◆9月30日(火)
| 大学敷地内の川にかかる橋。お気に入り風景のひとつだ。部屋から歩いてたった20分の距離なのに、行きたくても行けない。秋学期が始まって、何が何やらよくわからないままに忙しくなった。最近は散歩にも出ていない。うう、行きたいぞ。――遠すぎた橋、なんちゃって。 |
月・火は授業がないので、ひたすらリーディング。相変わらず大学のサーバーは不安定で、おまけに東京の大学のウェブメールまでおかしくなった。ネット周りでは頭の痛いことが続く。銀行口座のチェックに行くが、今日も送金はなし。アメリカから奨学金を送ったと言われてから、10日が経った。海外送金ってこんなに時間のかかるものだったかしら。
◆9月29日(月)
| 暑さにもかかわらず、今年も国内のリンゴの生産は良好だと新聞に書いてあった。よくスーパーでパックで売られているのは左の Royal Gala(NZ)で、手のひらサイズ。ランチボックスに入れるには手ごろな大きさだ。イギリス人が誇らしげに発音するのは、右のコックス(Cox's Orange Pippin)。真っ赤ではなく、赤みがかった緑。どちらも生食用。「風邪? 日本の薬じゃ効かないよ、こっちのじゃないと。アスピリンよりもパラシータモ(だったかな…)のほうが効くけど、僕が実行しているのは一日3個のコックス」 |
正午に締め切りのエッセイを英文科事務室に提出に行ったところで、やはりぎりぎりに出しに来たC(新)から「コーヒーでも?」と誘われ、スクエア(構内の広場)の階段に座っておしゃべり。快晴の空の下でコーヒーブレイクというのもなかなか楽しい。多くの学生が同じようにくつろいでいる。C(新)は伝記作家志望で、これまで4年間家に篭って書いていた処女作が、来年4月にイギリスで出版されるそうだ。わあ、ぜひ読ませてね。それは曾曾祖母の伝記で、次作もfamilyの伝記らしい。途中から、彼女の知り合いで歴史を勉強している学部生(米、テキサス)も加わった。午前中にアメリカの歴史について1時間もプレゼンをしたそうで、ほっとした顔をしていた。
今日も入金はなし。寮に戻ってチーズサンドイッチを作り、昼食。冷蔵庫が空っぽなので、町へ買い出しに出る。フラットメイトに教わったTESCOの隣の
John Lei Chinese World
という中華食材店で「出前一丁」を無事入手。セインズベリーまで歩いて、両手に一杯のお買物。Nectarカードでたまった500ポイント(£2.50分)を使う。
| 疲れたので、とりあえずアフタヌーンティー。電子レンジで1分温めると、セインズベリーの6パックスコーンでもかなり美味しい。バター、ジャム、それに生クリームは便利なスプレー缶。日本で食べるマンゴーは平べったくて黄色いが、こっちで売られているのは丸くて赤か緑。こんな風に賽の目に切るのではなく、チップス型のほうがいいかも。味は……繊維が多くて、どちらかというとパイナップルに近い感じ。 |
John Lei で「S&Bゴールデンカレー」を見つけたので、久々に今日は日本のカレー。明日もあさっても、たぶんカレー。
![]() |
初めて気に入った! またもやY(日)にご馳走になってしまったビール。Foster's、オーストラリアのビールで、とても飲みやすい。これならパブでもよく見かけるし、大丈夫そう。よかった、よかった。日本人3人で、課題を気にしつつ食後のお茶。K(日)に和菓子と日本茶をご馳走になる。これは松江の松風(まつかぜ)、味噌風味のカステラ。なんだか、まったり。 |
夕食中に三谷の話題になり(11月から「違いのわかる男」CMに出演するらしい。見たいぞ)、日本から持ってきた『オケピ!』を見る。世話になった友人に再び感謝。
◆9月28日(日) 工事中
| 今日は駅の近くのDevonshire Place で Briefing Meeting。市長代理(女性だった)、ロータリーのお偉いさん方、過去の奨学生、などのスピーチが続いて、お昼すぎに解散。帰りの電車のなかで、ホストファミリーが作ってくれたお弁当を開ける。オレンジジュースが2つにタンドーリチキンとチーズのサンドイッチ。ポテトチップスとチョコレート……小さいお子さんのいるお宅のせいか、かわいいお弁当だった。 |
午後4時すぎ、ノリッジに到着。久しぶりの大学と寮は、すごく懐かしい感じがした。S(中)が遊びに来たのでお土産のレスターチーズを渡し、お茶を飲みながら旅行の報告をする。私のために中古の炊飯器を見つけてくれたというので、今度は彼女の部屋に受け取りに。中国製で、彼女によれば「このメーカーはコン・リーが宣伝しているから大丈夫」だそうだ。早速ためしに夕飯のライスを仕掛けてみると、面白いほど簡単に、しかも美味しく炊けるのだった。感謝。
![]() |
合宿の無事終了を祝って、奨学生仲間と乾杯。私のレスターチーズに合わせて、赤ワインを差し入れてくれた。冷蔵庫が空っぽなので、作った料理は冷凍食品ばかり。味噌汁もインスタント。電子レンジで5分のセインズベリーのキッパーは、意外なおいしさで、ご飯によく合い、大好評。 |
◆9月27日(土)工事中
◆9月26日(金)工事中
| 朝焼けは羊飼いの……なんだったかしら。―Morning
glow? 見てないわよ。早起きなのね。……っていうけど、このところの日の出時刻は7時近いし、決して早くは……まあ、早起きといえば早起きかな。 部屋の窓から左の奥のほうを眺めた風景。2台見えるクレーンは、隣に新しい寮を建設中なのだ。工事は去年から始まっていて、2005年度から入寮できる予定。来年の学生はラッキーかも。今年の春、日本から寮の申し込みをしたとき、「キャンパス内、特に近辺の寮では騒音の可能性があります」と言われ、たしかに朝7時ごろから午後早い時間までトンテンカンとやっている。気になる人にはつらいかも。怪我の功名というか、私の部屋を羨む人に「ここは騒音がひどいのよ」ということができて、ちょっと便利。イライラして気になる日は、徒歩3分の図書館に行けばよいのだし。 |
午後2時から今学期のもうひとつのゼミ、forms of narrative に出席する。こちらは『ユリシーズ』からフランスのヌーボーロマンまでの流れを追うセミナーで、12回の授業のうち、5回を『ユリシーズ』に宛て(読めるはずがない…)、その後ベケット、サルトル、サロート、ロブ・グリエ、と進む。メンバーは11人、non-native はインド人の男の子と私の二人。アメリカからの留学生が何人かいる。ゼミの進行は母校の小説ゼミと同様、毎回1〜2人の発表の後でディスカッションをする形。tutor の Dr Victor Sage と相談の上、私の発表は11月末にサロート『トロピスム』に決まった。ゼミを早退して、駅に向かう。
| 《世界の車窓から》――本物だぞ。ノリッジ駅からアングリア線(日本と同様、イギリスの国鉄も数年前に民営化された)に乗って、レスターへ。一日3〜4本しかない直通電車に乗れた。ラッキー。西へ、北へ、と向かうので、夕日を追いかけて走っているような感じになる。行けども、行けども、空は夕焼け。やがてとっぷりと日が落ちた。 |
レスター駅に降りると、黄色いゼッケン(じゃないけど)をつけたロータリアンが案内をしている。なるほど、後についていけばいいのね。登録会場となっている Devonshire Hall で名前を告げると、ホストファミリーを割り当てられる。F(台)と二人で郊外の中小企業の社長さんD宅に泊めてもらうことになった。お迎えの車で、レッツゴー。奥さんのJと9歳の男の子ハリーくんが笑顔で迎えてくれた。もう遅い時間だが、ダイニングで夕食。スタッフィングなど、とてもイギリスっぽい料理だった。居間に場所を変えて、コーヒー。深夜までいろいろ話す。十勝沖地震の話題になって負傷者が400人くらいだと話していたときにF(台)が"That's nice."と一言。ご夫妻はとても困った顔をした。きっと会話の内容がわかっていなかったんだな、とは思っても自国の話なのであまりいい気がしない。きっと私もしょっちゅう周囲のイギリス人たちを困惑させているんだろう。
◆9月25日(木)
| 新学期の間、10日間ほどキャンパス内に常駐していたおまわりさんたち。外国人登録や学内の警備、自転車の登録、防犯指導などをしてくれる。右は学内新聞のひとつ、「コンクリート」。一面の写真は大学名のパロディで、「入学許可出しすぎ大学」――この大学は頭文字が好きなので、大学名の頭文字がよくパロディに使われる。大学院留学生には1年間、学内の寮に住むことを保証するのがウリなのに、今年は部屋が足りず、現在300人もの学生がホテルやB&Bで生活しながら部屋が空くのを待っている。気の毒だ。 |
◆9月24日(水)
| 霜が降りた。一昨日までノースリーブシャツを買おうか迷っていたのが嘘みたい。 We had some frost this morning. 朝食のときに誰かに会うと必ずお天気の話になるので、キッチンに行く前に天気予報をチェックしたり、こんなお天気の英会話文句を確認したりする習慣がついた。なるほど、Some frost fell. と言ってはいけないのね。よーし。 |
8月下旬にウィルス攻撃に遭った大学のサーバーはまだ不安定で、IEを開いて繋がると、ラッキーという感じでメールのチェックに行く。東京のメールサーバーのほうが信頼できるので、ウェブメールも母校のを使っているが、今朝もクレズ付メールを除去してくれた。こんな状態だから、チャットに行っても5分ほどで落とされてしまい、すっかり意気阻喪。落ち着くまではやめておいたほうが無難なようだ。メールで連絡が取れないこともあって、買ったばかりの携帯電話が活躍している。
ここ10日ばかり憂鬱なのは、ロータリーの奨学金の問題。奨学金は2回に分けて支払われる予定で、到着と同時に第1回分を受け取り、使用明細報告書を書いてアメリカ本部に送ると、第2回分が支払われるという仕組みになっている。私がのんびりしていたのもいけないのだが、ホストカウンセラーがvacation
に入り、その間は訊くことができなかった。彼らが休暇から戻ったのが9月12日で、その日初めて「お金はいつもらえるの?」と尋ね、調べてもらったところ、7月に本部からすでに小切手は郵送されていたが、その住所が間違っていたことがわかった(その小切手はどこに行ったんだ?)。エバストンの本部が前の小切手を無効にし、私の銀行口座に直接振り込む手続きを始めたのが17日で、「22日ごろに入金されると思うから受け取ったら報告してください」――と言われても、海外送金がそんなに速やかに行われるはずがない。仕方なく22日(月)から毎朝銀行窓口でチェックしているが、いまだ届かず。これが経済的に自立していない若者だったら、相当のパニックに陥るのでは。
正午からギターレッスン。今日は新しくD7とEmのコードを習い、"Let
It Be"(SMAPではなく)の練習に入った。で、再びギターを借りる。「毎日練習しなさいね」 左手の指がパンパン。朝から晩まで飽きずに弾いている幸ちゃん、一体どんな指をしてるんだ……。
午後2時からBiographyのゼミで、今日は Week 0、つまりイントロダクション。英文科のMAコースは秋学期と春学期にそれぞれ2つずつのゼミを取ればいいので、「週2コマ」ならついていけるかな、と思っていたが……1コマ=3時間だと知って愕然とした。世の中、そんなに甘くない。東京では1コマ=90分だから、2コマ分というわけ。リーディング・アサインメントもその分多いのだ。なるなる。
英文科事務室となりのゼミ室に入ると、なんか雰囲気が違う。学生の年齢層が高いのだ。もちろん、こちらの人は日本人より更けて見えるものだが、それにしても……。私にとっては、きゃぴきゃぴの若者たちの中で勉強するよりははるかに嬉しい。このゼミは人気があって、張り出された採用リストには補欠も2人いた。伝記についてはイギリスでは歴史があるし、去年ゼミで『オーランドー』を読んだときにウルフの伝記に対する考えなども勉強したのでこのゼミを選んだのだが、ほかの人たちはもっと明確な目的、つまり「伝記作家になる」ために勉強しに来ているのだった。年齢層が高いのもそのためで、ロンドンから通う学生もいる。tutor
