『石のハートのアクトレス』シリーズの裏話

 事実上の再デビューとも言える作品です。

 ちょうどこの頃PCエンジンの『ときめきメモリアル』にはまっていたのですが、その経験から「女の子を魅力的に描くためには、別に男性キャラと関わらせなくてもいいんじゃないか」という風にこの頃は考えていました。それと演劇部を題材にするというアイディアが結びついて、基本的なプロットが決まったのです。演劇部(およびブラスバンド)というのは文化部でありながら体力勝負だったり、ポジション争奪があったり、個人作業じゃなかったりと、面白くなるファクターは多いんですよね。
 で、演劇部に放りこむ「異物」としてアンドロイドを選んだ時に考えたのが「ロボットが人間になれて(人間と同じと認められて)よかったね」ってな話にはすまいという事。そこから聡美というキャラが生まれ、全体の具体的なストーリーが決まって……という流れです。最初にあったのは「女子校の演劇部に何か人間以外の奴が入部してくる」っていうコンセプトだけでした。
 とにかく最初に苦労したのは「演劇部として機能するだけの人数を揃えなきゃならないけど、最初っからたくさんのキャラが出過ぎるとイメージがぼやける」という事。名前も考えなきゃならないし……。
 各キャラの名字は、学生時代に住んでいた青森県弘前市の地名から郵便番号簿を見て選びました……というか「桔梗野」という地名を知った時から「いつかヒロインの名字に使ってやろう」とか思ってたのがやっと叶った訳です。ネーミングってのは油断すると好きな響きの音に偏ってしまう事があるので、こういうリストから採るというのは案外有効な手かもしれません。なお、下の名前についても意識的に「×美」「×子」「美×」を混ぜるとか、漢字一文字や三文字の人を出すとか、男女共用のものや仮名の名前を入れるとか、似た名前に偏らないパターンを利用しています(ちなみに『セーラームーン』の初期5人は、きれいにこのパターンに当てはまってるんですよね。ただし、アニメやマンガならともかく小説だと「ひらがな」の名前は地の文に埋もれがちなのでメインキャラに使う時は要注意なのですけど)。
 私は普段、キャラクターについても作品世界についても事前に「裏設定」の類を作り溜めずに、物語のために必要な部分だけをきっちり決めるタイプなのですけれど、これについては友人の奨めもあって主要キャラの家族構成とか、本編に出ない部分まで考えてみましたが、割と巧くいったんじゃないかと。
 それとこの作品、恥ずかしい事に野球のシーンでは思いっきり速度や何かの計算を間違っています。

 なお、『石ハ』もやっぱり「男女が別れてハッピーエンド」なのでした(^^;


 幸いにして好評をいただき、レーベルを移って続編を出す事になりました。この時点でプランは何通りかありました。ただ、担当さんの判断ではどれも一長一短。そこで複数の原案をミックスしたものが『青スタ』の原型となりました。
 その時点で急遽紘枝が主人公に浮上してきて、『石ハ』ラストの代役練習が活かせる事に作者自身が気づいたという……(このように、作者も特に考えずにやった描写が後から機能する事を私は「ナチュラル伏線」と呼んでおります)。
 期せずして「メガネっ娘コンビ」にスポットが当たった『青スタ』ですが、実はこれも当時はまだゲームなどでも「メガネは一作品にひとり」というのが普通だったので、敢えてタイプの違うのをふたり登場させた次第です。いや、別に作者は「メガネっ娘萌え」とかではありませんよ。
 なお、本作で三人に増えた「一子シリーズ」ですけれど、名前だけは10号機まで考えてあります。
 一子・二葉・三紗・四穂・五美・六美・七瀬・八恵・九実・十望(トモ)。もちろん性格とかもほとんど未定ですし、全員出るまで話を続けるつもりもありません。もひとつオマケに、この十体以外にも2体ほどネタがあるのですけれどね。


『青スタ』の後書きでも触れましたが、三作めのアイディアもあります。
 今度は恋愛中心の話で、野撫子がメインキャラ。タイトルは『鏡の中のプロンプタ』。機会があったら、このシリーズは何らかの形で再開したいのですけどねぇ……。

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