| オス!(TEAM発砲B★ZIN) 下北沢本多劇場 03年01月12日 |
| 同じ大学の応援団(かつて廃部の危機をチアリーダー部との合併で乗り切った)のOBカゴとOGミキ。酔った勢いで伝統の団長用ガクランを持ったままOB会を飛び出したふたりが夜の母校に飛びこむと、そこは男女のイメージが逆転した奇妙な世界。学生服姿の女たちは強さや勇気を信奉し、セーラー服の男たちはたおやかな優しさを男らしい美徳と崇めている。 ミキとはぐれたカゴはこの「学園」で、伝説の「オトコ着」を巡る女性の「エンダン」と男性の「生徒会」の争いに巻きこまれていく。事件のさなかに見え隠れする「伝説の大番長の幽霊」はミキなのか……。 一見すると今までの発砲とは印象が違いますが、一種のコスチューム劇であり、変身要素もあるという事で路線はしっかりと継承しつつ、作品のバリエーションを広げているようです。劇中では『セーラー服反逆同盟』なんて言葉や、80年代黄金時代のジャンプネタなんてのも出てきましたし。 西ノ園達大演じるカゴは主人公というよりは狂言回しというか、物語のナビゲーターに近い存在で、登場人物のキャラ立ては発砲にしてはやや弱く、キャラの意志や情念よりも状況や設定で見せるタイプの芝居でした。ただ、むしろキャスティングはきだつよし・工藤順矢が完全なコメディリリーフとして脇に回ったり、定番スタイルにまとまらない面白さがあります。特に今回のアタリは森貞文則でしょう。『パレット』や『ゴメンバー・デ・ショウ』ではともすれば意気が空回りしてしまう純粋な若者を演じていた彼が、今回は同じ若さ・純粋さを持ちながらモラルに欠け、狡猾さと凶暴さを併せ持つ、いわば今までの当たり役の陰画ともいうべき重要キャラを見事に演じていました。 それと、今回は照明や音響も印象に残りました。オープニングでステージから客席へと投げかけられる強烈なバイクのヘッドライト。クライマックスでの、それまでアイキャッチとして使っていた音楽で場面が変わるのかと思わせて……というテンションのヒキは特にインパクトが強かったですね。 |
| STRAISER(AlmondEye Produce) サンシャイン劇場 03年2月6日 |
| 人間を社会的ストレスから解放し、温厚な性格にする装置・ストレイザーが考案された。それには意志や自発性を損ない、他人に従順になってしまうという副作用があったが、権力者たちはそれを利用して人々を支配していた。そして、間もなく起動されようとしているスーパーストレイザーは人間の神経電流を増幅させ、地球の磁場や地軸を狂わせ、世界を破滅させる恐るべきシステムだった。東洋医学弾圧によって投獄されていたカリスマ生体師・マッシュは戦いを捨てた戦闘民族ミヌー族に助けられ、世界を救うべく走り出す! 元・惑星ピスタチオの腹筋善之介の脚本・演出・主演らしく、役者の肉体を駆使しまくった舞台。ステージ上には一切の装置がなく、役者が半円を描くように座り、場面の必要に応じて立ち上がって登場人物や風景を演じるというスタイルでした。 舞台上にマルチウィンドウを実現したり、細かいカット割りで回想シーンを挟みこんだりと、積極的にテレビ的な技法を取り入れるのも、まだ試行錯誤中というか、技法そのものが前に出て必ずしも万全は言い切れないところも散見されましたが視覚的インパクトは強く、充分な効果は上げていたと言えるでしょう。 腹筋演じるマッシュはスキンヘッドで筋肉質のコワモテな外見ながら少年のような初々しさがあり、魅力的な主人公。脇もいい芝居していましたがちょっと主人公の存在感に喰われていたかも? 全体を振り返ってもったいないのはストレイザーが「微弱なストレスを与え続ける事によって社会的なストレスを忘れさせる」という魅力的なガジェットでありながら、実際の芝居の中では単なる洗脳マシンのような扱いになっており、マッシュの整体師という設定も充分に生きなかった点でしょうか。 あ、割とどーでもいい事ですがラクダのメイメイがかわいかったです、ハイ。 |