のリチャード・ホームズ教授は30年間アカデミズムの外で活躍していた伝記作家で、ウィットブレッド賞も受賞したことがある。3年前に伝記コースを設立する際に大学が招聘した先生で、日本では知られていないがこちらでは有名人。
最初にコース内容とアサインメントについて説明があった後、ひとりひとり研究室に呼ばれて面談と相成った。待っているあいだ、近くに座っていたW(英)に誘われてカフェテリアでコーヒー。彼女は市内に住み、週に3日City
Council で仕事をしている part time
の学生。MAコースには full time と part time
があって、part time
は各学期に1コマずつ取り、2年間で修了する。お子さんは9歳の男の子で、市内のカトリックの
primary school に通っているそうだ。ご主人はロンドンへの出張が多いので、あまり夜遅くまでは学校に残れない、など、いろいろな話を聞き、それにちゃっかりCity
Centre のアジア食材店などの情報も仕入れた。さて、面談は5分くらいで、これまでの研究暦や志望動機などについて訊かれた。思った通り、ゼミの学生16人中、non-nativeは私ひとりだった。語学の点で不安があると言うと、教授は私が応募時にサンプルテキストとして大学に提出していた修論(第1章)のコピーを取り出し(ひええ)、「君の論文を読んだが、特に問題はないと思う」と言ってくれた。不安なら、エッセイの提出前にクラスメイトにproofreadingを頼めばいいから、あまり心配しないように、とも。今後の方針については、まずはクレア・トマリン(Claire
Tomalin)辺りから手をつけてみてはどうかと勧められた。彼女はジェイン・オースティン、メアリ・ウルストンクラフト、キャサリン・マンスフィールドなどの伝記を書いている。
終了後、クラスメイト5人で大学内のパブへ。「大学内」にパブがあるというのも不思議な感覚だ。しかも、正午からお酒が飲める。3つのパブがあって、うち一つは院生専用(だが、別にチェックがあるわけではない)。2階のGrad's
bar に行く。D(英)が一杯おごってくれた。彼は学部はオックスフォードだったそうだ。今夜は市内のB&B泊。ニュージーランド人のC(新)はオフキャンパスに住み、E(英)とS(英)はロンドン在住でやはりB&B泊。最初は日本の話などもしたりしたのだが、途中からまったくついていけなくなった。くやし。
夕方、英文科でパーティ。やはりアジア人はほとんどいない。会話が半分しかわからない。つらいなー。創作コースのC(米)がご主人を連れてきた。彼女は会話についていけてるか、などいろいろ気をつかってくれる。ありがたや。2時間の予定だったが、90分でリタイア。
◆9月23日(火)
| こちらの救急車はずいぶんと派手だ。さっと通り過ぎていくのでシャッターチャンスを得られずにいたが、珍しく停車中だった。後ろの建物はこの町にただ1軒だけあるスタバ。 |
日本は祝日なんだろうな。暑さ寒さも彼岸まで――どうしたことか、ここイギリスでもこの慣用句どおりになった。昨日は26℃だったのに、今日は15℃。「寒いねえ」と言いながらK(日)と朝食。彼女が丸いお餅を安倍川にしてくれて、激うま。天気予報を見たときは「まさかね」と半信半疑だったが、午前中の授業に出たら"It's
freezing!"と叫ぶくらいぶるぶる寒くて、ジャケットを取りに部屋に戻った。
午前中は英文科のMAコース全体の説明会(評価方法などについて)で、午後はフィクション・モダニズム・比較文学の3コース合同の説明会。英語に不自由しているのは私くらいのもので、聞き取るのに必死。学生の人数はぐっと減って、15人くらい。んー、まだ友だちはできない感じ。
奨学生仲間をフラットに呼んでお茶。久しぶりに思い切り日本語でくっちゃべった。もともと間食をしない性質なので、お客さまはふだん食べないケーキやクッキーを味見できる貴重な機会。学内のコンビニで買ったイギリスのレモンケーキ、けっこう悪くなかった。面白いことがわかった。私の部屋の前の住人もやはり日本人女子学生だったこと。そして……彼女とは顔見知りだったのだ。翻訳の専攻の方で、私が翻訳の仕事をしていたことを知って「本をお譲りします」と言ってくれたのだが、引越しを控えていた私は「両手でも一度では運べない重さ」というお言葉に泣く泣くご遠慮したのだった。もちろん、もしここに入るとわかっていても、クリーニングが入るので置いていくことはできなかったろうけれども……なんとも皮肉。
フラットメイトのY(日)くんがキッチンに訪れたハエを叩いたので、Flytrap
の餌にもらった。ハエトリソウはすかさず葉を閉じ……ちゃんと消化できるかな。結果はいかに。
| ITVの人気番組、『Eastenders』。10年以上続いているソープオペラだそうで、なんと週に5本も放送されている。30分番組だから、NHK朝の連続ドラマ小説よりすごい。ロンドンのイーストエンドの設定で、恐ろしいほど会話が聞き取れない。いつかわかるようになるのだろうか。悲し。 |
◆9月22日(月)
| 秋まっさかり。こちらの校舎にもツタはからまっていて、赤や茶色に変わった葉がどんどん落ちていく。『ER』を見ていると、ときどき ivy poison のエピソードが出てくるが、アメリカと違ってこっちのアイビーは触っても大丈夫。そうそう、第7シーズンでイギリス人のエリザベスが ivy poison のことを知らず、マークと二人でかぶれてしまうエピソードもあった。 |
秋学期スタート。スケジュールは学部によって違い、すでに授業のはじまったコースもあれば、うちの英文科のようにまだ登録が終わっていない学科もある。午前中は図書館で勉強。銀行、会計課、ポストなど雑用を済ませ、寮に戻ってランチ。水を入れて煮るだけのチーズリゾットの素はたいへん便利。こちらでは安く手に入るブルサンチーズとバター・牛乳・塩でチーズソースを作り、茹でたブロッコリを煮てみたら、結構うまくいった。翻訳フォーラム周辺で人気のブロッコリ料理、一度ならずレシピを送っていただいたにもかかわらず実行しないままに終わっていたが、もしかしたらこんな料理だろうか。
午後3時から Congregation Hall
という講堂で学部生に続いて、英文科の Welcome
Meeting。学部長、MAコース担当長など4人のスピーチ。英文科院生は220人で、うちMAが160人。フィクション、創作、映画、米文学、比較文学、伝記、…など14のコースがあり、フィクションは15人、モダニズムは6人、という具合らしい。アジア人は少ない。日本人は私ひとりだし、中国人が2人、タイ人が1人。ほかの人たちはどこの国の人かな。
ホールを出ると、ザーザー降りの雨だが傘がない。このところ晴れ続きだったので油断していた。びしょぬれになっても、寮住まいだとすぐに熱いシャワーを浴びることができる。なはは、こういうの一度やってみたかったのよね。昼間は26℃だったのが、雨の後どんどん気温は下がり、冷えて込んできた。夕方、セインズベリー・センターという学内の美術館で留学生向けのレセプション。Vice
chancellor(副学長)代理と市長の挨拶。昼間のミーティングでもそうだったが、「UK大学トップ20」を強調している。これは5月にガーディアン紙が発表したランキングで12位だったことを指している。でもこういうランキングは流動的だし、基準もいまひとつ。創作コースのアメリカ人学生2人と話す。がんばれ、未来の作家たち。
| ユニオン(組合)の House Plant Sale で衝動買いしてしまった Flytrap、ハエトリソウだ。日本でも売っているのだろうが、今まで私の生活行動範囲にはなかった。えーと、育て方はっと。This bogplant likes much light -- place pot in a saucer with always 0.5 centimetre of water -- prefers rainwater -- do not apply fertilizer -- keep plant cool during winter. なーんだ、簡単そう。never make the trap shut in an artificial way.…と言われても、触りたくなるのが人間というものだ。葉の内側にヒゲが3本ずつついていて、それに2度続けて触ると閉じる。一度閉じると、まる一日開かない。虫、来ないなあ。餌をあげないといけないかしら。 |
◆9月21日(日)
| 寮の前の丘。ゆるやかな坂を下っていくと、Broad(湖)に行き当たる。木々の葉が赤く変わり、すっかり秋。夕食前に時間があると、この辺でギターの練習をする。そこらじゅうにリスやウサギがいて、着いた当初は「うわー、田舎のにおい〜」と思ったが、もう慣れてしまった。気がつくとウサギの糞の上に座っていたりする……。 今日の予報、最高気温は26℃。こういうの、インディアンサマーっていう? 「言うわ。普通は10月だけど」 暖かい構造の部屋では寝苦しく、船便に忍ばせた「うちわ」が大活躍。お寿司作りに使おうと思ったんだけど。 |
BBCラジオはネットで聞き放題。別に日本でも聞けるのだが、時差のないところだと臨場感があっていい。平日の朝はたいてい「4」のトークを聞くか、「1」の音楽をBGMにするかしている。日曜日の朝は「4」で礼拝が放送されるのが、いかにもイギリスらしい。今朝、「2」の Good Morning Sunday で流れたエルトン・ジョン『Your Song』のチェロ版がとてもよかった。演奏はJulian Lloyd Webber。最初、ジュリアと聞こえて「うへえ、ロイド・ウェバー、また再婚したの?」とネットで調べたら(私にとってロイド・ウェバーと言えば『オペラ座の怪人』のアンドリュー・L・W。彼はサラ・ブライトマンと再婚する前の奥さんの名前もサラで、3番目の夫人はマデレン)、ジュリアンはアンドリューの「弟」だった。有名なチェリストらしい。覚えておこう。
![]() |
テレビガイドのページをめくっていたら、ジョージ・クルーニーの写真があった。ずいぶん若い頃みたい。何かしら。赤字のキャプションは"Clooney has zero chemistry with Mindy, with whom he's suppoosed to strike sparks"……ちんぷんかんぷん。have zero chemistry は「まったく気が合わない」、strike sparks は「才能を発揮する」。で、ミンディって誰よ――仕方なく、記事に目を通す。アメリカで failed pilots (シリーズ化されなかったパイロット版)の特集があって、そこでクルーニーが出演した"Rewrtie For Murder"(1991)が放送されたのだそうだ。Whatever your opinion of his celebrity standing, I guarantee you won't be able to get through more than a minute of his Trio selection, Rewrite For Murder before rushing out to rent a Batman And Robin/ One Fine Day/ Peacemaker triple pack in solidarity. クルーニーの相手役がパム・ドーバー(Pam Dawber)で、彼女はロビン・ウィリアムズと組んで『モーク&ミンディ』(シットコム、1978〜)を大ヒットさせた女優さん。クルーニーほどパイロット版の失敗にへこたれない俳優はいない……らしい。 |
