勢いづくアーセレナ軍とは対称的に、海岸線の陣を打ち破られたファレーン軍は、重要な補給路の1つを失い、苦しい立場に立たされた。
ファレーン軍は海岸線の陣を放棄し、新たに大平原の西、緑豊かな平原に戦場を設定し、3つの陣営を迎え撃つ事にする。
敗戦の報は、浮遊島の防御要塞「風の防壁」にも伝えらた。要塞司令官ミル・フェスは、迷うことなく援軍を送ることを決定し、飛空艇部隊の編成を指示した。
「間に合えばいいが…」
思わず出た言葉に、彼は慌てて首を振った。(EW 第6戦「大平原の戦い」課題背景より)
海岸線の戦いの後、彼女は仲間の元を離れ、独りウィンディーンへの旅路を急いでいた。
水の無い地での戦闘は何度か経験している。今までも逃げようと思った事は無かった。しかし、今回は地の利が悪すぎる。
この広い平原で戦うには、彼女の動きは遅すぎた。そして、この起伏の無い草原は、姿を隠すものが少なすぎた。
彼女は、仲間の足手まといになりたくはなかった。
海岸近くの泉から身体にまとって来た水の衣も、生温くなっていた。そろそろ新しい泉を見つけないと、やがては蒸発してしまうだろう。
遠くドレイグ山脈を望む平原には、青々とした草木が繁ってはいたが河の流れは遥かに遠く、彼女の小さな身体には永遠の距離に思えた。
彼女は、ほっと一息付くと、彼女と同じ位の小さな岩の影に身を寄せた。
その時だった。彼女は陽を遮る小さな影と、近付いて来る羽根の羽ばたきに気が付いた。
上空を旋回するその翼の主には、腕と足がある…。彼女は風の従者に見つかってしまったのだ。
「いや、来ないで!」
彼女は、近くにあった蔓草にしがみついた。身を隠そうとも、捕らえられまいとも、考えている訳ではなかったのだが…。
拒絶の雫を受け取った草の蔓が、みるみるうちに巨大な大木を、空に向かって伸ばして行った。風の従者も足と羽根をその蔓にからめとられ、身動き取れずにもがいている…。
彼女はその足を、ウィンディーンに向けた。
