| 九龍で会いましょう サウンドトラック |
ビクターエンタテインメント
VICL-60890
2002年6月現在、テレビ朝日で放送中のテレビドラマ「九龍で会いましょう」のサウンドトラック。
複数の人を愛してしまう男女の葛藤と苦悩を描いた、柴本ふみの同名のコミックが原作です。番組の内容に関して詳しくは公式サイトをご覧ください。
「さよなら、小津先生」や「ごくせん」など、最近の大島ミチルのドラマ音楽はオーケストラによるものが多い中、この「九龍で会いましょう」は、ジャズのテイストを前面に押し出した作品となっています。
特にピアノは、大島ミチルの友人であり、屈指のジャズピアニストである国府弘子が担当しているだけあり、大きな存在感があります。ほとんどの曲で聞くことができるその演奏は、繊細でかつダイナミックであり、作品の完成度を100%以上に高めていると言えるでしょう。
主演もこなす河村隆一自らが作曲、歌っている主題歌"Sugar Lady"のピアノアレンジであるTrack6は、アレンジの美しさも手伝い、ただただ圧倒されます。
ジャズ調以外の曲にも聞き所はたくさんあります。美しいながらも不安感のあるTrack2"薫のワルツ"は、物語のヒロイン、冴草薫の、一見華々しいながらも不安定な立場をうまく表現しています。
Track3"Back Face"、Track10"すれ違い"は大島ミチルが得意とするリズム音の複雑なシークエンスにより、交錯する心理状態を描いています。曲中でリズムを変化させることにより、聞くものに一種のメロディを感じさせる手法は、本来のメロディーがシンプルである分、より際立つでしょう。
これらの曲は、作品の方向性を散逸させることなく、音楽世界の深みと幅を広げています。
上品で瀟洒な大人のムードでまとめられた音楽は、録音状態も非常によく、艶のあるピアノの演奏、ベースの弦が震える音、ドラムの余韻まで存分に味わうことができます。ぜひ、静かな部屋で良いスピーカー、ヘッドホンを使って聞いてみてください。