でもってテレビ欄を隅から隅まで見たけど、『ER』がない。まさか第9シーズンの再放送はこれで終わりとか? まだ21話と22話が残ってるじゃないか〜! アメリカで25日(木)からスタートする第10シーズン、こっちではいつから放送してくれるんだろう。来年の3月くらい? 日本では明日からBS2で第8シーズンの再放送とか。いいな。それから、10月11日スタートの『ホワイトハウス』第2シーズンも。いいな、いいな。日本から送った『ER』のDVD(どーんと30枚)が届いたので、しばらくはそちらを楽しもう。いじいじ。
エッセイ書きをしながら、気分転換にクッキング。ポテトサラダ、グリルドチキン、ブロッコリのサラダ。チキンは日本の地鶏の味がするが、とても高い。胸肉、もも肉はなぜか骨付きチキンの3倍くらいするので、自然と骨付きの脚になる。しばらく机に向かって、また気分転換にロンドレット(洗濯)へ。そのまま意気投合した子の部屋に遊びに行く。優柔不断。
夜、チャーハンと中華スープの簡単な夕食をつくり、一人で食べていると(珍しく台湾人ファミリーが来ない。平和だ)、A(台)が買い物から帰ってきた。このフラットには台湾人が4人住んでいるが、彼らは常に台湾人同士で群がり、他の国籍の人は(たとえ中国人でも)呼ばない。これではお互いのためにならない。そろそろ喰い込んでいこう。彼女を引き止めて、いろいろ話をする。ペアルームに2ヶ月住んでいたが、ルームメイトと食事の時間が合わず、また相手がいつも友だちを呼ぶのでうるさくて勉強できなかった、だからこっちのシングルルームに引っ越してきたのだという。あら、感覚が似てるじゃない。いいぞ。話し途中で、近くに住むT(台)の訪問を受け、くっちゃべる。女二人で話すことといえば……男の子のことばかり。
◆9月20日(土)
![]() |
今朝の The Guardian
で目を引いたのは、今日から始まるロンドン秋コレについてのこんな記事。来週水曜のファッションショーで、ナオミ・キャンベルが久々にキャットウォークに登場するそうだ。キャサリン・ハムネットの「USE
A CONDOM」と刺繍されたキャミを着る予定。ハムネットはデザイナーのなかでも政治的なキャンペーンに力を入れている人で、2月のショーでは「Stop
War, Blair Out」のスローガンが書かれたTシャツをデザインした。南アフリカでエイズに関する知識が広まらないことを憂え、現地の若者に大きく支持されるキャンベルに特別に依頼したのだそうだ。「USE
A CONDOM」のポスターは学内でもよく見かける。寮の一角にある相談所で無料配布しているほか、生協でも売っている。 『千と千尋〜』、封切1週間の今週は、全英13位。がんばれ〜。第1位は『カレンダーガールズ』、見てみたい。 |
図書館に篭ってエッセイ書き。
朝、再放送をしている『フレンズ』を初めて見た。第4シリーズ第22話、"The
One with the Worst Best Man Ever"。明日はロスの結婚式。バチェラーパーティにコールガールを呼んで盛り上がっているうちに、代々ロスの家に伝わる結婚指輪がなくなる。てっきりコールガールに盗まれたのだと思ったら、実はジョーイが飼っていたアヒルが飲み込んでいたのだった……前後関係がよくわからないが、ほかのプロットはフィービーが身重で、マタニティブルーのようだった。『フレンズ』は日本の友人たちもよく見ているようだし、こっちでも大人気だが、私は『ER』のほうが好み。
日本で最近敬遠しがちだった7号のスカート。イギリスに行ったら痩せるかな、と船便に忍び込ませたのを試してみたら――余裕で入った。やっぱり痩せてきているようだ。バターが美味しくて安いから日本の数倍使っているし、エッセイを書きながらショートブレッドをかじったりもしているのに。ここはよほどストレスがない場所なんだろうか。ストレスがたまると太るというもんな。
アメリカほどではないが(右を見ても左を見ても小錦ばかりで、初めて行ったときは相当びっくりした)、こちらの人たちも体格がいい。ここ2〜3年、日本でいうところの「ヘソ出しルック」がはやっていて、若い子たちは三段腹を惜しげもなくさらしている。見ていて決して気持ちのいいものではない。こんな状況だから、日本人の女の子が
slim とか slender とか言われるのは当たり前。私もよく言われる。前のフラットメイトも「その体型は苦労してエクササイズしているのか、それとも生まれつきなのか」と羨ましそうに言った。私にとって天国なのは男性があまり胸に執着しないことで、日本で習慣のように身にまとっているコンプレックスを脱いで、クローゼットにしまっているような気分だ。とてもラク。
◆9月19日(金)
![]() |
キャンパス内をちょこまかと跳ね回るリス。秋になると動きが緩慢になるのか、本日は撮影に成功。といってもこの週末は25℃を超える予報で、相当暑くなりそうだ。 前の寮に住んでいたころ、散歩の途中でリスを見かけると、squirrel がちゃんと言えなくてよくからかわれた。「Red lorry, yellow lorry。ほら、言ってごらん」 日本人には無理なんだ〜、とぼやきつつ、何度も練習した。でも、日本人がRの発音が苦手なことなんて、誰でも知っている。その昔、日本車ばかりが輸入されて国産車が売れなかったころ、"Buy Blitish !"なんていうキャンペーンが行われたこともあるそうだから。 |
今日も新入生説明会の続き。イーストアングリア地方の歴史についての講演がいちばん面白かった。2週間後のロータリー地区大会で Ball に出席しなければならない。ロングドレスなんて持ってきてないぞ、どうしよう。そこで、今日は会う人ごとに訊いて回る。「ドレス、持ってない?」 午後、バスで市内ツアー。スーパーで買い物に夢中になっているうちに、集合時間に遅れる。くう。そういうことなら、と連れの日本人学生につき合ってもらい、さらに駅むこうのスーパーまで。帰りのバスで会ったセミナーのクラスメイトがイブニングドレスを貸してくれるという。ありがたや。もつべきものは、日本人の友だち。あとはパンプスだなあ、ああ面倒。
◆9月18日(木)
![]() |
![]() |
ついに携帯電話の入手に成功! 「ついに」というのは、海外で携帯の契約をするのは大変なことだと骨身にしみたからだ。8月半ば、到着したばかりのロンドンで「カシャッ」という懐かしい音に振り向くと、写メールだった。なーんだ、こっちにもあるんじゃない。日本では携帯なしでは生きていけない生活をしていたから、早速手に入れるべくショップに通いはじめたのだが、長い道のりだった。真ん中の写真が手に入れた携帯(充電中)。日本で使っていたSH08にはかなり劣るが、一応、写メール。右はホストカウンセラーに借りていた携帯(Orange)。かなり古いタイプだが、テキストメールも送れた。 |
今日から introductary programme
のはじまり。午前中はEAS(英文科)のregistration(登録)。英文科事務室の隣の部屋で、ひとりひとり記載事項の確認をし、学生証やハンドブックなどを受け取る。6月に提出していたセミナーの希望登録は2コマとも通っていた。必修の"Narrative
Form"と、選択の"Biography"。張り出された採用表を見ると、人数は最少2人、最多17人くらいで、"Biography"は補欠が2人いる。でもって……英文科に日本人は私ひとりなのだった。うへえ。
日本から送った船便が一気に4箱届いた。英文科事務室のシェリルの手を煩わせ、数回に分けて寮まで運ぶ。途中、友人が気づいて手伝ってくれた。キャンパス内、どこを歩いていても常に誰かがいる。合間に途中から『ER』。第20話、ロマノの腕をそれぞれに心配するケリーとエリザベス。祖母の葬儀の後、荒れ模様のカーター。そばについていようとするアビーに「一人にしてくれ!」と怒鳴る。たまらなくセクシー。でもって、鍵をもたずに友人を見送り、気がつくとロックアウトされていた。こんなヘマは日本ではしたことがない。クリーナーのウェンディを呼んで合鍵で開けてもらう。「いいこと、私が入れてあげたことは内緒よ。クビになっちゃうからね」 規則で禁じられているそうだ。
午後から留学生向けの新入生説明会。400人入る
Lecture Theatre 1
がぎっしり満員だ。すごい数。東京の母校なんて、留学生は10人くらいだぞ。先輩から聞いていた「UEAは別名
Univ. of Endless Abbreviations
と言われるほど略称を好む場所です」に、ああこれかあ、と思う。「ここで生き延びるコツ」と題するトークでは、「車を持っている友だちと仲良くすること」「クリーナーに好かれること」「ダンボール箱を畳むこと」などが面白かった。セキュリティ、健康センター、組合などの話が続く。
携帯電話の契約に必要だったのは、大学の入学許可証(レター)、銀行の
statement (毎月送られてくる明細)、それにパスポート。なーんだと思われるかもしれないが、何度も足を運んだ。携帯を使うには"Pay
as you talk"と"Monthly payment"の2種類の支払い方法がある。たとえば私が選んだ
GX10i (Sharp)の場合、"Pay as you talk"だとショップで電話機(£250)+SIMカード(£20)の£270(54,000円)を払った上、料金をチャージして使った分だけ引き落とされる仕組み。"Monthly
payment"だと、電話機が£120(SIMカードはおまけ)で、デポジットとして£100の合計£220(44,000円)を払う。電話料金は最初はデポジット分から引き落とされるが、私の選んだ
Anytime 100 コースの場合は月々100分までの使用で£22.00のところ、半年間半額キャンペーン価格で£11.00。それにテキストメール使用料として月額£6.00(これも半額で£3.00)をつけた。とにかくイギリスの携帯電話は高いのだ。
夜、herring
(ニシン)を煮てみた。ショウガを切らしていたので、台湾人のフラットメイト(名前をもう一度訊かなくちゃ)にひとかけらもらう。出来は……うーん、いまいち。身欠きニシンなら美味しいのになあ。
カウンタが63,000に。この国でも引き続きのご愛顧に感謝。
◆9月17日(水)
| NatWest銀行から大きな郵便物が届いた。開けてみると、……明細書を綴じるバインダーと、小切手入れ、カードホルダー。噂には聞いていたが、立派だ。まだ使い方がわからないので、案内書を読まないと。日本にいたら見向きもしない説明書も、こちらではいろいろ勝手が違うので、ぜんぶ目を通さないとわけがわからない。イギリスの銀行は通帳がない代わりに、明細書が毎月郵送される。預金用口座とデビットカード用口座が別々なので、毎月2通。従って、こんな立派なバインダーが必要になるわけ。明細書 bank statement は、自分の支払い能力を証明する大切な書類だ。 |
日本から7月末に送った船便第1弾が届いた。中身を忘れていて、わくわくしながら開けた。何か気の利いたもの、たとえばTシャツとか、夏用の肌着とか、靴下などはないかしら――というのは、このところまるでインディアンサマーのように暑いので――と思ったが、出てきたのはオーバー、ハーフコート、マフラー、手袋、セーター……ああ。飴とかクッキーとか、そういう楽しいものを入れておけばよかった。ただひとつ嬉しかったのは、アルフィーのラジオを録音したテープが出てきたこと。いいねえ。ラジカセはまだもってないので、LL教室でこっそり聴いちゃおう。
今日の『ER』再放送は第19話「Things Change」で、気がつけばもう1年もつき合っているアビー&カーター。今度は長いねえ。数ヶ月連絡のなかったアビーの弟から電話があったのと、カーターのおばあさんの訃報とが重なって、二人のあいだがちょっとぎくしゃく。シリーズ開始の頃とは全然ちがい、ばりばりセクシーなカーターくん。アビーも大変なときなのに、無理を言ったり、すねたり、かなり我がままだが、セクシーなので許しちゃう。このところ一段と精神不安定なロマノの胸倉を掴んだときは、胸がすっとした。それに引き換え、スーザンは……comic
relief?
