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「ベニー・グッドマンへのオマージュ」

ザビーネ・マイヤー、ウォルフガング・マイヤー(cl)

インゴ・メッツマッハー指揮 バンベルグ交響楽団、バンベルグ交響楽団ビッグバンド(EMI)

 

KDMは高校の頃吹奏楽部に在籍していました。そのころはそれはそれは定期演奏会やらコンクールやらに燃え、いろいろと実り多いようなけして多くないような時期を過ごしました。しかし、こうやって吹奏楽の現場から離れてみると、少なくとも国内の吹奏楽という音楽ジャンルは全日本吹奏楽コンクールと「編曲モノ」によってちょっとおかしげな方向性に行ってる気がしないでもありません。

一応ことわっておきますが、KDMはプロの音楽家対象のコンクールに対しては完全に否定するような人ではないです。プロなら、他人の評価に晒されるのは当然の義務だとさえ思っています。他人の評価なんていうものは、それぞれの聴き手にとっての真実を恣意的に音楽家に押しつけているわけで、それはある意味理不尽で酷いことですが、そういう境遇にあるからこそプロの音楽家は世界的に活躍することが難しいし、逆に社会的にリスペクトを受けもするわけです。そういう意味で自分の実力や感性を他人の評価に委ねるコンクールというのはプロの登竜門としては正常な感じもします。

ただ、実際アマチュアとして吹奏楽でがんばってる人たちのなかには、コンクールに向けて一所懸命努力しそれで充実感を感じている人が多いことをもKDMは知っています。そういうことを否定できないゆえに、KDMはアマチュア対象のコンクールに対しても完全に否定的にはなれないし、なる必要も感じてはいません。ただ、なんというか日本の吹奏楽関係者の間に、全日本吹奏楽コンクールを頂点としたヒエラルヒーが暗黙のうちに成立していて、それと意識せずに「吹奏楽」という音楽フォーマットの可能性を狭めてしまっているような気がするんです。

つまり、吹奏楽コンクールで通用しないような演奏形態や曲目・曲想なんていうのは傍流だよん、みたいな雰囲気です。

吹奏楽を「大規模管打楽器アンサンブル」と定義すると、なんかすごく面白そうなことやってそうですけど(いや、実際面白いことやってる人もいるんですけどね)、吹奏楽コンクールのCDなんて聴くと、「弦楽器を木管楽器で代用したオーケストラ」でしかなかったりして、レスピーギとかコープランドとかベルリオーズとかやってたりするわけです。吹奏楽オリジナル曲もありますが、結局「フルオーケストラでやった方がいいような気がするなあ」という曲も多いと思います。なんだかんだいってビッグバンド風のスィンギーな編曲のポップスとかラテン音楽、スカバンドの曲とかが吹奏楽んなかじゃ一番おもしれえ、なんてことにもなりかねないわけですわ。

吹奏楽って、ほかの室内楽やなんかみたいにひとつのジャンルとしていろんな可能性があるような気がなんとなくするのに、どうしてもフルオーケストラ>吹奏楽みたいな格付けが出来てしまいがちなのがKDMの考える吹奏楽コンクールの弊害です。言うなればフルオケ=メジャーリーグ、吹奏楽=高校野球みたいになっちゃってる。

 

まあそういうシステム的な弊害というのは必ずしも誰かが悪いというようなものじゃなくて、なんとなく慢性的にそんな風になっちゃったてなもんですから、ここでは置いときましょう。(まあそれだけに深刻なんですけど・・・)

KDMが吹奏楽から離れてアマチュアオケに来て、なんちゅーか一番変化したのは木管楽器、とくにクラリネットに対するイメージです。吹奏楽には、クラシック>吹奏楽というイメージを反映していると思われる「編曲モノ」レパートリーがかなりあります。それではなんとクラリネットがヴァイオリンの代わりを務めているという有様でございます。KDMは高校時代から音楽と真剣なお付き合いをはじめたので、なんちゅうかクラリネットは集団でレロレロやるイメージがついちゃってたんですよね。

それがフルオケでは基本的に木管楽器はソロの集団という感じです。で、そういうイメージでクラリネットを捉えなおすと、その音が「こりゃまた結構乙なもんでげすな」という感じに変わってきたんです。木が振動してるって感じがして、気持ちいいッス。

 

今回のこのアルバムは、クラリネット兄ウォルフガングとクラリネット妹ザビーネのマイヤー兄妹をフィーチャーしたもので、ベニー・グッドマンへと捧げられた曲とグッドマン・バンドのレパートリー曲を収録したげに楽しいCDです。クラリネットの巧拙なんてわかるほどこの楽器に通暁しているわけではないですけど、単純に上手いと思います。よく鳴ってるぜい!て感じ(すげー表現^^;)

クラリネットの音が好きになったなんていうならモーツァルトでも挙げろってんだ!という人もいるでしょうけど、これはほんと楽しいアルバムです。アーノルド、コープランド、ストラヴィンスキー、バーンスタインなどなど古き良きアメリカっぷりを満載した曲だらけです。アーノルドはちょっと毛色の違う人でしょうけど、曲自体はスィング・ジャズの王様への提供曲ということでかなりスウィンギーです。

それにCD後半に収録されているビッグバンドのためのアレンジ集という奴がこれまた面白い。前半に続いて指揮を担当したメッツマッハーも低回趣味に陥らず、楽団をビシバシ鳴らして爽快です。メッツマッハーはほんと芸達者な人だな〜。

(2001.9.11)

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