| 幕末狂刀伝(ファントマ) 新宿シアターサンモール 03年2月11日夜の部 |
| 風雲の幕末・歴史に名高い志士たちが世を大きく動かすその「前夜」。武市半平太率いる土佐勤王党随一の剣士でありながら狂犬と恐れられ、歴史の暗部に名を残す男−−岡田以蔵。彼は何を思い、何を願って時代を駆け抜けたのか……。 幕末という題材はやはり人の心をそそるものがあるようで、私が見た舞台の中でも何本か扱われていますが、本作が異彩を放っているのは岡田以蔵という、いわば時代の闇をまとった男をメインに据えている点でしょう。言うまでもない事ですが、薩長を中心とした華やかな動きは幕末後半の事であり、前半は暴力とテロリズムが吹き荒れる再生に先立つ破壊の時代だったのです。この舞台が桜田門外の変から始まるのも、まさに血の時代の始まりを告げる事件だからでしょう(しかし、伊井大老の首でフットボールというシチュエーションは筒井康隆から?) 日記にも書いた通り、とにかくこってり系のよくも悪くもくどい味わいの舞台。題材そのものは真っ暗なのですが、ギャグとシリアス、静動、緩急のコントラストが強く、シンプルな装置を活かした照明の巧さとも相まって2時間退屈させません。音響に関しては手慣れた感じですけどやや使いすぎというか、うるさい印象も残りましたが。 対比という点では、以蔵を語る上で欠かせない重要人物である武市半平太を女性が演じるという趣向も効果的。以蔵(浅野彰一)の粗暴さ、何をしても満たされぬ原始的な焦燥感と、武市(美津乃あわ)の酷薄とさえ思える凛とした姿は、事態の推移に伴うふたりの関係の変化をよく表現していました。殺陣の多い芝居でしたが、その中でも低く構えて獣のように飛びかかる、正統派ではない以蔵の荒々しい太刀筋はアクションがそのまま感情表現・人物描写にもなっています。 ただ、主役コンビの熱演に比べて脇には何人か力不足の役者もいたのは残念。セリフに力がなく、通り一編の表現にとどまっていたのは悔やまれるところです。 全体の構成でも、やや羽目を外しすぎたかと思われる点もありました。『必殺仕事人』パロディのクイズコーナーはまだ許容範囲だと思うのですが、フリーフォールの下りは明らかに余分でしょう。特にクイズで一度全体の流れを断ち切っているのですから、その後は細かいネタなんかやらずに一気にクライマックスになだれこんでほしかったところ。それにそれまで武市はギャグでもマジボケ系だけだったのがあそこだけキャラが崩れているので(自覚しているのでセリフでフォローしたのでしょうが)、ラストに向けての見ている側としては気持ちの流れが乱されてしまいました。 まあ、文句も書いてしまいましたが、サービス精神満点で満足できる舞台だったのは事実。万事にメリハリが利いていて、表現の意図がはっきりと解るからこその苦情です。チェックしたい劇団がひとつ増えました。 |
| ジッパー!(TOON BULLETS) 新宿・SPACE107 03年4月18日昼の部 |
