:30ビュートップというゲストハウスにステイすることにする。洗濯をし、他のトレッカーと情報交換し、ひたすら山を見つめる。暮れ行く山の景色をみつめながら、心地よい疲労感の中で我を忘れる。マチャプチャレとヒウンチュウリの間に雲がかかって見えるのはアンナプルナTだろうか。我々が目指すのは、そのアンナプルナTのふもとのベースキャンプ。これからやろうとしていることにわくわくすると共に、やっていけるのだろうかという不安もよぎる。急激な寒さ高度差に耐えられるのか。
 長時間待たされて食事をとる。なにしろ、私たちは2時間で済んだが、早くに着いた他のトレッカーは3時間以上前にオーダーしていて、その間に直ぐ来るミラービールを注文しすっかり酔っぱらってしまっていた。kenはカレー&ライス、kanaはベジタブル・エッグ・ヌードル。カレーのルーには肉はない。ジャガイモがメイン、ヌードルは勿論インスタント。おいしい。今のところ、お腹がすいているせいか、山で食べる食事にはずれはない。
 食後、星を見つめる。真っ暗で見えないけど、どっしりと構えた山が背後にあるせいか、星が軽くキラキラ輝いて楽しそう。それにしても、たくさん輝いていて星座も判らない。kanaはもとから判らない。研治が説明してくれる。昨年行ったモンゴルの大空を思い出す。ミルキーウエイ=天の川の意味を悟った日。ミルクを流したように星で真っ白だった。この山深い異国の地で満天の星を見る。こんな幸せはない。しかし夜は寒い。寝袋にくるまっても充分寝られず。

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