2004年9月27日

 また友人知人と映画のハシゴ。今日は『デカレンジャー』&『仮面ライダー剣』と『アイ、ロボット』。

『デカレン』はよくできた娯楽作。テレビではなかなかできないカーアクションだとか、全員まとめてではなく各キャラがそれぞれ敵に止めを刺したり、ボスがヘリで現われたりと、劇場版ならではのサービス満載。ここしばらくの戦隊映画恒例のゲストヒロインも、去年や一昨年に比べて扱いは悪くない。
 まあ、悪役に強敵感が乏しいとか、ディーソード碧牙にはガンモードはないはずなんじゃないかとか、マリーゴールドの時間停止能力があまり役に立っていないとか、多少気になる点はあるけれど充分満足できる一本(ガスドリンカーズ戦でどうして時間停止を使わなかったのかに関して「あそこで死にかけた事によって目覚めたスタンド能力だ」ってネタが出たな)。

 さて『剣』。井上脚本というのはいろいろ特徴がある。
 例えば「登場人物に明確な動機を与えない」。どうも氏はフィクショナルな動機中心の人物造形を忌避しているような節がある。『アギト』なんかその典型だ。その代わりに「動機がなくても登場人物が事件に関わらざるを得ないシチュエーション」を丹念に構築して、リアクションや細かいエピソードによる性格描写を重視する。ところが『剣』は、テレビ版のメインライターが別人のせいか「動機不要」の構造ができてない。そもそもアンデッドが人間を襲う理由さえ実は明確じゃないのだ。そんな構造が弱いところに井上流の「動機に拠らない」話が乗っかっているせいで、非常に牽引力の乏しい映画になってしまった。
 他にも「登場人物はインパクトが強ければ好感は持たれなくてもいい。ただし、描写の積み重ねで興味深い人間にする」とか「最終的な辻褄は合わなくても構わないから、とにかく次はどうなるのかという緊張感を持続させる」とかいう彼の作風が『剣』で、しかも映画一本という事ですべてマイナスに作用しちゃったような印象。
 映像面でもかつての特殊能力も性格も関係なしに肉弾戦を挑むだけの再生アンデッド軍団とか、デザインはユニークだけど感情的で短慮なだけの新世代ライダーとか、目先の面白さに走って効果を減じている絵作りとか(睦月の面接、あそこで会社側の人間がコントやっちゃ台無しだろ。一般社会に復帰できない睦月を描くべきシーンなんだから)、TV本編同様に煮え切らない映画であった。
 ラストバトルも、いきなり前後の脈絡と繋がらない設定を持ち出し、NPCの自己犠牲によってラスボスの無敵モードが解除されて倒せるようになるって、いつの時代のRPGかと言いたくなったのは私だけか?

『アイ、ロボット』は意外な拾い物。ミステリ仕立てとしてはアンフェアなところはあるし、映像面・描写面でもちょっと首を傾げたくなるところもあるけれど、主人公がロボットに抱く複雑な感情の原因となるエピソードの作り方は見事だし、伏線の張り方やミスディレクションのやり方など、オーソドックスながらもハリウッドらしい手堅さ。
 よく考えると無理というか不自然なんだけど、クライマックスを映像映えさせるための美術デザインにも満足(『剣』はそういう意味でも弱かったからねぇ……)。

2004年9月20日

 ファミ通の新作がかなり押しているのだけど、閉じこもって原稿ばっかり書いていても頭が煮詰まって焦げ付いてしまう。こんな時には気分転換も必要、と自分に言い訳して日本バカカードの句会へ。
 残念ながらベスト3入りするような作品は作れなかったが、自分でもそれなりのものが出せたし、腹が引きつるほど笑ってすっきり。さて、これで原稿の方もスピードアップすればいいのだけれど。

2004年9月16日

 MF文庫の担当さんに担当さんへゲラを渡す。広告用のコメントなど、まだ細かい作業は残っているが、基本的には後は発売を待つのみ。
 カバーデザイン案も見せてもらったが、タイトルが長いせいで下手にロゴに強い色を使うと尾谷氏の淡いイラストを損ねてしまうので、デザイナーの方がいろいろ工夫しているらしい。
 題名が長すぎるから、何か適当な略称があった方がいいかも知れないな。『世界』が『終わる』から「セカシュー」というのはどうだろうか。あからさまにパチ物風味になってしまうが。