| デパートの屋上で開催される『奇跡戦隊エレメンジャー』ショー。ところが、ショーチームはトラブルで人数が揃わない上に、デパート側でも決して全面歓迎ムードでもない。おまけにリーダーのところには借金取りや仲の悪い弟−しかも『エレメンジャー』ではレッドの変身前を演じている−まで現れて……。 個人的にヒーローものやバックステージものが好きという事もあり、チェックした舞台です。2時間強という長丁場ですが、展開が豊富で飽きさせないなかなか楽しい芝居でした。とにかく役者陣の熱演もあって非常にキャラが立っており、また次々と小ネタが繰り出されるのが率直に面白かったです。文字通り「舞台裏」から見た形の装置も、ひとめで芝居のコンセプトが伝わりますし。 ただ、欠点もちらほら見受けられました。主人公と弟の間の葛藤が解消されるプロセスが不充分だったり、「素人をショーに出す」事についての是非が途中で変化してしまったりとか。中でもちょっと気になったのが、舞台裏で起きている本筋はともかく、表側のショーの方がネタ枯れ気味になっている点ですか。それと、プロットの根本的な欠点として、ヒーローショーに賭ける主人公たちの意気込みとは裏腹に、実際の物語の中では間に合わせ的に素人を出演させたり、無茶なアドリブでつないだりと、ちょっとお客に対して失礼な事をやっちゃってる点ですか(もっとも、コレをやらないと喜劇としての面白みが出ないんで痛し痒しではあるのですけれど)。それから、ラストの「借金取りとの戦い」も蛇足のような。 並べてみると苦言の方が多くなってしまいましたが、それは魅力の部分に比べると欠点の方が言葉で指摘しやすいからで、全体的には充分満足できる舞台でした。 |
| アカツキ7(劇団SWAT) 下北沢本多劇場 03年4月26日 |
| 関ヶ原も遠い昔となった泰平の時代。老中森伊豆守は公儀目付・大場真左衛門に非道なる明石藩主・松平明次を討つ事を命じる。天下万民のためにこの暗殺計画に乗り、六人の仲間を集め、参勤交代中の襲撃計画を立てる大場。だが、松平の側には主の愚かさを知りながら、あくまでも忠義を武士の本分と考える大場の旧友・沢元半兵衛がいた……。 大場真人、沢元凱というSWATの中心人物ふたりが今回限りで退団という事で、役者の名前を冠したキャラクターがふたり主役という、最後の花道に相応しい仕掛けでした。 内容もタイトルから想像できる通り「七人モノ」。いや、こういう言葉があるかどうかは知りませんが「七人の侍」とか「黄金の七人」とか、不可能と思われるミッションのために七人のエキスパートが集まるというタイプの話。 オープニングやクロージングの凝った見せ方や殺陣の迫力、久しぶりに中友子の怪演など、魅力にあふれた舞台でしたが、多少脚本の弱さを感じたのも事実。大場以下、襲撃チームの七人は動機や能力などの描き分けが弱く、かといって大場と沢元の友情と対立にもドラマのピントが絞りきれていない感じがしました。 このあたり、もうちょっと煮詰めてほしかったところです。 |
| ダストシューター(カプセル兵団) 大塚萬スタジオ 03年5月4日夜の部 |
| 銀河連合を騒がす伝説の怪物・不死の究極生命体ザレムと、それを追い続ける不死身の女・レイラ。ダストシューターと呼ばれる賞金稼ぎのトレイス、リード、レムの三人はこの両者の戦いと、支配体制を強化しようと目論む軍の陰謀に巻きこまれていく……。 舞台演劇で映画・アニメ的な表現を大胆に取り入れ続けるカプセル兵団の新作は『スターウォーズ』や『コブラ』を思わせる壮大なスペースオペラでした。板野サーカスやら変身、異形のエイリアンたちがたむろする会議を役者の肉体で表現するばかりではなく、カット割りやカメラワーク(!)が映画的。このあたりの技法は前作『ドラゴンロード』からさらに磨きがかかった印象です。それと、今回の白眉は「宇宙戦艦のデッキで、誘導員に指示された巨大ロボットがカタパルトに足をセットし、そのまま発進して空間戦闘する」というのを肉体だけで見せてしまった事でしょう。アニメや映画など、観客との共通の前提に頼っているきらいはありますが、この大胆な表現がこの劇団の最大の魅力だと思います。 ただ、今回プロット的にはやや難点もありました。