テレビを見ていると、クリーナーのウェンディがシャワースペースの掃除にやってきた。「あら、TVを買ったのね」 窓際のほうが映りがいいなど、いろいろアドバイスをもらった後、「ライセンスは高いから払うんじゃないわよ。いい? 誰かがノックしても絶対にドアを開けないこと。もうすぐ徴収の季節になるから、そのあいだはTVをクローゼットに隠しなさい」 実際、みんなライセンスは払わないと言っている。はたして。
| ホストカウンセラーに大学まで迎えにきてもらい、地元ロータリークラブの例会に出席。大聖堂むかいの古めかしい Maids Head Hotel で、出席者は60人くらい。東京のクラブに比べて人数が多いので、ちょっと緊張。このクラブで今年の奨学生は私のほかに、もうひとり日本人女性がいる。彼女とも初顔合わせ。昼食の後、日本と同じように鐘を鳴らして例会がはじまった。起立してグラスをもちあげ、「The Queen」と言って乾杯。私のことはカウンセラーが紹介してくれた。「日本語ではRとLの発音の区別はないそうで、誰もが苦労しているようです。たとえば彼女にとって難しいのはこんな言葉です……"Rotary Club"」 ウケていた。最後は再び起立して、乾杯。「The Rotary Club throughout the world.」 |
nectar card
の会員になった。セインズベリーに行く度に、レジで「ネクターカードはお持ちですか?」と訊かれ、「ネクター」って聞こえるけど何かしら、と思っていたら単なる固有名詞だった……。もっと自分の耳に自信をもとう。nectar
card はいくつかの商業施設の複合的な会員カードで、私に関係のある店だと、Sainsbury's(スーパー)、Debenhams(デパート)、Vodafone(携帯)などが加盟している。1ポンド買い物するごとに2ポイントもらえるので、私たち日本人にはまことに都合のよいことに、1ポイント=1円の計算になる。つまり1%のディスカウントだ。
早速、nectar card
のサイトでアカウントを確認してみると、入会時のセルフ登録で100ポイント、昨日のデベナムでの買い物で88ポイント×2(デベナムでは24日まで2倍サービスのポイントアップキャンペーン実施中。どこの国でも考えることは同じだ)で、すでに268ポイント貯まっている。500ポイントごとにセインズベリーでの買い物が£2.50(500円)値引きされるシステムだが、この分だとあっという間に貯まりそう。
カードを使ってみたくて、セインズベリーで買い物。入り口の読み取り機にカードをswipeすると、「本日の会員用お買い得品」が紹介され、興味のある品物をクリックすると、クーポン券が発行される。で、試してみたくて欲しくもないのに「チーズリゾットの素」を買う。クーポン券には「チーズリゾット
£1.69 → £1.34 Save 35p!」と書かれている。面白くて、ついでに「この商品を買うと100ポイント」のヴァージンオリーブオイル£2.99。ちょうど欲しいと思っていたところだし。
| うまい! 日本ではドライ派ではないが、とにかく日本のビールはおいしい。「新しいフラットメイトとは気が合いそうかい?」という旧フラットメイトからのメールに、こんな返事を書いた。「ここは8人のフラットで、台湾人女性が4人、インドネシア人男性が1人、日本人女性が私を含めて2人、日本人男性が1人います。インドネシア人とは前から知り合いで、とても親切で優しい人です。台湾の人たちは……にぎやかです。ほとんど毎晩、大勢の友だちを呼んで、わいわい食事をしています。日本人の女性はきれいな人で、しかも勤勉家です。中国人のBFがいて、彼もよく食事に来ます。ちょっと金城武に似ています。日本人の男の子は料理が上手で、よくキッチンで顔を合わせます。彼が日本のビールを買ってきて「一杯いかがですか?」というので、一緒に飲みました。今度は私のアップルサイダーをご馳走しようと思います」 |
◆9月16日(火)
| 阪神優勝おめでとう! これは今朝のThe Times、国際面。左の写真につけられたキャプションは、"Risk-taker: a fan dives into the filthy Dotonbori canal"。filthy が効いているが、本文記事ではさらに、"hundreds of men and women defied health warnings by plunging from the packed Ebisubashi Bridge into the notoriously filthy Dotonbori canal."。今年は報道が自粛されたと聞くが、海外までは及ばないらしい。「18年前にタイガースが優勝したとき、日本のバブル経済期はスタートした。今回も不況を打開するのではないかと期待されている」って本当? |
毎朝10時から Channel 4
で再放送中のER第9シーズン、今日は学校が休みなのでようやく見ることができた。第18話「Finders
Keepers」。「めっけたもん勝ち」というタイトルにまつわるプロットは、朝ロッカーから消えたスーザンの革手袋が、めぐりめぐってプラットからチェンへのバースデープレゼントになった、という話。第9シーズンは、ぜんぜん知らない未知の世界。「スーザンの夫」という人が現れて、いつ結婚したのよ〜、と驚いたり、ヘレエが痩せてたり、ケリーとロマノが別れて、ついでにロマノはERの部長になっていて、でもってエリザベスにはベビーがいて、ふんぎゃあ。
部屋も落ち着いたことだし、シティセンターに買い出し。カレンダーを探すが、9月になって売っているわけがない。でも、academic
planner を手に入れる。9月にはじまる1年分のカレンダー。学業の計画を立てなくては。それから……自分への引越し祝いに、duvet
cover。市内に2つあるデパートのひとつ、Debehams
で、やっと気に入った柄を見つけた。20%オフだが£44.00。友人たちにはとても言えない。でもこのひと月、カバーなしのむき出しデュヴェで我慢したことを思えば、……やっぱり贅沢かな。持ってかえって日本でも使おう。
![]() |
夜、友人2人を招いて、「きりたんぽ抜きの」比内地鶏スープ鍋。こっちは鶏肉が日本よりかなり高いが、そのぶん味もいい。山盛りの白菜とねぎ(spring onion)。さすがは比内地鶏、出汁だけでもすごく美味しかった。手持ち無沙汰のS(中)に、フルーツを洗って皿に盛ってくれと頼むと、ぶどうは房からはずして全部バラバラに、メロンは5ミリ幅に切りそろえてくれた……中国ではそうやって食べるのか? 同じく食事をしていたフラットメイトのK(日)が、電子レンジ用の炊飯ケースを貸してくれた。12分で2合のご飯が炊ける。文明の利器。小さくてわかりづらいが、左の写真でご飯を盛っている皿は、日本からもってきた「あらいぐまラスカル」プレート。 |
ブッカー賞、ショートリスト発表。Monica Ali, Margaret Atwood, Damon Galgut, Zoë Heller, Clare Morrall, and DBC Pierre。モニカ・アリは新聞でよく見かける旬(しゅん)な作家。父親はバングラデシュ人、母親はイギリス人で、処女作が出版される前にすでに今年の『グランタ』のBest Young British Novelistに選ばれた人。アトウッドはいいとして、ほかの作家は知らない人ばかり。勉強しないと。やーい、マーティン・エイミスは選外。もし受賞していたら、講演会の件を泣いて悔しがったところだった。ああ、人間が小さいな。
◆9月15日(月)
| お引越し。住んでいた the University Village から新しい寮までは、徒歩25分くらいの距離があって、もちろん荷物を抱えていればもっと時間がかかる。語学研修のクラスメイトたちが快く手伝いを申し出てくれて、大助かり。Thank you, guys! |
朝、クリーナーの人たちが仕事をしやすいようにパッキングした荷物をすべてキッチンに運び、部屋はとりあえず空に。手伝ってくれる友人たちのために料理。(寿司太郎を使って)ちらし寿司、梅干おにぎり(会心の出来。あきたこまちさん、ありがとう!)、ほうれんそうのおひたし。時間が余ったので、Guardian
の付録なんかをちらちら見ながらクリーナーが来るのを待つ。面白いクイズがあった。
1. Which set of numbers summing to 21 produces the maximal
product?
2. Which set of numbers summing to 22 produces the maximal
product?
3. Which set of numbers summing to 23 produces the maximal
product?
