感想は冷めないうちに〜読書日記 

Margaret Drabble "A Summer Bird-Cage" (London: Weidenfeld and Nicolson, 1963 /216p) (Aug. 13, '99記)

マーガレット・ドラブルのデビュー作。

【あらすじ】
 オックスフォード大学を卒業後、さしたる目的もなくパリで生活していたサラは、やはりオックスフォード出の姉ルイーズの結婚式に出席するため故郷に帰ってくる。そこで美貌の姉に常にコンプレックスを感じていた少女時代を思い出し、いつもどこか冷めた感じのするルイーズには親しみを覚えないことを再確認する。
 姉の夫スティーブンは売れっ子作家で、俳優たちとも親しく、華やかな世界にいる男だが、サラは好きになれない。この結婚に暗い予感がするのは自分が二人によい感情がもてないせいかと思っていたが、実際に、姉夫婦は互いの損得勘定を優先させた愛のない結婚をしていたことがわかる。
 ある日、昔の恋人に人間的な触れ合いを求めたルイーズは、彼と一緒のところを夫に見つかり、ガウン一枚の姿で妹のアパートに駆け込む。自分の前で初めて弱みを見せた姉に、サラはやっと姉と対等の立場になれたことを感じる。

【感想】
 先日よんだバイアットの『ゲーム』がとても面白かったので、それなら実妹のドラブルのほうは、姉妹の確執についてどんなふうに書いているのだろうと、興味をもってこの本を読んだ。

 両者とも二人の初期の作品にあたるわけだが、読み比べてみるとまったく違う(顔はそっくりなのに)。『ゲーム』が英文学に興味がある人しか寄せつけないような感じがするのに対し、ドラブルのほうはもう少し身近な、誰にでも気楽に読める小説、という気がする。易しい語彙で書かれているからかもしれない。

 『夏の鳥かご』は一人称で書かれ、姉妹の確執も妹の側から姉を眺めた一方的な見方だけが語られている。作者の若さが全面にあふれ、はじけているような印象をもった。最後になって、この小説が実は小説家を志している主人公の第一作だということがわかるのだが、その設定は興味深い。『ゲーム』で最後に暗示されたものと同じだ。

 世間的な評価にとらわれず、試行錯誤しながら自分の人生を切り開いていこうとするサラには好感がもてる。鳥籠が結婚を表しているのだとすれば、なかにいる鳥は結婚生活に息苦しさを感じて外に出たいと願っているし、籠の外には自由な生活を捨てて結婚したいと見つめている鳥がいるわけだ。面白い暗喩だと思った。