最後に事件を解決する(しかし、主人公とはちょっと言い難い)トレイスがずっと本筋から切り離されて行動している点など、細かい要素を盛りこみすぎて物語の流れが分裂し、いささか煩くなっている感じが残りました。ネフティスがキャラクターとして上手く機能していなかったり、最後の黒幕ドクターバーキンが植物系生物である事が登場時の説明に頼りっきりなところもちょっとマイナス。ギャグとしての小ネタはともかく、一応メインストーリーに関わるキーワードに「アマダム」という既存の造語をそのまんま流用するのもちょっと……。 次回は表現の凄さだけではなく、かっちりした物語の力にも期待したいですね。 |
| ビート・シガレッツスーパーマイルド(ヰタ・マキニカリス) 劇場MOMO 03年05月19日 |
| 高校時代のクラスメイトどうしの結婚式で、久々に集まった30男たち。三次会と称して、仲間のひとりのマンションに転がりこんで飲み続けたが、今日の新婦に恋していた奴を筆頭に、みんながみんな恋の悩みを抱えていて……。 登場人物は全員男、しかももうそろそろ若いとは言い難い年齢。こいつらの失恋という、一筋縄ではいかない題材をテーマにした芝居です。美術・音響・照明とも演劇的な誇張が少なく、役者陣の演技もナチュラル。それでいて客を捕まえるキャッチ性充分な出だしは見事。登場人物は全員、はっきりと個性を振り分けられながら「いかにもいそうな奴」で、高校や大学時代の友人を思い出しました。 で、題材も表現もやや地味かと思いきや、遅刻してきた斎藤が登場するあたりからだんだんテンションが上がってきて、ムードが一変します。ついには幽霊まで登場したりして。この変化には恐らく賛否両論あるでしょうが、私としては楽しめましたね。 幽霊を除く登場人物6人の関係が絶妙で、クライマックスで開かされる「意外な真相」も、思い起こしてみればちゃんとこれまでの描写が腑に落ちるようになっています。今回、日程の都合で断念してしまいましたが、できればオチを知った上で最初から見直して、細かい伏線やら表現やらを回収したくなる芝居です。 また、デウス・エクス・マキナとしての幽霊の使い方や、泣く事でカタルシスを得るなど、古典的な演劇論そのものを物語に組みこんでいるところもちょっと興味深かったところ。 笑いもネタを挿入するのではなく、物語の中でのシチュエーションや人間関係で笑わせているあたり、地力の強さを感じさせます。飛び道具的な派手さには欠けるものの、かなり良質の芝居じゃないですかね。 役者陣では斎藤役の鴨下裕之が周囲に異彩を放つ儲け役。馬場巧も「身勝手なお調子者だけど、皆のムードメーカー」という、ともすれば不快なだけになりかねない人物像を上手く表現して、冒頭から物語を牽引する力強いトレーラー役を務めていて印象に残りました。 |
| 風のピンチヒッター 再試合(ランニングシアターダッシュ) 紀伊国屋ホール 03年08月18日 |
| 連戦連敗、ぎりぎり9人だった部員にも逃げられて残るはたったのふたり。監督にまで去られたボロボロ状態の弱小・府立第三高校野球部。だが、そこにふたりの転校生が現れた時から奇跡は始まった……。 スポーツを題材にした劇団の出世作として知られる芝居。日記にも書きましたが、これまで微妙に縁が無く葛西にとっては初のダッシュです。 作者自身が『がんばれ! ベアーズ』をモチーフにしたと言っている通り、物語はシンプルかつオーソドックスな「駄目チーム逆転もの」。実のところ、ストーリーを詳細に検討するといろいろと噛み合いの悪い部分があります。ライバルチームである星上高校の描写が理事長の娘トクガワによるダーティさばかりが目立って軍隊式管理野球の強豪という説得力が乏しいところとか、「一点取ろう」という目的を掲げたのにその初めての得点が単なるラッキーなホームランだとか、三高の逆襲が結局個人技の発揮だけに留まってしまっているとか。