『バギーラギーで出かけよう!』の裏話
ある日、同業者某氏との雑談中に出た話。
「ライトノベルで『宝島』モノって案外少ないんじゃないか? 少年主人公の冒険小説の古典中の古典なのに」。
別なある日、やはり同業者某氏との雑談中に出た話。
「エンターティンメントって、読者なり視聴者なりが『欲しい』と思うような能力なりガジェットなりを提供できれば強いんじゃないだろうか」。
このふたつの発言がヒントになり、コンセプトができあがったのが『バギーラギーで出かけよう!』です。後書きでも触れた通り、以前から「兵器でも、神秘の存在でもなく、自分で整備や改造ができる『愛着の持てるツール』としてのロボットだって魅力的なはず」と考えていたので、この企画は読者に「俺もマイ・バギーラギーが欲しい!」と思わせれば成功だと踏んでいました(で、結果的には失敗したわけですが……。ただ、これは葛西の筆力の不足に基づくキャラやストーリーの魅力不足が原因であって、この手のローテクロボットが絶対にウケないという事ではないと思います)。
で、基本コンセプトが「自作(カスタム)のポンコツロボットで宝探し」と決まったのですが、ここで問題。現実世界を舞台にすると、自作ポンコツロボットに説得力が無くなってしまうし、探すべき宝物ももうそれほど残っていないのですよ。作品の舞台がどことも知れない架空世界になったのはひとえにそれが原因です。
その世界に関しても『エシィール黄金記』では異世界性を大事にして作中で横文字の使用を極力控えたり、度量衡も便宜的にフィート、インチを用いましたが、こっちは分かりやすさ優先で英語とメートル法を当たり前に使用しています。なお、「マキシマニア」「トリプティカ」「フルチルト」などの地名はトランスフォーマーから拝借。
バギーラギーに関しては理屈で考えれば完全機械制御だけであんなモンが動くのは無理なのは百も承知で、車やバイクみたいに自分でチューンできる、カスタムできる手触りだけが伝わればいいと割り切りました。ですから、演出上絶対必要なサイズだけで、それ以外の出力だとかの細かいスペックは決めていません。ただし、やはり演出上の必要から操縦システムの手順だけはそれなりに詳細に設定し、本編でも記述しました。
以前、掲示板でも質問を受けましたが、バギーラギーの外観に関しては本編イラスト以外の設定画などは存在していません。作者のイメージとしては『未来少年コナン』のロボノイド、『ザブングル』の小型ウォーカーマシン(トラッド11、ギャロップ、オープントップ式のクラブなど)あたりをイメージしました。それと、自動車というよりは農機ですね。冒頭で修理されている「犬の鼻面のように前にエンジンカウルが突き出した」機体あたりは、もろにトラクターのイメージです。
さて、裏話らしいネタをひとつ。
キャラクターの名前に関して、私は企画書では基本的に「仮名」をつけません。企画書レベルからは担当編集者の意見で変更される部分が多いのです。性格や立場が微調整されるのは当たり前で、丸ごといなくなったり、性別が変わったりする事さえあります。その際に、名前をつけているとそれに引きずられてイメージチェンジに手間取るからです。
じゃあ、編集と打ち合わせる際のプロットなどをどう書いているかというと「主人公A」「ヒロインB」「妹C」「ライバルD」「依頼人E」「黒幕F」という風にアルファベットでキャラを識別しているのです。で、本作ではキャラの名前に悩んだ挙げ句、その仮アルファベットをそのままキャラのイニシャルにしてしまいました。「A=アーレイ」「B=ベッツィ」という具合に。フィルモアだけは変化をつけるためにファーストネームではなく名字の方にしましたが。
戻る