解いて楽しかったので、塾講の生徒に書いて送ることにした。最後のレッスンのときに「Good
Luck」カードをくれた、中2のマユちゃん。数学が好きだったもんな。答えは、1. 3,3,3,3,3,3 and 3. 2. 2,2,3,3,3,3,3 and 3. 3.
2,3,3,3,3,3,3 and 3.
![]() |
新しい部屋。大学構内にある寮の3階で、広さは10畳? 12畳? 前と比べるとずいぶん広くて嬉しいが、少し贅沢な気もする。1泊£10.32(約2千円)、ひと月あたり\64,000。ここはシングルルームで、シャワー・トイレ付だがキッチンは8人で共同。ペアルームとういシャワー・トイレ・キッチンをシェアする2人部屋もあって、そちらだと月あたり\57,000で少し安めだが、恋人ならともかく1年間も同性(たぶん日本人)と2人きりなんて、寂しくない? 私は共同スペースがあるほうが好き。ちなみに昨日までの部屋は\54,000だった。快適だったけど。 |
引越し第1弾は予定より1時間早く終了。手伝ってくれた男の子2人に昼食をふるまった後、第2弾。別の友人3人と待ち合わせ、預けた本その他を運んでもらう。彼らにも別口で昼食。カレーがまだあって助かった。和食メニュー、大好評。やさしいなあ、みんな。食後、友人の部屋を覗いた後、4人で語学研修のスコアを受け取りに研修センターへ。私の評価は7.0。7.5が欲しかったけど、まあいいや。
英文科で unconditional(無条件合格)をもらっているので、こんなに呑気に構えていられるが、conditional
(条件付合格)で来ている学生には生死の分かれ目。友人のフラットメイトで入学を拒否された学生が出た。彼女はトータルは7.5なのに、リーディングが5.5で、マーケティング学部で許可が下りなかったのだそうだ。事態は深刻。せっかく国を出てきたからには学業を修めるまでは帰りたくない。アルバイトを探して語学研修を続けながら来年の入学のチャンスを待つか、ディプロマコースを選択するか。大学院に籍がない以上、学生寮に住むこともできない。明後日までに寮を出て行かなければならないので、当分は友人の部屋に居候して対策を練るそうだ。厳しい。
銀行に住所変更の手続きに行ったついでに、組合のチケットオフィスに行くと、楽しみにしていたマーティン・エイミスの講演会はすでに
Sold Out。ぐわん、そんなあ。かろうじて残っていたドリス・レッシングのチケットを買う。エイミスもほかの作家も、別室でビデオ上映をする予定(入場料£2.00)なので、そちらにトライするかも。引越しにかまけて、うっかりしていた。
夕方、G(中)と湖の周りを散歩。夕焼けがことのほかきれい。「イギリス人は外国人と友だちになるつもりはないんだよ。ただ外国の文化にちょっと興味があるだけさ」と彼が言う。本当にそうだろうか。こっちに来て最初にできた友だちはイギリス人だったんだけどな。
◆9月14日(日)
| 夏のあいだだけ院生専用になっていたこの寮も、来週から Undergraduate(学部生)専用になる。入れ替えの時期で、重そうな荷物を運んでいく学生の姿がちらほら。クリーナーさんたちは大忙し。学生が出て行くたび、大掃除に取り掛かる。この寮ではゴミは平日毎朝、水周りの掃除は週に1度だった。彼女たちは各部屋のスペアキーを持っているが、もちろん信用にかかわるので、個人の持ち物に手を触れることはない。クリーナーの手を煩わせないようにとの配慮なのか、それとも邪魔されるのを嫌ったのか、ここの住人たちはみな、朝ドアの外にゴミ箱を出していた。でも実は、各部屋の使用状況をチェックするのも彼らの重要な任務なのだ。簡単にいえば、ちゃんと生きているか、ということ。実際、今年の春に学内の寮で自殺者が出たときも、発見したのはクリーナーだったそうだ。 |
「こんなにたくさんの本、一日で運ぶのは大変だから、少し私の部屋に置いておいたら?」 おととい私の荷物を下見に来た友人S(中)の寛大な申し出に、お言葉に甘えて朝から荷物を運ぶ。見ていた友人M(中)も「僕も手伝ってあげるよ」 ……というわけで、もう一往復。マーケティング専攻の彼らには、文学研究とは本を読むことだ、という考えが新鮮らしい。"Reading
books is my job."――カッコつけすぎだって。
明日、手伝いに来てくれる友人たちが食べられるようにとフルーツサラダとカレーを作り(今度は焦がすまい)、その後、荷造り。ツーツケース、本の入ったダンボール、パソコン2台が入ったバッグ、調味料などを入れた大きなキッチンラック、デュヴェ(布団)、デスクランプが2台と、……それに、テレビ。お手伝い要員は、男女合わせて5人。大丈夫だろう、きっと。
![]() |
夜、ITV(3チャンネル)で、「Touch of Frost」。フロスト警部補の2時間ドラマ。日本でも衛星放送でやっていたらしいが私は初めて。わあ、PBの表紙で見た本物のデヴィッド・ジョンソンだ。今夜のタイトルは「Held in Trust」。フロスト警部補に警部昇進の話が来て、受けるかどうかを悩むと同時に、匿名人物から贈り物が次々届く。ミステリのほうは、サッカー場から消えた10歳の男の子の消息をたどっていくうちに、児童虐待と paedophilia がからんでいるとわかるというストーリー。この人気刑事ドラマ、今年は第7シリーズで、季節ごとに日曜の夜、2時間枠で放送しているようだ。この秋は今日から3本の予定。 |
◆9月13日(土)
| ここが私の好きな場所。図書館の3階、窓際の机。すばらしい眺めで、向こうには湖が見える。土曜日の図書館はなぜか午前11時と遅い開館で、Paper Shop で買った新聞を広げながらスクエア(広場)のベンチで開くのを待つ。たいてい誰かが「やあ」と言い、隣に座ってしばらく話していく。土曜日はThe Gurdian の付録が楽しい。いちばん楽しみなのは"The guide"で、『ぴあ』みたいな小冊子。お目当ては映画の情報と週間TV番組表だ。それから"Weekend"という100ページくらいの雑誌と、本情報の"Review"。本当はTimes Literary Supplement を買いたいところだが、£2.50(500円)はちと高いので図書館で。本や文学の話題に限っていえば、楽しいのは何と言ってもガーディアン。私が持っていた新聞を見咎めて、"Oh, you read Gurdian !"と言った担任の、あの"Oh"にはどんなニュアンスが込められていたんだろう。£1.10のところ、学内では60p(120円)。 |
3階は文学の書架があるフロアで、土曜日はとても静かな場所。しばらく勉強していると、昨日お別れしたはずの担任、Mr
トム・ハンクスがやってきた。彼は語学研修の臨時教師を終え、今日ロンドンに帰るのだ。「列車の時刻まであと3時間あるんだ。なんだか手持ち無沙汰でね」 文学をやっているといい場所は匂いでわかるのかな? 彼は今、2冊目の研究書を書いているのだそうだ。イェイツについての研究書と、それにブルガリアのライターについての本。Mr
ハンクスはサリー大学のシニアクラスで教える前は、ブルガリアに4年、ポーランドに3年住んでいた。サインマニアの私のこと、記念に彼の研究書を手に入れようと思ったのだが、£65は高すぎた。
「君はいくつなんだ?」 こっちに来て男性から年齢を訊かれたのは二度目だ。日本では経験がないので、とても新鮮。さば読む気にもなれない。よく日本人は若く見られるというが、それは手放しで喜べる評価ではなく、多分に
naive, immature, childish
の意味が込められていると思うので、私は年相応に見られるほうが嬉しい。銀行やショップで「マダム」と呼ばれると、ふふん、とほくそえんだりするのだが、……2歳年下の担任は、自分のほうが年上だと思っていたらしい。くう。
Suffolk Terrace(寮)のS(中)の部屋は湖に面した1階にある。窓をコンコンと叩くと、いた、いた。「いらっしゃい! どうぞ入って」――というわけで、無作法だが窓から上がらせてもらう。ちゃっかりお昼をご馳走になりながら、おしゃべり。彼女は語学研修中のクラスメイトのなかでも一番の友だち。彼女たちが話すマンダリンにもだいぶ慣れた(意味はぜんぜんわからない)。ここにいる中国の人たちは、服装も顔かたちも身のこなしも日本人と変わらない。日本でつき合って来た中国人とは印象がだいぶ違う。日本人の私から見れば、本土の人も、香港や台湾の人も同じ距離なのだが、彼らはそうではない。「台湾に行ったことある?」と訊いて「香緒りん、私たちは台湾には入れないのよ」と笑われたり、ヘマをやらかしてばかり。このあいだもJ(泰)と話していて『王様と私』を引き合いに出してしまい、「あの映画は見られないのよ。政府から禁じられてるの」。うっかりもいい加減にしないと。
午後からネットがまったく繋がらなくなった。大学のサーバーがこの前のウィルスにこてんぱんにやられ、新学期を前に急ピッチでてこ入れをしているのだという。やれやれ。誰も見ていないので張り合いがないが、ボリュームたっぷりの夕食を作ってテレビディナー。
ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで夏のあいだ催されるプロムス(The
Proms)も今日で最後。73公演目、千秋楽の今夜は「Last
Night Of The Proms」と銘打って、BBCで生中継。プロムスが行われる8週間、アリーナはオールスタンディング。客席を見ると、後ろのボックスシートはイブニングドレスだが、アリーナはTシャツとジーンズとか、カジュアルな格好だ。ユニオンジャックのTシャツや帽子が目立つ。ホールのキャパは8,000人だが、プロムスは6,000人。今夜はハイドバーク(イングランド)、ベルファスト(北アイルランド)、グラスゴー(スコットランド)、スウォンジー(ウェールズ)のプロムス会場にもカメラが入って、堂々の5元中継。
| ベルリオーズ、サンサーンス、フォーレ、グノーなどの前半が終わると、後半はイギリスの愛国的な曲が続く。マスネ『タイスの瞑想曲』のヴァイオリン、ビゼー『カルメン』のソプラノの各ハイライトの後、イギリスが誇る作曲家エルガーの『威風堂々』1番「Land of hope and glory」。イギリス人はみんなこの曲が大好きだからユニオンジャックの旗を振って大合唱、大盛り上がり大会だが、私にとってもアルコンのエンドロールで流れる曲だし、三谷『合言葉は勇気』の主題歌でもあるしで、うるうる。アリーナの観客が屈伸運動のような動きでノッているのがかわいらしかった。国歌の後は、〆の『Auld Lang Syne』。 |
BBC2『Meet Joe Black』(ジョー・ブラックをよろしく)を途中から。んーと、5年前にロードショーで見た友人が「とにかくブラピがきれい」と言っていたわけがわかった。Grim Reaper (死神)という単語を覚えた……っていうか、ハリウッド映画はきらびやかなだけでプロットは単純、キャラクターを描いていない、と言われても仕方がないと思った。もっとヨーロッパ映画を見よう。
◆9月12日(金)
| 担任の引率で、市内中心部にある Castleへ。お城のなかは、博物館になっている。2〜3日前から天気がぶり返し、最高気温23〜25と高めで、Oh, what a beautiful day! というセリフを何度も聞く。あ、私も言ってるな、つい。 |
今日で4週間の pre-sessional course を修了。朝、Mr トム・ハンクスと最後のtutorial。先日提出したエッセイのフィードバックで、修論を書く前に、まだまだライティングの練習が必要で、専攻分野を考えると特に abstract words をもっともっと使えるようにしなければダメだ、とアドバイスを受ける。エッセイは77点だった。みんなのを訊いてみると、71、75、79、似たりよったり。86点のクラスメイトを褒めたり、61点の子をなぐさめたり、大忙し。
| 博物館は団体料金で£3.75(750円)、ちと高めだが、見どころ満載。本物の女性のミイラと、それに……animal mummies――大英博物館ですでにカメのミイラの洗礼を受けているので、ショックもいささか薄かったが、なぜこんな動物をミイラにしたのか……よほどかわいがっていたのだろうか。上から、cats, crocodile, falcon。 | ||
| 城見物の後はシティセンターの喫茶室 Assembly Roomでアフタヌーンティー。わあ、ここはバスの車窓から眺めながら、一度入ってみたいとずっと思っていたのだ。ハンバーガー大の大きなレーズンスコーンにナイフを入れて、たっぷりのクロテッドクリームとジャム。ジョージアン風の建物で、残念ながら3年前の火事で半焼したが、市民の寄付金により復元。 |
◆9月11日(木)
| 語学研修も明日で終わり。今夜は大学のパブで打ち上げパーティがある。担任のMr トム・ハンクスにサンキューカードを贈ろうという話になり、カードづくり。出国前に友だちが宅急便で送ってくれた鳩居堂の千代紙を使って、きれいなカードに仕上がった。感謝。 |
0900、1000のライティングの授業が終わりかけた頃、今は別の場所で数学の研修を受けているクラスメイトのG(中)が教室にやってきた。"I
just came here to ..." ストーップ! 担任にバレないように、慌てて彼を制する。「Gは私に会いに来たんです。もうちょっと待って、G」 ところが、微妙なニュアンスはやはり伝わらないのだった。"No,
I came here to sign the card! You asked me to come here to
write some comment on the card, right?"