 ライトノベルでは基本的に「一冊できちんと完結しているが、引っ張ろうと思えばいくらでもシリーズ化できる」のが求められるため、今回のような一冊だけで完結し、後を引く事を考慮していない作品というのはなかなか書く機会がない。企画を通してくれたMFの編集部にも感謝しよう。
 ただ、そのために次の企画書はまた一から新しいものを考えなければいけない。ファミ通の原稿も滞り気味だけど、こっちも進めなければ。

2004年9月9日

 事実上毎月恒例になっている、同業者友人知人による映画ハシゴの会。今回のお題は『ハットリ君』&『ヘルシング』。

 前者は、監督がテレビ畑で脚本がコント出身のせいか、映画の生理というものがまったくわかっていない作品だった。たとえばハッスルコーラ。作中では何度も何度もCMが流れ、空き缶が大写しになる。しかし、飲み物としては登場しない。基本的に不気味で不自然なものとして描き、観客に不必要な予断を与えておきながら、結局何の意味もない。最後には具体的なエピソードを一切経ないまま、大切な絆のシンボルのように取り扱っているのだ。
 冒頭10分くらいは、ありきたりではあるが古典的な忍者アクションのイメージを現代の映像技術で表現し、それなりにインパクトもあるのだけど、尺が進むとどんどん絵も話もスケールダウンしていく。何しろ最後の戦いはほとんど忍術が関与しないただのチャンバラなのだ。途中では「時間を止める」なんて事までやってるのに。
 物語の方も中途半端に辛気臭く、コミュニケーション不足の家族やいじめなどの重くシリアスな問題をさわりだけ扱って、結局適当にお茶を濁したまま終わらせてしまっている。もっと徹底的に明るく、楽しいだけの映画でよかったのではないか。主人公がほっぺにぐるぐる渦巻き描いてる時点でシリアスにはなりにくいのだからさ。
 役者陣が熱演しているだけに、映画としてのお粗末さが惜しかった。
 あ、余談ではあるが刑事役で『世界忍者戦ジライヤ』で主演だった筒井巧が出ていたな。とことん忍者に縁のある役者という事か。

『ヘルシング』は初期の予告編ではダークな雰囲気をアピールしていたけれど、蓋を開けてみると健全なファミリー向け怪奇アクション。主人公のキャラが弱いとか冷静に考えるとプロットに無理があるとか、いろいろ問題はあるが、観ている最中はインパクトの強い映像を適宜繰り出し、画面の印象にメリハリのある標準的な娯楽作品。
 冷静に考えると問題があっても、観ている最中に観客を冷静にさせなければそれでいいのだよな。

2004年8月29日

 MF文庫用J用の原稿がアップ。見直しして、担当さんにメールする。郷里の友人も頼んだ資料集めをしてくれているとの連絡が入って、本当にいろんな人のお陰で仕事できているな。感謝の心を忘れないようにしなければ。

 ちなみにタイトルは『世界が終わる場所へ君をつれていく』。10月発売予定なので皆様よろしくお願いします。

 これで明日からは中断していたファミ通の新作の続き。来月からは講師の方も再開するので、教材の準備もしておかなければならないし。まあ、自由業者としては忙しい方が仕事がないよりはいいのだけどね。

2004年8月26日

 カプセル兵団の『FULLMETAL WIND』を観に下落合へ。
 私が最初に観たカプセルは『セイバー・ブルー』で、その時は「一冊完結のライトノベルか、出来のいいOVAのような芝居」と評したけれど、今回もそれに近い、カプセルらしい舞台。ただし、今度は「三冊でひと区切りついて、まだまだ続くライトノベル」か「2クールのテレビアニメをダイジェストした」ような、濃密な二時間。
 近未来を舞台に、バンパイア、バチカンのバンパイアハンター、サイボーグ化された刑事、そしてバンパイアと人間の均衡を保つ「調停者」が銃を、剣を、そして肉体を駆使して戦う一大スペクタクル。巨大ロボや戦闘機と人間のバトルあり、タイムトラベルありの盛りだくさんな芝居で、しかもそれを全部役者の生身だけで表現しちゃってるのだ。何しろ、剣や銃を表す持ち道具ひとつすら使っていないのだ!
 物語はやや詰め込みすぎのきらいはあるけれど、その密度感が魅力的だし、個々のキャラがよく立っているので、芝居の中では語られなかった過去やエピソードが自然に想像できる。何というか各キャラがアニメだったらこういうデザインだろうというイメージが伝わるのだよね(しっかり綾波系クールロリータなんてのもいるし)。
 クライマックスの吉岡VS田中の一騎打ちのカッコよさとか、もう涙モノ。これでセリフの噛みが少なければなぁ……。カプセルは肉体表現が素晴らしい反面、セリフがちょっと雑な事が多いのが難点なんだよね。

