Mountain Trekking編

第1日目('97.5.7)
ポカラから、フェンディ、ダンプス、ポタナーを経てランドルンへ

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 いよいよ待望のアンナプルナトレッキングが始まる。昨日のうちにトレッキングパーミッションを取得、バックパックも寝袋も購入。缶詰、ビスケット、水も用意。  朝起きてチェックアウトをすませ外に出ると、何も言っていないのに何故かタクシー運転手が待っている。ホテルの人が友人の運転手に教えたらしい。しかし、まずは腹ごしらえ。朝食をたっぷり取る。しばらくは、ネパールのおいしい食事とはお別れ。
 AM7:30待っていた例のタクシーに乗り出発。トッレッキングの出発点フェディーまで行く。川沿いの難民キャンプのような脇を通り、一応舗装されている道をゴトゴトと行く。周りはただの野原。残念ながら雲が多く山は見えない。天気がよいとポカラの町からもアンナプルナ等7〜8,000m級の山が見える。近くの2,000m級の緑の山から頭一つ飛び抜けたそれらの白い山々を見つけると、その雄大さに驚かされる。圧倒される。毎日この山々に見下ろされていたいと思う。
  AM8:00到着。300ルピー。到着後、駐車場で、気のいいお爺さんがサーランギ(木製の弓奏楽器)を弾きながら"good"と言って近づいてくる。私達は、これから山に登るんだし、やっと最少限にした荷物を増やすつもりはないんだけど・・・と思いながら、笑顔で"No thank you "とだけ言う。

 さあ、トッレク開始、林の中を登り始める。いっきなり心臓破りの急斜面。両手も使ってよじ登るようにして進む。登り始めると、少年が"stick"といって杖をもって追いかけてくる。品物としてはさっきのお爺さんよりはるかにいい。しかも、物売りもインドに比べ人が良く、何となく笑顔で応じてしまう。でも、しっかり、"No thank you."と応える。
 3年前に一度来た道。高い木々のの林の中の中の急坂道。その後幾人の人たちがこの土を踏んだのだろう。前来たとき、かわいい女の子が走って追いかけてきて花を買ってと言ってたっけ。なんかこの石見覚えある、こんなに急だったかな、などと思いながらどんどん登っていく。しかし、こうやって思いを巡らせているのも束の間、kana100歩で心臓バフバフ、ダウン。顔面蒼白になる。唇は顔と同じ色になる。いきなりの急坂のせいか。シティーガールから山女への切り替えが不十分だった。この日のために、毎朝走ったし、淀川沿いでダッシュもしたし、京都まで片道50kmの道のりを自転車で往復したりして体力つくりをしたのに。しばし休息し呼吸を整える。
 この間、オーストラリアかアメリカ南部出身とおぼしき中年カップル及び単独で来ていてこれまたオーストラリアンと思われるヤングガイ二人の4人集団が登っていく。カップルの方はかなり苦しそう。しかもどこまでいくかわからないが、短パン、Tシャツに小さなバックパックと、かなり軽装。どこまで行くのだろう、大丈夫だろうかと、他人のことを心配する(一方、kenもkanaに対し同じ心配をする)。
 呼吸は整った。再スタート。直ぐにさっきの4人組に出会う。カップルの男性は話し好き。もうノリノリ。座り込んでみんなを笑わせている。さっきの表情とは大違い。単独の二人は既にスタンバイ。話が終わるのを待っている。確かに、こんな初めの段階でのんびりされては先が思いやられる。実はこのカップルと帰り道にすれ違うことになる。恐ろしくゆっくりだが確実に進んでいたことに敬意を表したい。
 数回休憩し林の中をすぎると、やっと緩やかな道のり。畑の中や人々の家の横を歩く。子どもも大人も"ナマステ(こんにちは)"と声をかけてくれる。こちらも"ナマステ"と応える。もしかしたら3年前に会ったのかもしれないな、と思うとなんだか親しみがわく。当時赤ん坊だった子が今はお姉さんになって子守りをしているのかも。 尾根上からは向かいのノーダラが良く見える。この向えの山にも、段々畑が続き、トレイル(道)がある。周りの山々が見渡せ下を見るとヤインディコラー(川)が流れる。どこまでも続く山と川、この景色でももう充分感動できる。でも、この先に続く自然の織り成す風景に期待を寄せる。それは、この足を使ってしか見られない壮大な自然の風景。

 この見晴らしの良い尾根上を気分よく歩いていき、AM9:30ダンプス着。3年前はここに泊まり、この町の中心にある見晴らしの良い丘からアンナプルナT、マチャプチャレなど7〜8000m級の山々を眺めた。到着した日は雲で全く見えなかった山々が翌朝の太陽が昇りはじめる頃突然姿を現し、雪で覆われた白い山が日の出の光を受けててっぺんからオレンジ色に輝き、それがが徐々に広がっていくのを呆気にとられながら見つめていたことを鮮明に思い出す。さすがの私たちもお腹と背中がふっついて空腹に耐えられなくなるまでその場を離れられなかった。その時、今度はあの山に行くぞと決心したのだった。

ダンプスのロッジ

以前宿泊した山小屋は随分きれいになっている。日本語の看板も出ている。立地条件が良いためトレッカーの目に留まりやすかったのだろう。思い出の地でミルクティーを飲む。オーストラリア人男女4人組がどこからかやってきて通り過ぎていった。