ああ。聞こえないフリの担任。大人だな。
1130のリスニングの授業は、「最後まで退屈なヒアリングをしなくてもいいだろう」と、急遽ディスカッションをすることに。トピックは何にしよう……アジア映画とハリウッド映画はどちらが優秀か、なんていうのはどう? そして、また『七人の侍』の話に。まいったなあ、意見を求められても見てないことには。こっちでは、日本映画=クロサワ=Seven
Samurai、なのよね。でもって、中国の映画といえば、コン・リー(Gong
Li)。顔と名前はわかるが、彼女の映画もひとつも見ていない。ジュドウって何かしら。レッド・ランタン? うーん。担任によれば、Ju
Dou (菊豆;チュイトウ)は夫の甥の子どもを身ごもる話で、Raise
the Red Lantern(紅夢)は中国の資産家の第4夫人として嫁いだヒロインが、ほかの3人の妻たちと主人の寵愛をめぐる陰湿な争いの果てに自殺する話らしい。これからイギリスに留学する人に、強く言いたい。アジア映画を見ておきましょう、みなさん。
「そうだ、今日は9−11の日だった」 突然、ディスカッションのテーマはテロリズムや防衛に。言葉が出てこない。やばいぞ、これは。ひしひしと迫り来る危機感。こちらに来てぜんぜん新聞を読んでいないんだもの。出し惜しみしないで、新聞を買おう。さて、授業の終盤、研修に関するアンケート用紙が配られ、記入していると、休憩時間に行ったらしき買い物袋から箱を取り出して、「チョコレートでも食べないか」と配り始める担任。ど、どうしたんだ、ティーチャー。キャラクターがいつもと違わないか。やっぱりこれは、Gがカードの件をもらしたせい……? それにしても、いい大人の男性がチョコレートをむしゃむしゃ食べる姿は、イギリスならでは。こっちの人は、日本人の10倍もチョコレートを食べる。男女を問わず。
放課後、誘われていた初心者用ギター講習会を覗きに行く。地元の敬虔なクリスチャンが活動の一環としてやっているらしい。この女性の英語はめちゃくちゃわかりづらい……が、とりあえずやってみよう。『ライオンキング』の主題歌『In
the Jungle』の楽譜を渡され、3コードD・G・Aの練習。「最初が肝心。このギターを貸してあげるから、今度のレッスンまで毎日4時間ずつ練習しなさい」……って、冗談ですよね?
今日、修論を提出したP(中)とほかの寮へ移るK(中)&B(中)が揃って部屋を出て行った。朝、いつものようにコーヒーを淹れようとして、湯沸しポットがないのに気づく。見れば、P(中)の荷造りされた箱に入っているではないか。ぐわん。あれって彼女の持ち物だったのか。寮備え付けだと思って、1ヶ月も無断で使ってたよ……。大学寮で共同生活をしていると、冷蔵庫のものがなくなるという話をよく聞く。この1ヶ月、ここではそんなことは一度もなかった。いい人たちだった。そうそう、冷蔵庫にこんな張り紙を見たことがあった。「セインズベリーの牛乳の持ち主さま: ごめんなさい、今日、僕はあなたの牛乳を盗みました。でも緊急事態だったんです。必ず買ってお返ししますから」
夕方、打ち上げ。担任を囲み、クラスメイトたちと飲む。今日は最近気に入っている
Scrumpy Jack (アップルサイダー)にした。カードは、とりあえず喜んでもらえたらしい。ひとしきり盛り上がった辺りで、S(中)が袖を引っ張る。なあに? 「これから
Chinese Moon Festival のお祝いをするの。ゲストとして招待するから、おいで!」
| 引っ張られるままに Suffolk Terrace(寮)の共同キッチンに入ると、心づくしの手料理が待っていた。中国人のS、M、Y、K、M、Jと、パキスタン人(名前、いつか訊こう)、それに私の8人でテーブルを囲み、お茶碗にご飯をよそってもらって、いただきまーす。ツナをカレー粉で炒めたパキスタン料理が特においしかった。これ好き?とドンと出されたのは、虎屋の羊羹《夜の梅》。でもって、驚くなかれ、"This is a small present for you."と言って渡されたのは……なんと「比内鶏スープ」。どこで手に入れたんだ、こんなもの。ありがたく押し頂いて――しかし、ここまで上げ膳据え膳されたからには、ぜひともこのスープ(濃縮7倍、3〜4人前)を使って日本料理をご馳走したい。チャンスは来週の月曜日。きりたんぽは100%手に入らないことを考えると……何を作ればいいのだろう。お知恵を拝借いたしたく。 |
Moon Festival (中秋節)というのは、いわゆるお月見なのだが、中国では正月に次ぐ年中行事だそうで、この日は家族揃って月下で月餅やフルーツやお酒を楽しむらしい。夕食が済み、「さあ、月を見に行くわよ」とジャケットを着せられた。手に手にアイスクリーム、ワイン、バナナ、メロンなどを持ち、大学構内の湖の近くまで出てビニールシートを敷く。生憎の天気で、今夜は月は見えない。「想像してごらん、満月が地上を照らしている様子を。きっと水面に月光が揺れて、きれいだろうね」 なーんて、いつものおどけたM(中)からは想像できない、ロマンチックな今夜の彼。みんなで「3の付く数と3の倍数を言ってはダメ」ゲーム。ふうん、これって世界共通なんだ。負けた人は罰ゲームで、歌をうたったり、踊ったり。私も一度、『ラブストーリーは突然に』を歌うハメになった。みんなで『時の流れに身をまかせ』を歌ったのも楽しかったな。じゃんけんをして、勝つと平手打ちの真似、あいこだとチュッチュッって、もしかしたらウーロン茶のCMでやっていたやつかしら。「この日は女の子をちゃんと家まで送り届けるのが伝統なんだ」といって、3人で寮まで送ってくれた。感謝。
◆9月10日(水)
| パワーポイントを使ってのセミナー風景。快く撮影許可をくれたY(中)に感謝。天井にプロジェクタがついていて、発表者は自分のパソコンを繋いで、アウトラインや写真などを映しながら説明する。文学部ではあまり見かけないので戸惑ったが、社会科学系の学部では日本でも普通に使っているらしい。今日は芸術関係の発表で、メディアプレイヤーを使ってDVDを映し出したりした(持参のミニスピーカーを繋いでいた)。毎日使っているメディアプレイヤーのメニューが中国語なのが新鮮。 |
朝から雨。初めて傘を使った。もちろん、イギリス人は傘なんて使わない。ちらほらと傘を開いているのは留学生ばかり。珍しく、午後すぎまで止まなかった。気温も低い。今日は最低5℃、最高16℃。0900、1000の授業の後、トラベルショップで無事にレスター行のチケットを買い(初めてデビッドカードを使った)、1130のセミナーの後、学内のサンドイッチ屋さんで日本人のゼミ仲間と昼食。今日は午後もスピーキングの授業があった。一度寮に帰り、夕食の支度。ここでの飲み会は何も食べられないとわかったので、しっかり食べてから出かける。
バスでシティセンターへ。駅から歩いて5分くらいのKing's
Street はこの町でもかなり古い通り。1150年に建てられたという古い石造りの建物に入っている
Jurnet's Bar
は楽器好きな人たちのための会員制パブで、穴倉みたいな落ち着ける場所。今夜はスピーキングの先生からのお誘いで、学生20人くらいで押しかけた。ピアノでショパンを披露する人あり、持参のギターを弾く人あり。日本の
traditional song は?と言われ、来ていた日本人4人で「スキヤキソング」を歌う。次に歌うときのために、歌詞を覚えておこう。今夜は
Betburger pils
というラガーを試してみたが、やっぱり好みの味ではなかった。次に期待。
ここは玉突き台もあって、早速ほかのグループがビリヤードを始めた。そのせいもあってか、地元の女性から「キュースティックがよくないから……」と言われたときは、cue
stick? ん?と日本人同士でささやきあった……が、後学のために恥を忍んで辞書を取り出し、今の単語を打ってくださいと頼むと、なんと
acoustic だった。本日のショックその1。
◆9月9日(火)
朝いちで、山形から姪っ子誕生の知らせ。やんや。
0900、1000のライティングの後、1130のリスニングの時間を使って、IELTSのヒアリングテスト。ここでのペーパーテストはボールペンで答えを書く。ゆえに解答用紙はやたらと汚くなる。感触は……昨日のリーディングテストよりは、いくらかまし。午後はマーケティングについてのレクチャーひとつ。Customer
Satisfaction(顧客満足)なんてフレーズを久々に聞いて、そういえば10年もサービス業に勤めていたのだと、今ごろ思い出した。
休み時間に大学構内のトラベルショップに寄って、月末のレスター行きのチケットを予約。朝7:05の電車に乗れば、9:48にレスターに着ける。大学から駅までバスに乗っていくとすると……6:05発かあ、うむう。正規料金は往復で£46.20、Young
Rail Card という学割を使うと£30.50。ヤングレイルカードは26歳以下のための割引カードで、私はヤングじゃないが、mature
student
として学部長のサインがあれば発行してもらえる。年会費、£18(3,600円)。1回旅行すれば、だいたい元が取れる勘定だ。やはり構内にある銀行にも寄って、キャッシュカードの受け取り。STEP(デビッドカード)とSAVING(預金口座)の2枚。使い方、わからないなあ……勉強しよう。
イギリスに来てもうすぐ1ヶ月。いろいろなことを勉強したが、なかでも印象的だったのはハグの大切さを初めて知ったことだ。数年前に『an-an』で「ハグって大切だと思いませんか?」みたいな特集記事を読んだときは、へえ、そうかなあ、でも日本人には馴染みがないんじゃないかな、などと感じた程度だったが、今にして思えば、いいことを言っていた。嬉しいとき、悲しいとき、出迎えるとき、別れるとき、そのほかいろいろな場面で、どんな言葉を並べるよりも早く気持ちが通じる方法。素敵な習慣だと思う。特に言語の壁があるときには。
明日寮を出て行く日本人の先輩の部屋を訪ねて、またいろいろキッチン用品をいただく。クラブツリーのレモンビスケットとセインズベリーのパウンドケーキを持参して、ささやかながら午後のお茶。雨のなか帰ってきて、キッチンを覗くと、K(中)&B(中)のカップルがちょうど夕食を終えて片づけ物をしているところだった。貝の形のパスタをバターと牛乳で煮て(おいしかった!)、スモークトサーモンのサラダを作り、食べ始めたところで、週末に引っ越していったF(泰)が遊びに来た。スレンダーな彼女P(中)も加わって、大盛り上がり大会。彼らは明後日ここを出て行く。にぎやかなのも今のうちだ。私はいつ新しい部屋に移れるのだろう?
