2004.11.20

浦和レッズ

Jリーグディヴィジョン1

2ndステージ優勝

リーグ初制覇俺ドキュメント

 

 

04.11.20 優勝の日〜試合前

7:30。駒場到着。朝霧に煙る駒場スタジアムが美しい。慣れない白いタキシードを着せられて、ちょっと戸惑いつつもまんざらでもないような駒場。今日は特別な日になる。

9:00。メインスタンドの紙吹雪セッティングに参加。駒場のトラックに入ることが出来て、少し興奮。陽射しが少しずつ体と空気の温度を上げていく。スタジアムの人間とサポーターの連携と信頼関係、協力体制にいつもながら胸が熱くなるのを感じる。

11:00。開門。

13:30。選手がウォーミングアップを開始。いつもの通り拍手で迎えるサポーター。勝てるようになってからも苦難は続いてきた。鹿島に敗れた一昨年のナビスコ決勝。去年のナビスコ優勝による初戴冠と、その後のリーグ連敗。そして今年のナビスコ決勝での敗戦。サポーターも、油断しないこと、集中すること、の重要さをその都度学んできた。授業料は高く、期間は12年に及んだのだ。今日はリーグ戦のひとつ。それ以上でも、それ以下でもない。少なくとも「そのとき」が訪れるまでは。

13:50。スターティングメンバーの紹介。アウェイチームはブーイングで、ホームチームは拍手と歓声で、それぞれアナウンスが聞き取れないほどだ。GK山岸。DFトゥーリオ、アルパイ、ネネ。MF啓太、長谷部、永井、アレックス、暢久。FW達也、エメ。ギドが想定するファーストチョイスのスタメンが顔を揃えた。

14:00。「ファーストインプレッション」の厳かなファンファーレ。轟轟と音を立てて紙吹雪が舞う。客席からは、空が消えてしまったかのようにさえ見える。

 

 

04.11.20 優勝の日〜Jリーグディヴィジョン1。2ndステージ第13節。浦和レッズvs名古屋グランパス。@駒場スタジアム。

「いつも通りのうちのサッカーをやれば勝てる」。常々、レッズの選手達が口にする言葉である。そしてその言葉通りになった。ただしその言葉の前半だけである。結果は1−2での敗戦。

彼らはいつも通り、彼ららしく、前線から激しくプレッシャーをかけて高い位置で奪って個人技を生かしての攻撃、両サイドも高い位置をキープしてアタックを繰り返していく。その結果は、ナビスコ決勝辺りから引きずる課題を併せて引き起こしていった。すなわちレッズ攻撃陣と相手守備陣の渋滞。スペースに出して永井、エメ、達也の俊足を生かすなどという展開はまったく期待できる状態ではなかったのである。しかも最近のレッズは綺麗に崩そうとする意識が強いためか、プレーのベクトルが中央に寄っていく傾向が強い。今日の試合は特にそれが顕著であった。「勝って決めたい」という気持ちは痛切に感じられるのだが、ややオーバーフロー気味な展開といえる。ただし、レッズの攻撃意識の強さと個人能力の高さは、相手にファールとカードの山を築かせたのも確かだ。得点は、そこから得たPKの1得点だった。

攻撃の気持ちの強さは、最終ライン(及びカウンターを受けた際のカバーリング)のプレー精度を下げてしまうという最悪の状態を引き起こした。前半40分マルケス。後半77分角田(アレックスは最悪のカバーだった)。カウンターから2失点。前線からチェイシングを仕掛け、中盤ではプレスをかけているということは、最終ラインは高く設定され、しかも中盤から前線にかけて多く人数をボールの周辺に割いているということを意味している。一度そのプレス網を突破されれば、最終ラインはかなり脆い。相手がロングボールで中盤を省略しようとする分には問題がない。トゥーリオとアルパイという壁がヘディングでボールを中盤に押し戻せるからである。しかしカウンターで一気にスピードに乗られたときが危ない。ネネもアルパイもトゥーリオも、当たって止めようとする傾向があり、ボールに向かって飛び込んてしまったところを簡単なフェイントやトップスピードになったドリブルで容易く裏を取られてしまう。カウンターを受けた場合は、シュートまでの最短コースをふさいでとにかくディレイを心がけるべきだ。今日のメンバー的には、不用意に飛び込むネネよりも、人に対して粘りのある内舘を最終ラインに入れておくべきだったのではないか。

今日の敗戦で思うことは、いまのレッズに足りないピースはやはり「山瀬」と「坪井」なのではないかということだった。攻撃においては、相手が今のレッズの攻撃陣に対して守備の局面での数的有利を作ろうとするのは当然だし、人数をかけてスペースを埋めようとするのもまた頷ける。それをフリーランニングでかき回し、スペースを生み出す「山瀬」という存在。守備においては、先述したようなカウンターを受けた際に、粘り強く「人」について、一度裏を取られても確実に追いついてディレイできる「坪井」。

レッズは横浜Fマリノスの「アシスト」によって優勝できた。無論、2試合を残して優勝というのは圧倒的な強さだったといって良い。しかし磐石ではないのも確かだ。逆に言えば「まだ伸びしろがある」ということだ。常勝チームを目指して、我々は歩みを止めてはいけない。

 

 

04.11.20 優勝の日〜試合後

負けてしまった目前の試合。ゴール裏はほとんどG大阪の結果を知っている人間がいなかった。駒場では決められないのか。サッカーの神はなんでレッズに対してそこまで意地悪なんだ!・・・しかし、メインとバックスタンドの一部で歓声が上がっている。「・・・もしや」。場内アナウンスが、ガンバ敗戦の報を素早く伝えた。急転、言葉にならない歓喜の雄たけびと紙テープの放物線が、2万通りの形で駒場スタジアムに舞い上がる。敗戦のショックと優勝の喜びの切り替えがうまくいかないサポーターは、一様に戸惑っている。「優勝」という意味を何度もかみ締め、少しずつ飲み込んでいく都度、喜びが湧き上がってくるのである。じわ、じわ、と音が聞こえてくるようにして、サポーターの笑顔が広がっていく。ギドが、暢久が、インタビューを受ける。トロフィーが掲げられる。選手たちが跳ねる。そのたびに、サポーターはカンピオンであることを実感していくのである。

そして選手たちの場内一周。西側ゴール裏、バックスタンド、キッズコーナー、東側ゴール裏、メイン。選手たちが礼をするたびに、再びかき集められた紙吹雪が舞う。KDMがいた東側バックスタンドに選手たちがやってくる。一礼すると、岡野がチェアマン杯を持ってコールリーダー角田さんのもとへ一直線に歩み寄ってきた。ゆっくりと角田さんに手渡されたチェアマン杯が、満面の笑みで掲げられた。その瞬間、KDMは滂沱の涙。涙が溢れて止まらなかった。岡野が、サポーターたちに、優勝の証を、手渡した。それはまるで歴史そのものが掲げられたような瞬間だった。

スタンドに飛び上がった永井が、サポーターたちと抱き合い、サポーターたちからキャップやシャツなどを逆にプレゼントされ、それを抱えて歩く姿に、また涙。

 

思えば、サポーターを意味する数字である「12」年目に、辛酸を舐めつくした駒場スタジアムで、しかも負けて決まった優勝というのは、これ以上ないくらいに「レッズらしい」初優勝の瞬間だったのかもしれない。サッカーの神様も、憎いばかりの演出だ。

試合後は、2万人の観客とスタジアムの係員が総出で、紙吹雪の清掃が行なわれた。ここで流された涙と、歓喜と、感情と、熱量とを拾い集めるように。こんな素敵な祝祭は観たことがない。

 

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