 この日は同業者某氏と一緒だったので、舞台の後で「やっぱりエンターティンメントはこうでなくちゃ!」とか、熱く語り合う。同時に「どうしたら読者の萌えのツボを上手く突けるのか」とか「今、萌えが上手い小説家や漫画家は誰か」というような話もしたのだけれど。いやまあ、これも仕事の上では重要な事なのである、ウン。

2004年8月23日

 某社……とずっと書いてきたけれど、本決まりになったので書いてしまってもいいな。メディアファクトリーの担当さんと打ち合わせ。進行中の原稿について意見をもらい、発売日の目処などについても話し合う。最終的な修正ポイントが何か所か提示され、遅くとも今月中に修正する事に。
 また、イラストの方に渡す資料も用意する事になったが、私の手元には存在しないので国許の友人に写真を頼む。舞台が青森県で、青森らしい風景が登場するので、やっぱり写真があった方がいいだろう。
 主要キャラのラフデザインも見せていただいたが、作品のムードをよく捕らえたいい雰囲気に仕上がっている。本の仕上がりが楽しみ。

2004年8月18日

 パソコンがぶち壊れた。しばらく使っているといきなり電源が落ちてしまうのだ。メールが使えないと仕事に支障をきたすので、さっそく修理に出す。去年買ったばかりでまだ保障期間中なのと、原稿書きそのものは予備機をメインに使っているのでストップしないのが救いか。

 修理に出したその足で『マッハ!!!!!!!!』を観にいく。
 タイの映画というと『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』しか知らないので実は微妙な先入観があったのだけど、宣伝の印象よりもしっかり作りこまれた娯楽映画で○。主人公が「ムエタイが強いにーちゃん」ではなく「ムエタイが得意なアクション俳優」として、格闘以外の追跡シーンなどが魅力的だし、ストーリーもシンプルながら共感しやすいもの。「奪われた仏像の首を取り返す」というネタを聞いてハヌマーン再びかと危惧していたのだけど、仏像・仏教を無条件の前提にするのではなく、主人公との間にちゃんとエピソードを作り、西洋的な価値観に浸った都会と、田舎者の主人公も上手く対比されている。雰囲気は『ドラゴンへの道』とかジャッキー・チェン初期の現代モノに近いかな?
 もちろん、格闘シーンが魅力的なのは言うまでもない。登場順にやや首を傾げるところはあるものの、敵にもバリエーションがあるし、ムエタイを押し出した事がヒジヒザを中心にしたユニークな絵ヅラになっているのもポイント。
 あ、それと「不良少女なんだけど清純派」のヒロインがなかなか魅力的だった事も記しておくべきだろうな。

 観劇後は、シネコンと同じビルの中にあるネットカフェで掲示板にパソコン故障の報告をした後、そのまま徹夜で原稿執筆。自宅でずっと作業していると気持ちの切り替えが上手くいかなかったりするので、こういう「プチ缶詰」で集中力を高めるのは結構効率がいいのだ。

2004年8月16日

 ファミ通文庫用の原稿、とりあえず第一章部分だけ仕上がったので担当さんにメール。
 担当さんが交代し、しかも新シリーズ開始という事もあって、文章の雰囲気をつかみ、イラストレーターの選定に時間をかけるためにもこういうやり方になった次第。
 何とかひと段落といったところだが、早めに最後まで書き上げなければならないし、もうひとつ某社の原稿もある。あまりのんびりもしていられないな。
 来月に入れば講師の仕事が再開する事もあって、今月中に進められるところは進めておかなければ。

2004年8月15日

 今日は客ではなく、知り合いのところの手伝いとしてコミケ入り。やはりあまり買い物はしなかったな。唐沢なをきの『フィギュア王』連載をまとめた本とか、ケイブンシャの大百科を網羅した資料本とか、アタリはいくつかあったけれど。
 仕事も残っているので、完全終了を待たずにさっさと帰宅。

