『ブルティーク追撃戦で思わぬ被害を出し、せっかく手中に収めた領土を失ったファレーンは、新たな領土獲得の為ルードリアの大平原へと目を向け始める。
年は明けて大陸暦166年、ついにファレーン艦隊がユイスランを発ちルードリアの大平原へ向けて進撃を開始した。
事前にこの動きを察知していたアーセレナ、ウィンディーン両軍は、近くに展開していた艦隊を至急ファレーン艦隊に差し向ける。フレイドも遅れて戦場に艦隊を派遣した。
入り乱れる四艦隊。が、ファーレン艦隊特有の飛空艇部隊がどこにも見当たらない。ファレーンに疾風艦隊ありと言わしめる飛空艇部隊が出撃していないなんて…?
「て、敵襲! 上です。き、来ます!」』(EW 第4戦「奇襲!ファレーン疾風艦隊 」課題背景より)
見渡す限りの大海原に、船船船…。目の前には、川育ちの彼女に、ちょっと想像の付かない光景が広かっていた。
ちっぽけな存在の彼女は、大きな船の引き波に翻弄されて、ここでは思う様に泳ぐ事もままならなかった。
仕方なく、しばらく海底へその身体を沈めてみるが、海水の濃い塩分の為か、思う様に沈む事も出来ない。じたばたともがく彼女の脇を、小魚の大軍がすり抜けてゆく…。
「何が?」
もちろん、大きな戦いの場で優雅に泳いでいる魚は居ない。しかし、皆とても焦っている様にも見える。彼女は海面に顔を出して、その方向を見据えた。
「竜巻き?」
風の力が造り出した空気の渦が、海水を巻き上げ波を吸い寄せている。そして、小さな帆船が、木の葉の様に舞っている…。
彼女はその視線の隅に、転覆した船の影を見た。船の底にしがみつく数人の水の民の姿が見える。
波は増々荒く猛り、彼女こそが木の葉の様ではあったが、彼女はその力を振り絞って風の渦と船の間に割って入った。
彼女は歌う、歌う、歌う…。
「来て、来て、来て!」
見も知らぬ海、見知らぬ生き物達…。来てくれなんて言えない、でも何とか仲間を助けたい。彼女は声の限りに歌い続ける…。
いつしか彼女を取り巻くように、波を威力を打ち消す様に、無数の魚影が浮かび上がる…!
