『かくもささやかな凱歌』の裏話
ソードワールド・ノベルは現在も富士見ファンタジア文庫で継続中の人気シリーズで、同社から出ているTRPGである「ソードワールドRPG」の世界観やルールに準拠しています。
その中でもこの短編集は『ドラゴンマガジン』誌に連載されていたリプレイのキャラクターたちを主人公に、というものでした。普通、このシリーズはゲームを製作したグループSNEのメンバーが執筆するのですけれど、この時はちょっとした縁がありまして、参加させていただいた次第です(葛西はSNEに在籍した事はありません。念のため)。
ただし、参加といっても採用が決まっていた訳ではなく、山本弘・友野詳・清松みゆきの三氏は確定で、残りの2〜3作品の枠をSNEの若手と競作するというコンベンション形式でした。
確かこの時は「タイデルの祭の夜、ケインが一人っきりで女の子を連れて謎の追っ手から逃げ回る話」と「ザボが傭兵時代にいろいろ教わった年上の女戦士が現れてケッチャと三角関係(?)になる話」など3つプロットを出し、結局、この『凱歌』が採用していただけたのです。
詳しい経緯などは解りませんが、短編集に収録されている他の作品が「オールスターキャスト」×2、「ケインとアリシアンが中心」「ザボ&ケッチャの話」だったので、キャラの振り分け的にちょうどよかったのかな……なんて思ってます(ディーボがかわいそうといえばかわいそうかも)
当時、自分もプレイヤーとしてソードワールドは友人と遊んでいたので、結構乗って書いた覚えがあります。非力な戦士であるバルビーの「必殺技」がスピア両手持ちのチャージっていうのは、ルール的な整合性もそれなりに取れているはず。
ちなみに、元ネタであるリプレイでは各エピソードのタイトルが音楽用語から採られていたので(『アイドル伝説えり子』のパロディとも言いますが)、この短編集でもみんなそれを踏襲するだろうと思ってたのですが、実際にやったのが私だけでした。
この作品は自分でもかなり気に入っていますし、未だに評価してくださる方もいますが、第一に「ソードワールド」が元々持っている魅力と、ユズというキャラクターに助けられたお陰だと思っています。
ただ、初の商業出版であるこの時点から既に「葛西作品のラストでは、いい感じになった男女が別れてハッピーエンド」というパターンが現れているあたりがナニと言えばナニですが……。
なお、バルビーという名前は『世界史こぼれ話』だかの索引の中から語感で選んで付けました。確か、アフガニスタンの詩人だったかな?
戻る