また、メンバーが結集するまでそれぞれのエピソードをザッピングする手法は、脚本は巧みなものの、演出面でリアルと誇張のバランス取りが不安定で、いささかとっちらかった印象も受けました。チームメイトの中で特にこれといったエピソードがない人もひとりふたりいますし。 ただし、それらの欠点を補って余りあるエネルギーの奔流がこの芝居にはあります。スポーツという題材に相応しく、また劇団名の通りに、舞台上でみんながひたすら走る! 走る!! 最前列だったおかげで、役者の飛び散る汗ひとつぶひとつぶの輝きまでがはっきりと見えました。これは、光の静と動を巧妙に使い分ける照明の素晴らしさもあるのでしょう。 先に欠点として挙げた「一点問題」も、試合展開そのものを面白くするために「一点を争う緊迫したゲーム」ではなく「二度に渡るコールド負けの危機」というプロットを優先した考えれば、単純にマイナス点とも言えませんし。 野球に対する各キャラのスタンスや思い入れを描くエピソードも味わい深かったですね。同じようにプロ選手を父に持つミナミとサイゴウの対比、家庭の事情で私学に進めなかったキャプテンのイサムの話は、それぞれの役者の好演もあって胸に響きました。あ、あと出番は少なかったですけど、学業と野球部の両立に苦しんだトシミツのガールフレンド・ヨシダがよかったですね。いや、別にメガネっ娘だからとかいうわけではなく、こういう物語でちゃんと野球に対して一定の距離を持ってなおかつ魅力的なキャラがいるっていう点を評価したいです、ハイ。 それと、やはりこの芝居の見どころはオープニングとエンディングの絶妙な呼応や、試合のクライマックスで見せる過去と現在が交錯し、叙情と肉体のパワーが響きあう盛り上がりでしょう。特に後者は観客を「ある予感」に導いておいて、しかしそれを心地よく裏切るセリフの巧みさも光ってます。正直、私もコロッと騙されてしまいました。 今回は都合が合わなくて平行して上演されている続編『風のピンチヒッター 特訓中』の方は見逃してしまったのが残念です。 最後に、これは本当に単なる個人的な思いつきというか、観ている最中に頭が勝手に連想してしまったネタですが、トシミツはジャーナリストよりも医者になってほしかったですね。選手のコンディションを整え、故障から甦らせる超一流のスポーツドクター。母親の要求を上回り、しかも野球に関わる職業って事で。物語の展開からすれば動機も充分ですし。 |
| 燃えよ! 映画魂&燃えてヒーローショー!(カプセル兵団) 大塚萬スタジオ 03年08月20日 |
| 一時間程度の短い芝居の2本立て、しかもそれぞれの話は完全に独立しているのに、ある意味では絶妙にオーバーラップしているとも言える、ちょっと変わった構成の公演。 『映画魂』の方は映画にまつわる物語ではなく、ジャンル横断的映画パロディ。現代ものラブストーリーと刑事アクションと変身ヒーローものと魔女っ子ものが交錯してしまい、それぞれの登場人物が己の世界の価値観や常識を抱えたまま、ひとつの事件を解決するために協力する羽目になるという話(しかし、魔女っ子ものの「映画」って一体……)。 一時間という短さを活かして、スピーディでダイレクトなギャグとさまざまな映画の名場面の再現が乱れ飛ぶのが心地よかったですね。『マトリックス・リローデッド』のスミス大軍VSネオなんてホントよくやってくれましたよ。ただ、どうせなら今回はネタがネタなんでパロディは映画に絞って、いつもの「ジャンプマンガ」は避けた方がよかったような気もします(しかも、今回はなぜか南斗双鷹拳というマイナーなネタ!)。せっかく冒頭の『ヒーローショー』予告も映画の予告編仕立てだったんですし。 