 AM10:00再出発。10:00時始業の子ども達と一緒に歩く。子ども達は、寄り道しながらゆっくり歩いているが、一応時間を気にして"what time? "と聞く。"10:00"というとちょっと早歩きをする。みんなショルダーバックのようなのを頭からかけている。学校では、校庭に子ども達が整列している。水色のシャツが日の光を浴びて眩しい。歌声も聞こえる。太陽が昇り、1日が活発になっていく。学校を過ぎたところのチェック・ポストで記帳する。同じく立ち寄った、さっきの若者オーストラリアン2カップル4人組と会話を交わす。暑さに参っている。雨が降るといいねと話していたが、この後、ヒョウに冷たく迎えられるとは。
 チェック・ポストをすぎて50mほどのところで、ポリス・チェック。チェッ(く)!トレイルから横道にそれて随分上のところにある。道筋に設置してくれるといいのに。息をハアハアしながら登る。チェックを終えやっと本格的にスタート。登り、登り、また登り。しかも暑い。ひたすら先へ先へと進む。AM11:00ポタナーでミルクティーを飲む。この間オーストラリアン4人組が通り過ぎていく。また、スタート。思えばこの頃は随分休息をとっていた。次の村(村と言ってもロッジが2件のみ)は峠のデューレリ(ちなみに、デューレリとは峠という意味で山にはいくつかこの名前の街がある)。ここでさっきのオーストラリアンに出会う。彼らはここでランチをとる。私たちはもう少し進むことにする。

 デューレリを過ぎて15分位石の階段を下ったところでぱらぱらと雨が降り始める。峠を下る中腹にロッジがあり、そこで雨宿りも兼ねて昼食をとる。この町の名はビチョック。夫婦と小さい子ども一人の3人家族。ぴよぴよ聞こえると思えば、ひよこ達が親鳥の後をついて回っている。かわいい。kenは、かわいいし、実益もあるので将来飼いたいという。"実益って?"とkanaが聞き返すと、"新鮮な卵のこと"、とkenが応える。ホッ。でも、以後鶏を見ると、鶏とは言わず"チキンだ"と言ってしまうようになった。

親鳥とひよこ達

 ランチを用意してもらっているうちに雨が豪雨になる、そして、ヒョウになった。トタン屋根はカンカンと音を立てるし、地面に落ちたヒョウはピンピン跳ねる。思いも寄らぬ天候の変化に唖然とする。ぐっしょりと汗をかいていた体はどんどん冷え、気温も一気に30度から15度へ。トレーナーを一枚、そしてウィンドブレーカーを羽織るが寒い。山の天気を思い知らされる。予想以上に休息は長くなった。

 PM2:30雨雲が通り過ぎ、雨が上がったので出発。どんどん下る。折角登ってきたのだから下りたくないと思っても下らなくてはならない。川まで下り、吊り橋を渡り、その後上り下りを繰り返す。やがてトルカという村に着く。案外早かったと安心していると、しばらく歩いてもまたトルカ、そしてトルカ。トルカは広かった。と言うよりは、最初に見た山小屋がとんでもない端にあった。
 ここで、アメリカかオ−ストラリアかとにかく英語圏出身ののカップルに会う。今日の目標地点のランドルンまでの道のりについて尋ねる。放してみるとこれまたツワモノ。一般のトレッカーが通らないローカル・トレイルを見つけては登って野宿している。山を登ったところでヒョウに会い、テントを張ったがびしょぬれになったよ、と軽く言っている。登ったという山は、首をぐっと上げてみなくてはならない急激な斜面。もっと「まともな」情報が欲しかったと思いつつ、山には色々な人がいるものだと感心する。私たちは私たちらしくトレックしよう!と思う。というかそれが精一杯。

 トルカを過ぎたのはPM3:00。その後1時間頑張って、PM4:00に目的地ランドルン着。小綺麗なゲストハウス(山小屋ではなくてこう呼ぼう)にステイすることにする。二人で40ルピー。ベット二つにシーツがあるのみ。毛布は置いていない。早速寝袋を使うことになる。他には、欧米人風カップルとガイド兼ポーター付き沖縄県在住の男性。この沖縄さんは疲労度100%。昨日ダンプスに泊まり今日ここに着いたらしいが、もうげっそりしている。私たちと同様アンナプルナ・ベース・キャンプ(ABC)を目指して出発したが、2日目にして目標変更。ガイドが向かいのガンドルンの村がある山を指して、ABCへはこれよりきついと言ったので、とりあえず明日ガンドルンへ行き、その後比較的楽なコースをたどって帰るらしい。

ランドルンからトルカの間

1日3時間程度のトレッキングで行くのだろう。7〜8000m級の山々を間近で見られないのはもったいないが、無理をしないのも一つの選択。けがをしないことを祈る。それにしても、一番安かったと言っても、ガイドに1日8ドルも払っているとは・・・。うちなんて、ガイド兼ポーターで・・・やめとこ、愛するken様に感謝。
 ところで、このゲストハウス、おじさんはいかにもチベッタン仏教の敬虔な信者という感じでにこにこしていて感じがよいが、ホットシャワーと書いていても水しか出ず、食事も2時間以上待たされた。シャワーは"修行"気合い"と言って何とか浴びられたが、食事はいつ出来るのか判らずみんないらいらしていた。しかし、これが山の常であった。これを悟るまで数回の食事を重ねる。日本の常識を持ち込んではいけないのに。


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