NHKスペシャル「データマップ 63億人の地図」

ヤマハミュージックコミュニケーションズ
YCCS-10003

2004年にNHKで放送されたドキュメンタリー番組「データマップ 63億人の地図」のサウンドトラック。
平均寿命、失業、貧富の格差など、現在の世界が抱える様々な問題を、「データマップ」と呼ばれる、地域ごとのデータを可視化した地図から読み取り、今まさに問題に苦しんでいる地域と、問題の解決方法を模索している地域をルポタージュする番組です。
データマップは、時には残酷な現実を冷静に視聴者に見せ付けますが、その向こう側には確かに人の営みがあることも、番組ではしっかりと主張しています。音楽も同じで、データマップ解説時に流れる、シンセサイザーを多用したシャープでドライな曲と、オープニング、エンディングや、ルポタージュ時に流れる優しさにあふれる曲が、対照的でありつつ、互いに補完しあって一つの作品を作っています。

Track1“63億人の地図 Main Theme”は、タイトルどおり本作のメインテーマ。ストリングスをメインに据えたシンプルなメロディラインを、暖かい響きの金管楽器群が追うことにより、壮大で、なおかつ優しいテーマ曲に仕上がっています。
Track2“子供たちへのまなざし”は、ストリングスとフルートを使って演奏される曲。宇宙的な視点から地球を描いた前曲から一転し、母親の視点でひとりひとりの子供たちを見守るような暖かさを感じることができ、こちらもタイトルどおりの曲になっています。 Track3“希望の空”は、番組中で常に模索していた「未来への展望」を表現する曲だと言えます。昔の大島音楽に詳しい方はなら、展開にある主の懐かしさを感じることができるのではないでしょうか。
Track4“守りたいもの”は、西村由紀江作曲・演奏のピアノソロの曲。聞いた時に受ける印象は、まさに「無垢」です。「守りたいもの」とは、生まれたばかりの赤ん坊かもしれませんし、人間の侵食があれば壊れてしまいそうな、はかない自然なのかもしれません。
Track5“63億人の地図 Main Theme(Panpipe Version)”は、パンパイプによるメインテーマのアレンジ。後半部分ではゆったりとしたストリングスの演奏となります。同じメロディーでも、楽器構成やテンポを変えるだけで、受ける印象がずいぶんと違うのに驚きます。
Track6“気付かない神秘”は、ウインドシンセとソプラノサックスが甘くささやきあう曲。本CDの中ではシンプルな作品ですが、ソプラノサックスが奏でるメロディが心地好く、最後まで聞くものを飽きさせません。
Track7“宇宙の大地”は、データマップ解説時によく流された曲。物語性を取り去った、環境音楽風の作品は、データマップと言う、それ事態には意思がないものを表現するのにぴったりです。
Tack8“63億人の地図 Main Theme(Long Version)”は、メインテーマの別アレンジ。未来への展望をより感じさせるアレンジは、各回のクライマックスで流されました。
Track9“限りない鼓動”は、きらびやかなシンセサイザーを配した、Track7と似たような役割を持つ曲。ただし、こちらのほうが、より明るく前向きな印象を持たせてくれます。
Track10“着実な歩み”は、NHK BS「ディベートアワー」のテーマ曲。毎回「データマップ〜」で取り上げられたテーマを、識者が討論する番組として企画されたものです。これまでの曲たちに比べると金管楽器を前面に出した、安定感のある力強いリズムを感じる曲です。
Track11“From the Earth”は、ダイナミックに弦楽器、金管楽器を配置した、テーマ曲以上に壮大とも言える曲です。ただ、ポータブルプレイヤーの貧弱なアンプでは、音が割れるのが残念。 Track12“Blue Herd”は、角笛をイメージさせる金管楽器(ホルン?)によるイントロからファンファーレ風に盛り上がり、勇壮なマーチへと展開していく、聞いている者も勇気づけられる曲です。メロディー、アレンジ、展開、曲名いずれも素晴らしい曲が多い本作品の中でも白眉です。
Track13“Ancient Dream”は、今までの曲が主に「人の営み」を表現したものだったのに対し、太古からの自然の生命力を表現することにより、別の視点から地球を描いた曲と言えます。
Track14“Amazing Planet”は、落ち着いた伴奏が、今まで様々な曲で表現されてきた人、自然、地球をすべて内包し、どのような未来が理想的であるかを問い掛けているように感じます。
Track15“63億人の地図 Ending Version”は、チェロの独奏から始まるテーマ曲のエンディングバージョン。様々な問題を抱えつつも、等しく流れる時の中で生きる人々の未来を予測しながら、スタッフロールへと続きます。
そして最後のTrack16“63億人の地図 Main Theme(Piano Solo Version)” は、番組テーマ曲のピアノ・ソロ・アレンジです。

大島さんの仕事としては久しぶりのNHKスペシャルとなった本作は、「生命〜46億年はるかな旅」や「大英博物館」に比べると注目度は小さいかもしれませんが、番組のテーマの表現力は、決して勝るとも劣りません。テーマを的確に表現した各曲の曲名も素晴しいと思います。西村 さんのピアノ演奏にも注目したい作品です。
2006年4月からは、朝の連続テレビ小説では「あすか」以来の音楽担当となる、「純情きらり」が始まります。今後のNHK系番組での活躍も楽しみです。

  1. 63億人の地図 Main Theme ... 2:48
  2. 子供たちへのまなざし ... 2:36
  3. 希望の空 ... 2:42
  4. 守りたいもの ... 2:26
  5. 63億人の地図 Main Theme(Panpipe Version) ... 2:19
  6. 気付かない神秘 ... 2:31
  7. 宇宙の大地 ... 3:09
  8. 63億人の地図 Main Theme(Long Version) ... 2:40
  9. 限りない鼓動 ... 2:06
  10. 着実な歩み NHK BS「ディベートアワー」テーマ曲 ... 2:06
  11. From the Earth ... 2:49
  12. Blue Herd ... 2:36
  13. Ancient Dream ... 2:55
  14. Amazing Planet ... 2:56
  15. 63億人の地図 Ending Version ... 1:20
  16. 63億人の地図 Main Theme(Piano Solo Version) ... 3:00
    (M-4、演奏・作曲・編曲:西村由紀江 M-16、演奏・編曲:西村由紀江)
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