それと今回は内容が内容なのでカプセルが多用する「統一され、抽象化された衣装」ではなく、それぞれ背広だったりヒーローコスチュームだったりするのですけど、その格好でいつもの「役者の肉体による巨大メカ表現」なんかをカマしてくれるので、かなり視覚的インパクトがありました。いい意味で、いつものカプセルのイメージを裏切ってくれましたね。 いつものイメージを裏切ったと言えば『ヒーローショー』の方も、特にSF的なギミックがない現代モノのシチュエーションコメディ。企画会社の新人が初めて任された遊園地でのヒーローショー。ところが特別ゲストで出演するはずの顔出し俳優が渋滞に巻きこまれて間に合わない。段取り変更を迫られる中、ちゃっかりスタッフ面して紛れこんでしまった熱狂的ファン、版権会社からチェックにやってきたコワモテ女、ショーの現場に逃げてきた凶悪犯とそれを追う刑事。トラブルの続きの中、ショーの行方は……というストーリーです。 ヒーローショーネタという事でどうしても『ゴメンバー・デショウ』や『ジッパー!』と比較してしまうのですが、一時間という上演時間の短さが幸いして、とにかくどうやって無事にショーを完成させるか、という点に絞ったおかげで、個々のキャラのドラマなどは薄いもののスピーディなコメディとしてはよくまとまってました(細かいネタですが、胡散臭い脚本家のバッキーから某シャンゼリオンやライダーの脚本家を連想したり、どうせならクールビューティな東芸の星さんが魔女っ子プリティモモになるという恥辱プレイが見たいと思ったのは私だけですかそうですか)。 ただ、両作品ともにちょっと気になったのが、作・演出も担当している吉久直志のセリフとちりが結構目立っていた点。二作品で三役を演じる苦労はわかるのですけど、ちょっと画竜点睛を欠いた印象になっちゃいましたね。 |
| ジップアップ!(TOON BULLETS) シアターVアカサカ 03年10月03日 |
| 4月に旗揚げしたTOON BULLETSの第二弾。 「司会のお姉さん」が結婚する事になり、披露宴で仕事仲間たちが余興としてヒーローショーを演じる事に。ところがこの結婚には障害がいっぱい。結婚に反対している新郎の連れ子や新婦の父親、しかも会場になるホテルのオーナーの息子は新郎を怨んでいる暴走族時代の後輩で……。 前作『ジッパー!』の続編で、前のを観ていないとキャラクターやら状況が理解しづらそうなところはあるものの、前作の魅力も見事に継承した楽しい芝居。登場人物の魅力とテンポの良さ、次々に繰り出されるネタの物量、そしてアクションの迫力は健在です。司会のお姉さん・茜は今回新婦という事で出番は控えめになりましたが、人間デウス・エクス・マキナの宇佐美や台湾からの留学生・王ちゃんは相変わらず魅力的。今回初変身した鳴海クンの打点が高くフォームの美しいハイキックも見事。また、新たに登場したメンバーではギャグキャラとして美味しいところを取りまくっていた謎のビジュアル系PAと、ドラマ部分の芯を支えた連れ子の勇気くんがよかったですね。 主題歌に加えて本編映像の一部まで作られ、6番目の戦士も登場した『エレメンジャー』や、ゲスト出演したヒーローの「らしさ」は、特撮オタクとしても納得の出来です。 ただ、欠点も前回通りというか、ちょっと全体に未整理な印象はあります。何というか、入れられるネタは全部ぶちこんだという感じで、もっと厳選して絞りこむ余地はあるのではないかと思うのです。上演時間もいささか長めですし。通販グッズネタは単独のギャグとしては笑えるものの、全体のテンポを乱して、むしろマイナスだったと思います。 ネタ詰めこみでいうと、千葉が取り出す折り紙の兜が「偽物」だったというオチは不要だったのではないでしょうか。「死んだと思ったら実は」というシチュエーションを既に使っているわけですし、ここは多少クサくてもストレートな感動を狙ってもよかったのでは。それこそ、ベタですけど千葉が初めてレッドに入った記念の品だとか。ちょっとそのあたりで満点とまではいかなかったのが惜しいですね。 |
