| 感想は冷めないうちに〜読書日記 |
Joseph Conrad "The Secret Sharer" (Oct. 05, '99記)
| 女性作家の読書が続いたので、男性的な作品も読んでみようと思って挑戦したのだが、……男性的すぎたようだ。まさかゲイ関連だったとは。 【あらすじ】 船はタイへの航海を終え、イギリスに帰国するため港を出ようとしている。2週間前に船長に任命されたばかりの私は船員たちをほとんど知らない「ストレンジャー」だ。夜、身の置き所がなく二等航海士に代わって見張りをしていると、片づけ忘れた縄ばしごに見知らぬ裸の男がしがみついているのに気づいた。やはり湾内に停泊中のセフォア号から逃げてきた一等航海士だ。パジャマを着せ話を聞くと、2ヶ月ほど前、航海中にひどい時化に遭い、混乱のなかで発狂した同僚ともみ合いになり殺してしまったのだという。彼は船室に監禁されていたのだが1週間前に海に飛び込み、小島を経てこの船の明かりを目標に泳いできたのだ。 私は男を自室にかくまうことにした。二人だけの秘密を共有する生活がはじまる。船長室は船員たちの出入りが多い。神経を張り詰めるような時間がすぎてゆく。ほどなくしてセフォア号の船長が男を探しにやってきた。この船に男がいると疑っているようだが、なんとか気をそらし無事お帰りいただく。 やがて船は出航した。カンボジアを通るときに、なるべく海岸に近づけば男を逃がすことができる。だが、そのときが来ると、生憎の天候で近づくのは危険だった。さまざまな不安に苛まれながらも私はなんとか指令を出し、船の苦境を乗り切るとともに男を逃がすことにも成功した。 【感想】 そういえばコンラッドの小説を読んだことがないと思い立ち、グーテンベルクからダウンロードして読んだ。30ページくらいの短篇だと思うが、読むのにびっちり10時間もかかってしまった。とても読みがいのある文章。 陸と海の風景描写が幻想的だ。たとえば、こんな感じの文が続く。 Here and there gleams as of a few scattered pieces of silver marked the windings of the great river; and on the nearest of them, just within the bar, the tug steaming right into the land became lost to my sight, hull and funnel and masts, as though the impassive earth had swallowed her up without an effort, without a tremor. 読むには楽しいが、訳すとなったら地獄かもしれない。新米の船長で、船のなかに心を許せる部下が誰もいなくて孤独なところに、同じように「ストレンジャー」の男がやってくる。男を助けようと気を張って頑張っているうちに、いつのまにか頼もしい船長さんに成長していたという、話としてもプロットがしっかりしている。 男は甲板に上がり裸のまま膝を抱えて坐るが、手にあごを乗せてしゃがんでいるポーズは、ゲイの象徴のようなものだそうだ。人に言われるまで、ぜんぜん気がつかなかった。 |