| 青に捧げる |
EARTHRISE RECORDS
SZEC 1004(復刻版)
「ワーズ・ワースの冒険」のテーマソング「シャ・リオン」を歌う河井英里がリリースするミニアルバム。
ヴォックスのみの曲であるTrack1"キストゥリナ"を除く4曲が大島ミチルの編曲、そのうち1曲Track5"Moon〜静かの海〜"は作曲も担当されています。
長らく廃盤となっていましたが、最近so-netのコンテンツ「廃盤復刻計画」により再販され、容易に入手できるようになりました。
それぞれの曲はアコースティック楽器とリズム(生楽器、シンセサイザー双方を含む)がバランスよく絡み合う、往年の大島音楽でよく見られた楽器構成によるアレンジとなっています。また、絶妙なベースの展開にはいつも感心させられます。ヴォーカル系の曲では普段あまり意識されないであろう楽器ですが、ぜひ一度注目して聞いてみてください。
Track1"キストゥリナ"は、綺麗でかつ深みがある河井英里の声を存分に味わうことができる聖歌風の曲です。
Track2"にわか雨"は、情緒的な歌詞とメロディーが心に染み渡る作品。サックスとタムが加わった、ダイナミックな間奏部分の演奏は圧巻です。他の曲も含め、河井英里が書くメロディーは大島音楽に通ずるところがあるのではないでしょうか。ある部分では日本的、別の部分では西洋的な側面を持ち、それがめまぐるしく変わりながらも、ひとつの作品としてまとまるための「核」はきちんと持っている。そこにオリジナリティーを感じることができます。
アルバムの題名曲でもあるTrack3"青に捧げる"は、小さな泡がはじけるような小刻みなリズムと伸びやかな声が、不思議な調和を醸し出しています。サビでは、元気の良いヴォーカルと伴奏が、互いに競合するのではなく、協力しあって曲のテンションを高めようとしているところが聞いていて気持ちいいです。
Track4"川下り"は、一転してスローテンポの曲。ピアノの伴奏とリズムが印象的なアレンジですが、その背後で曲に厚みを与えているストリングスにも注目したい作品です。
ラストのTrack5"Moon〜静かの海〜"は大島ミチルの作曲。リコーダーのメロディーとハープの伴奏によるたおやかなメロディーを、コンガのリズムを用いてまとめています。リコーダーとハープはどちらも柔らかい音の楽器であるため、この2つだけで曲が構成さえると眠たい感じになってしまいますが、コンガのリズムが加わることによって、曲全体の輪郭がはっきりとしてきます。
最初に本作が発売された直後に所属レーベルが閉鎖されたという事情はあるにせよ、このような本当に優れた作品がメジャーの場であまり取り上げられなかったのは残念です。今回の再販を機に、より多くの方が河井英里と大島ミチルの魅力に触れてほしいと思います。