| トランスホーム・インターナショナルバージョン(TEAM発砲B★ZIN) 下北沢本多劇場 03年12月20日 New! |
| 煩わしい家族から開放され、気楽なひとり暮らしをしている若いサラリーマンが主人公。彼の両親と妹、ついでに愛犬が飛行機事故で死亡し、なぜか彼の部屋の家具に宿ってしまうという、発砲の傑作を海外公演用に1時間に短縮したニューバージョン。残念ながら予定していたエジンバラ公演はキャンセルされたものの、日本語英語の2バージョンで今回の上演の運びとなったもの(実は日本語版しか観ていません)。 舞台上の装置だった冷蔵庫やテレビが「変形」して役者になるのがやっぱり圧巻。「家具が人間になる」というネタを役者の肉体表現がどうのという話ではなく「そのまんま」やってしまうのが発砲の持ち味。あらかじめ知っていても、舞台の上で見せられると視覚的インパクトは強烈です。今回、一時間に短縮されたおかげで物語が絞りこまれて、より楽しめるものになっていると感じました。 英語版は未見ですが、購入した対訳二か国語台本によるとさすがに東北弁にまつわる部分やジェットストリームアタックはカットされているものの、「平凡パンチ」だの「デビルマン」だのけっこうドメスティックなギャグがそのまま使われてるんですねぇ。 非常に楽しい舞台だったのですが、ちょっと難点に感じたのはキャスティング。基本的には全員ハマり役っていったらハマり役なのです。若くてバカな森貞とか、平野くんじのダンディな悪役とか。ただ、やはり主演のきだつよしがいい感じに落ち着いてしまっているため、主人公タツヨシのキャラとの馴染みがやや悪くなっているように思いました。最近は『センゴクプー』や『パレット』「ゴメンバー・デ・ショウ』など「大人」な役どころが多かったので特にそう感じるのかも知れませんが……。本来はエジンバラ公演を考えていたので脂の乗ったベストメンバーで、と考えたのでしょうが、ちょっと冒険してほしかったところですね。個人的にはきだが演じる「おかん」とか観てみたいですし。 |
| TWO DASH(IQ5000) アイピット目白 03年10月03日 New! |
| 阪神大震災の直後、倒壊を免れた洋館の一室に集まった人々。そこで語られる、戦後の復興期にそれぞれの夢に情熱を注いだ若者たちと、源義経の物語。戦後の若者たちが義経に勇気づけられたように、現代の若者も戦後の若者たちに勇気付けられ……。 『ストレイザー』の印象もあり、パワフルで大胆な肉体表現がメインかと思いきや、IQ5000の新作は実にオーソドックスで、静と動のコントラストが効いたハートウォーミングな物語でした。芝居のつけ方や語り口も普通で、何よりも意外だったのは腹筋善之介がほとんど寝ているだけの役どころという点。 リアルな現代、原色でぎらぎらとエネルギッシュな源平時代、白を基調に明るく清潔感のある戦後という、三つの時代の対比が目に心地よく、オーソドックスとは言っても「役者の肉体だけですべてを表現する」という部分は、独特の舞台装置(と、言っていいのでしょうか。あの可動式のすだれみたいな物は)できっちり活かされています。 三時代のうち戦後がメインで、個性豊かな登場人物が目白押し。役者は二枚目なんだけれどキャラクターはマニアックで笑えるハム太郎やマツシタもいいですが、やはりいちばん惹かれたのは戦後では恋する女性、現代ではけたたましいけれど優しいおばあさんとなった田中さんですね。 いい意味で期待を裏切られて、暖かくて元気が出る、一年の締めにいい芝居を見せてもらいました。 |