| 毎週土曜8時にオンエアされている人気クイズ番組"Who wants to be a millionaire?"(『クイズ$ミリオネア』)。今夜は放送開始5周年SP。これまで百万長者(ミリオネア)になった3人がセレブリティと組んで再度クイズに挑戦、賞金はチャリティに、という趣向。題して、"The Millionaires Return"。日本ではお正月の芸能人大会のときくらいしか見たことがないのに、面白くてけっこう真剣に見てしまった。セットから音楽から、ライフライン(50/50, call friends, ask audience)から、日本とまったく一緒で親しみやすい。司会のクリス・タラント(Chris Tarrant)が"Final answer?"と訊く口調もみのもんたそっくり。クイズが文字になって画面に出るので聞き取りやすいこともあって、私のような新参者にはぴったり。 |
ラストに登場したのは、最近ミリオネアになったばかりのロバート・ブリッジズ(Robert
Kempe Brydges)氏、47歳、2児の父、元銀行重役。パートナーのセレブリティは……知らない女優さん。日本の賞金は1,000万円だが、本家のこちらは100万ポンド(2億円)だもの、ケタが違う。さて、どんな問題が出るのかというと――第3問(£400)で、The
port of Suez is in which country? Tunisia/ South Africa/ Egypt/
Sudan とか、第7問(£4,000)で、Which Shakespean play
opens with a shipwreck? Henry V/ The Winter's Tale/ Titus
Andronicus/ The Tempest
とか。ここまでは簡単。答えは、Egypt, The Tempest。
第11問(£64,000)で、Which ballet features a character
called Drosselmeyer? Swan Lake/ Giselle/ The Nutcracker/ Coppelia
とか。彼女はここで友人に電話をかけた。たぶん有名人のはずだが、わからないのがくやしい。で、このお友だちはまったく役に立たなかった。その後、ブリッジズが50/50を使う。この問題は答えを知っていたので、ドキドキ。そう、くるみ割り人形だ。二人はこの問題もなんとかクリア。£32,000のguarantee(確保)。で、第13問(£25,000)で敢え無く散った。問題は、Which
of the Great Lakes of North America has the smallest surface
area? Ontario/ Superior/ Michigan/ Erie。エリー湖なわけないじゃん。地図を見れば、一発でわかるのにね。……そういうわけで、640万円が寄付された。
◆9月8日(月)
| これってススキよねえ……すっかり秋だ。お団子が食べたくなってしまう。 |
エッセイも出して、晴れ晴れ。経営学部やコンピュータ関係の学生がJAVAや数学のコースに枝分かれして、今や5人になってしまった我がクラス。贅沢ではあるが、ちと寂しい。月曜日は英語の授業4時間とセミナー。朝、金曜日に書いたエッセイが7.5の評価で返ってきた。やったー。今まではずっと6.5〜7.0で、7.5を目標にしていたのだ。るるるん。でも、ライティングの時間に受けたIELTSのリーディングテストは……。なにあれ、めちゃくちゃ難しいじゃん。きっと最低のスコアだな、やれやれ。
ライブラリの時間は、図書館で図書検索の練習。先生の目を盗んでちらっとネットに繋いでみたら、友人から思いがけないメールが入っていた。嬉しかった。小さなことに一喜一憂している気がする。
「本当に10日も買い物に行ってないの?」 おかしいか、やっぱり。どんな食生活を送ってるんだと、不憫に思われたことだろう。このところあれやこれや忙しかったのと、それに明後日の引越しを控えて、今ある食材を使い切ってしまおうと思っていたからだ。ところがアコモ(Accommodation
Office)に行くと、まだ部屋が空かないので今のところにもうしばらくいて、という。この分では引越しは来週に延びそうだ。買い出しに行こう。
バス停まで歩いていく途中、パトカーが停まっていた。先週の木曜日の午後10:30、寮のすぐ前の通りで暴行事件があったそうだ。警察は身長5'8"の襟足の長い白人男性を追っているという。被害者の話では20代の学生らしい女性2人が通りかかったそうで、「その学生はあなたではありませんか?」と聞き込みに回っているのだ。あぶない、あぶない。こんな田舎の町でも、油断しないようにしなくちゃ。
さて、久々にバスに乗ってシティセンターまで。セインズベリーでたっぷり買い物。初めて正しいバス停で降りることに成功した。I'm
very happy! スコア7.5のお祝いに、今夜は特別にスモークトサーモンのスパゲティで、スープ、サラダ、それにプラムとぶどうまでつけたのに……こういう日に限って中国人カップルは現れない。くう。洗い物をしていると、ようやくB(中)のほうが顔を出した。いわく、「どこに行ってたんだ? 夕方からずっと待ってたんだよ」 あら、何かしら? 「わさびを借りようと思ってね。刺身をもらったんだ、もう食べちゃったけど」 ふん。ここで手に入れたって、一体どんなお刺身なんだか。
◆9月7日(日)
| 散歩コースにもってこい、の大学構内にある broad(湖)。でこぼこ道を、たくさんの男女がジョギングしたり、犬の散歩をさせたりしている。週末は周辺から釣りキチがやってきて、ポイントごとのスポットにどっかりと腰を落ち着ける。この辺の土地は大学の所有で、270エーカー(約100万平米)あるそうだ。東京の弱小わが母校は、3万平米。 |
日中はほとんどネットが繋がらず、夕方ITセンターに行くなりチャット。大学のマシンだと日本語は読めるが、書けない。相手をしてくれた仲間に感謝。その後、明日の朝〆切のエッセイ。途中、ふらっとやってきたS(中)に声をかけられる。「まだ終わってないの? 長編小説でも書いてるんじゃない?」 うるさい。私は書くのがとにかく遅いんだから。
午後7:30に湖に行けば、夕日が見られるかと計算していたのに、エッセイは遅々として進まず、気がつくと10時すぎになっていた。ITセンターから寮の部屋まで徒歩20分。こんなに遅い時間に出歩いてはよくないが、のどかすぎて緊張感もなく。夕食を食べていないことに気づき、遠回りしてガソリンスタンドの24時間食品ストアに寄る。アップルサイダーときゅうりのサンドイッチとメロン。
◆9月6日(土)
![]() |
朝晩ひんやりするようになって、こちらはすでに秋の気配。広葉樹の茶色く変わった葉が次々落ちていく。きっと今に丸坊主になってしまうのだ。その前に、夕日が当たる様を見てみたい。日々早まっていく夕焼け時刻、計算が難しい。 |
このところ不安定なネットコネクション事情が、昨日辺りからさらに悪くなっている。ここではLAN回線を使い、すべて大学のサーバーに頼って、連絡も情報入手もインターネットなので、繋げないと途端に糸を切られた凧のような気分になってしまう。ITセンターや図書館に貼られたお詫びの言葉を見ても、ため息をつくしかない。日本にいたら「apologize
されたって……」と怒ったと思うが、こういうことにもだんだん慣れてきてしまった。繋がらないなら、待つしかないのだ。ペイシャンス。やっと繋がり、ラッキー、とWebmailに行ったら、指導教授からのメールが届いていた。とたんに現実に引き戻される。そうだ、ここへは勉強しに来たのだった。
ランチもスキップして、一日中、図書館に籠もりきり。ああ、お腹すいた。寮に帰って、昨日のカレーを食べよう。カレー、カレー、とキッチンのドアを開けると、なんか匂う。誰かが食事したばかりなのかな? あれ――鍋のカレーが真っ黒になっていた。朝食のとき、火を入れておこうとレンジにかけたまま、忘れていたのだ。6段階の1にしておいたのが良かったのか、悪かったのか、10時間くらい放ったらかしにしていた計算になるぞ。火災報知器、なぜ鳴らない。でもって、炭と化した元カレーは、鍋をひっくり返すとそのままカランとゴミ箱に落ちたのだった。さすが日本製テフロン加工、鍋は無傷のまま。いや、問題はそんなことではなく。気をつけましょう。どうかしてるよ、まったく。
Channel 4
で『フォレストガンプ』。サリー・フィールドの"Run,
Forest! Run!"に、懐かしいなあ……と思っているうちに、こっくり。気がついたら終わっていた。続いての『戦メリ』も見たかったのに、あえなく沈没。寮の住人が減って一時的に過疎地帯なので、テレビのボリュームもあまり気にせずにいられる。『フォレストガンプ』が始まる前に、ちらっと『クイズ・ミリオネア』(Who
wants to be a millionaire?)。初めてオリジナルみのもんたを見て、感動した。ほんと、そっくり。
◆9月5日(金)
| イギリスに来たばかりの3週間前に比べると、だいぶ日も詰まってきた。午後8時には暗くなりはじめている。「白と黒のコントラストを表現したかったんだけど、難しいな」 どこがいいのか私にはさっぱり。と、雁が矢印に列をなして飛んでいく。きれいねえ、と見ていたら、「ちょっと待て、太陽があっちに沈んだだろ、向こうには月が昇ってるし。ってことは……やつら、北に向かってるよ! カム・バック! そっちじゃないよ、おおい、鳥! 南はあっちだよ!」 |
今日は前年度学生のイギリス人が寮から出て行く日。朝食までは平気な顔で話していたが、別れを言うのはやっぱりつらかった。こっちでできた初めての友人だし、家族がいなくなったような気がして、この国に来て初めて泣いた。学校に行くと、クラスメイトのJ(泰)が「どうしたの?」と声をかけてきた。彼女は休み時間中、カフェでずっとそばにいてくれた。そのあいだも私は泣き通しだった。感謝。
