はじめに

 まず最初に、自省も兼ねて、Web上で自分の考えを伝えることの意味について考えみたいと思います。
 ネットワーク上に限らず、人が他人に自分の思いを伝えたいと思うきっかけは、大きく分けて次の4つに分類されるでしょう。

  1. 嬉しいことや悲しいことは、ついつい人に言ってしまうという人間の性(さが)。いわゆる「ねぇねぇ、私の愚痴聞いて」というやつである。
  2. 意見をいうことそのものよりも、「意見を言う能力」を人々に見せつけたい。
  3. 「自分」という存在を理解して欲しい。
  4. 様々な経験、分析からある理論を示し、他人にそれを知ってもらい、行動の指針として欲しい。

 まず、1のケースに関してです。
 ネット上で無差別に愚痴をばらまかれたら、たまったものじゃないです。
 愚痴を言うことの効用は否定しませんが、愚痴を聞いて愉快になる人はいませんから、愚痴を言う相手は最小限にして欲しいものです。
 また、この場合、愚痴を聞いてくれる存在が必要なわけであって、愚痴そのものからのリアクションを期待しているのではないでしょう。ですから、厳密な意味では双方向のコミュニケーションとは言えないかもしれません。
 もちろん、愚痴ではなく、「○○が良かったよ!」などという発言は、それほど問題ではないでしょう。ほめられて怒る人はそうはいないですから。

 2のケース「意見を言う能力を見せつけたい」が、一番やっかいな存在しょう。
 このような行動をとる人は、確かにそこそこ優秀で、基本的に言っていることは正しいです。彼らは、誰も聞いていない、そして必要もないことを細かく語るのを好みます。情報そのものによる利益よりも、自分がこれほどのことができる(情報をたくさん握っている、論理的思考に長けている)という満足感を欲しているように見えます。しかし、程度の問題ですが、はっきり言ってこのような態度の人間とつきあっていい思いをしたことは一度もありません。「完璧主義」や「弱肉強食」が嫌いな人間のひがみかもしれませんが、「能力を見せつけたい」人間には、たいていこの二つの傾向が備わっているからです。
 彼らは、基本的に正しい事を言っていますから、一見批判の余地が無いように思えます。しかし、彼らのやり方で満足感を得るためには、他者との差別を意識する必要があることを忘れてはなりません。何よりも彼らの行っていることはコミュニケーションではなく、他者を利用した自己実現なのです。
 こんなことを言うと、「最近の若い者は傷つくことを恐れて……」などという話が聞こえてきそうですが、自分はそのような考えには反対です。
 このような配慮をするのも、ネット上の議論で傷ついた……とまではいかなくても、不愉快になったことがあったからです。何かを言うことを遠慮することはないと思いますが、だからと言って他者の心情を無視して良いわけではありません。
 そもそも、本当のやさしさは(悲しいことに)自分自身も傷つかなければ得られないのではないのでしょうか?

 3のケースは、もっとも日常的な行為でしょう。この文章も、基本的にこの姿勢で書かれています。自分の考えを人に伝え、それを理解して欲しいという欲求は、人間として当然のものです。
 しかし、自分の考えが「愚痴」にならないように気をつける必要があります。重要なのは、「自分を知ってもらい、より円滑なコミュニケーションを行おうとする」という態度なのです。その意味で、たとえWeb上で公開した文章だとしても、双方向のコミュニケーションと言えます。だからこそ、常に読む人間の存在を意識して、ものを書く必要があるのです。

 4のケースは、これまでとは少し異なります。いわば、学者や批評家の立場といえます。上の3つのケースは、基本的に主観的な視点で行われる行動ですが、このケースでは、分析がどうしても必要になります。このケースで重要なのは、「自分」ではなく「理論」を伝えるのが目的である、ということです。
 なぜ、ここで「理論」と書いたのかというと、(極論かもしれませんが)分析なしの批評、というものは存在しえないと考えているからです。分析をした以上、その方法やある考えに至った経緯が理論として残るはずです。それは誰にでも理解できる客観性を伴っているでしょう。
 もちろん、世の中には「批評」と呼びつつも主観的な評価だけで書かれているものもありますが、それは本質的には1や3のケースと変わりません。また、批評をしているつもりで、表面的な数値の比較しかしていない、というのもいただけません。
 愚痴や情報の垂れ流しと批評の区別がついていない発言が多々見受けられるだけに、この点は強調しておきたいと思います。

 以上のことを踏まえた上で、ネットワーク上で自分の意見を言うとき、次のようなことに気をつけることにしています。

 これは、My Opinionに限らず、他のコーナーでも同じことです。

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