2004年8月14日

 コミックマーケット二日目。昼過ぎにふらりと出かけていくつかお目当てのところを覗く。ただし、今回はオモチャ系で特に惹かれる本に出会わなかったせいもあり、買い物はほとんどしなかった。
 正直なところ、この日の本題はコミケ上京した友人たちとのカラオケ宴会。B−karaに特撮の挿入歌が大量配信されているので「ジライヤとジャスピオンの挿入歌にハズレなし」という主張の持ち主である私としては、エキサイトしないわけにはいかんのである。いやぁ、楽しかった。

2004年8月11日

 毎月恒例、同業者の友人知人と誘い合わせて映画のハシゴデー。今月のお題は『サンダーバード』と『リディック』。

『サンダーバード』はコクも深みもない「サンダーバード・アメリカン」という感じの映画。レスキューがメインでない点には不満は残るし、基地内での追いかけっこは退屈。車はロールスロイスじゃなくてフォード。フッド一味はまるでボスの性別が違うドロンボー一味でラストで足こぎボートに乗ってるのがどうしてこいつらじゃないのかと思ってしまった。
 ただ、一時間半という短い尺の中でTB1〜5&ジェットモグラの各メカの機能(だけで「性格」までじゃないところが歯がゆいけれど)を盛りこみ、スポットを当てるキャラを絞りこんで散漫になるのを防いだシナリオは真面目に評価したい。昔からのファンには不満爆発必至だけど、オリジナルを知らない人々に向けて、これからシリーズ化するためのパイロット版としては何とか及第点、ってあたりの出来かな?
 オリジナルの『サンダーバード』だってしょーもない内容の回はしょーもなかったわけだし。

『リディック』は、スペオペかと思いきや『ガクラン八年組』であった。
 要するに宇宙支配を企む悪い連中がいて制圧の手を伸ばしている、それに立ち向かうえるのは地元で群れずに個人のスジを押し通す一匹狼タイプの不良主人公、物事を解決するのは度胸と腕力と男気という物語である。やたらとスケールを大きくしようとしてるあたりも『ガクラン八年組』的だが、ちょっとセンス・オブ・ワンダーというか着想のぶっ飛び方が足りなかったな。何しろ『八年組』の方はありえないような巨漢がぞろぞろ登場するのだから。
 まあ、真面目に評価すると雰囲気は悪くないけどコレと言ったセールスポイントに乏しく、特にラスボスが弱くて盛り上がらないので、満足度が低い映画だったな。

2004年8月6日

 エンターブレインの「えんため大賞」授賞式にお呼ばれして渋谷へ。こういう機会でもなければなかなか会えない方や、初めて顔合わせする方などもあり、充実した時間だった。まぁ、珍しくスーツ&ネクタイだったので某女史に妙にウケたとか、酔った勢いでガラにもなく大御所某氏の尻馬に乗って若手に訓示めいた事を喋っちゃったりとか、なぜか某氏に『アムドライバー』のオモチャについて解説したりとか、いろいろあったのだけど。
 結構語りたがりというか、説教癖があるので、普段は一所懸命セーブしてるのだけど、やっぱりムードとアルコールで自制が緩んでしまったかな。
 毎年言ってる事だけど、若い読者をターゲットにしたライトノベルでは新しい書き手(必ずしも年齢が若いという意味ではなしに)がどんどん出てきてくれないと市場自体も冷えこんで結局中堅やベテランも困るのだよね。今年の受賞者も、年齢も作風も幅広いようなので、出版に向けてしっかりブラッシュアップしていい作品を世に出してほしい(って、ほら偉そうな語りたがりだ)。

 7月27日の日記や掲示板に書いた事とも重なるが、今のライトノベルでは出版点数が多すぎて読者と作品が上手く出会えず、すれ違っているのが最大の問題だと思う。求められているのは一部の「優れた作品」に「お墨付き」を与える評論でも、業界の裏話を小出しにして半可通を喜ばせる事でもなく、作品と読者の出会いを助ける「紹介」なのではないだろうか。
 ちょうど雑誌の「映画評」が事実上「封切り作品の紹介」として機能しているのと同じレベルの、「この小説はこういうところが魅力だから、こんな人にお勧め」という感じのクロスレビューがあれば便利だと思うのだけどねぇ。


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