夕方、もうすぐ帰国する日本人学生の部屋に寄り、キッチン用品や調味料などを今年の日本人学生同士で山分け。かつおぶし、干しいたけ、青のり、ひじき、それに……カレー粉だ! いただいた「こくまろカレー」を使って、早速調理。「これなあに? スープ?」 鍋を覗くK(中)&B(中)に、これが日本のカレーなのだと説明する。「こんなに作って、残りはどうするの?」 食べるんだ。明日も、明後日も、日本のカレーを食べるんだ。
◆9月4日(木)
| 「早く、早く! 見逃しちゃうよ!」 いいスポットがあるんだと連れ出されて、森のなかを走った。木々のあいだを抜けると……わあ、きれい。夕日はあっという間に沈んだ。 |
木曜日はハードだ。今日は英語の授業4つにレクチャー1つ、その後、担任とtutorial。
日本を離れる前に、ある友人がこんなことを言った。「HP、いつもとっても楽しみにしてるけど、留学中は楽しくて楽しくてしょうがないときもあるかもしれない。そういうときは、HPのことなんて忘れて、たくさん楽しんでね」 今がそのときなのかもしれない。
◆9月3日(水)
| 健康診断、パート2。先週受けた Heaf test (ツベルクリン反応)の結果を見てもらいに Health Centre へ。看護婦さんはひと目見るなり、"Fine, . . . good. Now, your check is over."と満足げだった。左腕の注射の痕は、6つの赤い点がユダヤのマークのよう(この写真、地面に焦点が合っているな…)。こんな腫れ方でも一応、陽性だと判明したらしい。とにかく、無事に済んでよかった。(勧められた予防接種は、結局うけなかった。) |
ごんからエアメールが届いた。三谷のコラム「ありふれた生活」の切り抜き入り。わーい。英文科と学生寮の2つの住所に同時に同じ物を送り、どちらが先に届くか……なんて実験をするのは、この世で彼女くらいのものだろう、きっと。結果は、寮宛のほうが1日早かった。
水曜日は午前中で終わりのはずが、今日は午後のレクチャー付き。前年度のMAの学生代表から「これからの1年間」というタイトルで、試験の乗り越え方、レポートの書き方、小旅行のアイディア、食材を買える店、などアドバイス盛りだくさん。図書館でエッセイの続き。
| 「日本人は魚料理が得意なんだって? さばくところを一度見てみたかったんだ。これで何か作ってよ」 ……とかなんとか、うまいこと言って魚1匹渡されて、ここで引き下がっては女がすたると思ったので、甘言にのることにした。ジャマイカ産の金目鯛もどき。3枚におろして、身は醤油と酒と砂糖で煮付けに、残りは味噌仕立てのあら汁にした。「日本では、魚のあらゆる部分を食べるのよ。自然の神様に感謝しながら殺生するの」 つい格好をつけてしまう。日本にいたら、捨てちゃってたろうな……たぶん。 |
私がご飯を炊いて魚と奮戦しているあいだに、A(英)はジャガイモとにんじんのナッツ入りオリーブ炒めとトマトサラダを作り、それとは別に珍しく一人のK(中)が「出前一丁」のラーメンを茹でている。「んー、もう、5時っていったのに!」 相方の帰りが遅くて、いらいらしているらしい。私は魚の小骨を取るのにひと苦労。日本人は骨を取りながら魚を食べるのに慣れているが、イギリス人にそんな芸当はできない。とげ抜きがあったらなあ、『美味しんぼ』が懐かしいぞ。夕食の支度が一応整い、食べ始めたところでF(泰)が帰ってきたので、テーブルに誘う。私が鯛もどきのお頭に手をつけると、「やめてくれ〜」と騒ぐイギリス人。「なんで? 魚の頭には、頭がよくなる成分があるのに」とF(泰)。「それに、魚は頬の肉がいちばん美味しいのよ」 うんうん、と頷く私。ふふふ、アジアはひとつ。中国人カップルの片割れ、B(中)が帰ってきた。「出前一丁」1人前を茹で、彼も仲間に加わる。「まったく、30分遅れただけなのに、あんなに怒らなくても……」。そういえば、中国四千年は昨日ほかのフラットに引っ越した。一人、また一人と住人が減っていく。
フラットメイトの部屋で『フルモンティ』。毎晩いろいろな映画がテレビで放送される。番組制作費がないんだな、きっと。
◆9月2日(火)
![]() |
わあ、天使の梯子だ――雲間から差し込む光がとてもきれいだったので、授業がはじまると先生に訊いてみた。こういうのを ladder of angels と言いませんか? 「言わない」 イギリス人学生にも訊いてみた。「言わない。ただ、sun ray というだけだよ。日本人はロマンティックなんだね」 ……「天使の梯子」は西洋文化の翻訳のはずだ。日本には「エンジェル」はいないんだから。ヨーロッパの学生と話す機会があったら、改めて訊いてみよう。 |
何かとお世話になっている日本人の先輩のお蔭で、Power
Point
が使えるようになった。大感謝。英語の授業3つと、「冷戦後の国際関係」の講義。国際政治学を勉強していた学生時代を思い出すような内容だった。
映画を見に中心街へ。3つある映画館のうち、一番こじんまりした、古い建物の
Cinema City で、『All
the Real Girls』(2002年、米)。学割で£3.75(750円)。ハリウッドとは違う、イギリス人の好きそうな、そこはかとない感じの映画。ヒロインの弟がダウン症で、印象的だった。10月にやって来る『千と千尋の神隠し』のポスターが貼って、「わあ、この映画好きなの〜」と喜んでたら、受付の兄ちゃんが来い、来い、と手招き。なあに?と言ってみると、「日曜の朝、試写会をやるからおいでよ」。わあい、無料チケット入手。「英語」の吹き替え版……ってことは、やっぱり字幕なしなんだな。ちなみにタイトルは、Spirited
Away。
| この辺りは町でも古いエリアで、300年前の建物だそうだ。きれいな石畳。St. Andrews という名前のパブに入った。慣れないもので、つい最初に目に入った「安全そうな」 Carlsberg(デンマーク)にしてしまう。くう。次の機会こそは、Foster's(オーストラリア)を。日本人の感覚では、たとえば Kirin City に入ったら、何かつまみが欲しくなると思うのだが、ここの人たちは1杯のビールだけでずーっと話しているのが好きらしい。喫茶店でコーヒーを飲む感覚に似ている。値段もちょうど、グラスビール(1/2パイント)で250円くらいだし。 |
◆9月1日(月)
![]() |
セインズベリーで思わず手に取ったお煎餅。後学のために買ってみると、たった75gなのに400円以上もした。「玄米せんべい 薄焼 たまり」 These crackers are delicious crunchy snacks made from brown rice and sesame. They can be eaten as an appetiser or at any time of day. 立派にお煎餅の味がする。しけてもいないし。 |
語学研修も3週間めを迎えたが、第1週・2週とも月曜日は授業がなかったので、今日は目新しい時間割。でもって、月曜が一週間でいちばん大変な日だとわかった。語学4時間+セミナー。ぐったり。
Pron(発音)の授業ってどんなことをするのかな――昔なつかしいLL教室。3人1組になり、長さの違う言葉を同じテンポで発音する訓練。たとえば、Aがゆっくり"two,
three, four"というあいだに、Bは"twenty,
thirty, forty"と言い、Cは"two hundred, three
hundred, four hundred"と言う。そのあいだ、先生はバレエのインストラクタが「アン・ドゥ・トロワ」とカウントするように手を叩く。A"his
new, book's, quite, good"、B"his latest, novel's a
dis-, tinct suc-, cess"、C"an out-, standing
contri-, bution to con-, temporary, literature"くらいになると、かなり必死。口が回らない。日本人の口の形はもともと英語をしゃべるようにできてないんだ〜、と叫びたくなる。
今日は開発学部の修論提出日。あちこちで、Congratulations!
なシーンを見かける。「まいったよ、夕べネットワークが4回も繋がらなくてさ。大学のコンピュータルームで必要なデータは取れたからよかったけど。ラストスパートは32時間も不眠不休だったんだ」 おめでとう〜。
周囲が頑張っているので、私もしっかりやらなきゃな、と思い、宿題のエッセイを書きはじめて……空腹を覚える。キッチンでプディングライス100%の白米を炊き、おかずは肉じゃが、海苔、梅干、インスタント味噌汁、それに……ピーマンのおひたし。こっちのジューシーな
pepper をかりかりに焼いてからバターを落とし、しょうが醤油で和えると、なぜか美味しいのだ。今日も仲むつまじく一緒に料理をしていたK(中)&B(中)のカップルは、ローストチキン、野菜炒め、サラダ、ハンバーグと、これでもかと言わんばかりに作っていく。「こういうのが日本人の夕食なのか? ずいぶん質素なんだな」 だから、ほっとけって。気を取り直して、文学好きなF(泰)に「来月、マーティン・エイミスが講演に来るらしいよ」と仕入れたばかりの情報で
International Literary Festival 2003
の話に突入。「昨日のお味噌汁、とっても美味しかったから、もう一度もらってもいい?」 どうぞどうぞ。私たちはアジア人だもんね〜。昨日そばにいたA(英)は、くんくん嗅いでこう言った。「うーん、腐った靴下の臭いだ」 うるさい。
カウンタが62,000に。