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「地域医療計画と主要疾病対策」シンポジウム覚書(080711)
6月18日に日本経済新聞社が主催したシンポジウム。随分時間が経ってしまいましたが私なりに覚書(赤字は私の感想など)。正式名称は「健康と医療フォーラム2008 第2回 地域医療計画と主要疾病対策」。後援は厚生労働省,日本医師会,日本歯科医師会,日本薬剤師会,日本看護協会,日本病院会,全日本病院協会。とても勉強になりました。
■基調講演「地域から発想する医療へ」 九州大学大学院教授・信友浩一
レジュメが配られましたが,レジュメとはまったく違う順に話が展開。レジュメがないよりはマシですが,だいぶ戸惑いました。
・今は「治らない病気の時代」…がん・脳卒中・心筋梗塞・うつ
・病気を抱えながら生きる人が生きやすい地域をつくらなければならない
・そのために,住民・患者はどこでどうやって生き,死にたいかを明確にしておく必要がある
・これまでの医療は「施設完結型」(=個々の病院にお任せ)だったが,これからは「地域完結型」(=住民が地域にいて,地域の医療施設全体で守られるというイメージ)
・住民が,どんな医療を受けたいか,末期をどうしたいかを明らかにすることによって,各地域の医療体制のデザインは変わる。
→これ,おっそろしく「いい話」でした。複数の病院でカバーする「責任診療圏」を決め,そこの住民がどんな医療を求めているのかを徹底的にリサーチして,それに合った医療を提供するシステムを複数の病院で担うことにすると,効率的だし業績も上がるという話。福岡市東区,大分県中津区などで実施したが,初年度から大きな黒字が出た。住民に合うサービスを提供する体制を整えたことで,域外に行っていた患者が地域で医療サービスを受けるようになり各病院収入アップ。患者にも近いところで医療が受けられるようになって大歓迎されたとのこと。「医師不足」を少しでもカバーするシステムとしても有用でありましょう。
・具体例。出水市・志摩市・千葉県の話。住民を中心として地域医療を検討。国や県など広域自治体が「邪魔」をしないようにという話が何度も出る。“地域の実情に合った○○”というのがポイント。
・添付資料に患者と看護師の意識のギャップ調査あり。「良い病院とは,不安を解消してくれるところである」という設問に,患者指数81に対し,看護師は45。看護師さんにとっては,きっと「良い病院とはまず病気を治してくれるところ」なんでしょうね。こういうギャップがあることがわかるだけでも,この資料は貴重です。
■パネル討論「4大疾病(がん,心臓病,脳卒中,糖尿病)に対する地域の取り組み」
〔最初に司会者が会場の人に挙手をさせて,お客さんをリサーチ〕
・来ている人は50代が多く,8割が男性という感じ。
・4大疾病になるかも(なった)という人は? との問いには,ほぼ全員挙手。
・地域医療計画について詳細を知らない人が9割。
・自分の住む地域の地域医療がOKだと思う人は7割。そうでない人が2割。
・自分が4大疾病になったときに,入る病院の見当がつく人3割。
・地域医療に関しパブコメなどで意見表明をしたことがある人は2割ぐらい。
〔司会者が疾病について概観/これは白書とか厚生労働省サイトで見つけられそうな話〕
・脳疾患は東北で多い。
・糖尿病は徳島が突出。奈良の2倍。
・大腸がんは首都圏。
・乳がんは東京がワーストワン。
※メタボのことを決めた法改正のときか何かに,各都道府県が各疾患ごとに「地域医療計画」をつくることになった模様。自治体によって,デキのいいところと悪いところの差が大きいそうです。
〔討論の前に,各自簡単なプレゼン〕
◆武蔵野赤十字病院院長・富田博樹氏(レジュメあり)
・レジュメの「地域連携診療計画書」というのがすごい。ここまでくるのに7年かかったとのこと。近頃は脳卒中で倒れても,たいてい命は助かるが,その後のリハビリの体制は地域によって随分異なる。
◆国際医療福祉大学三田病院副院長・武藤正樹氏(レジュメなし/画面だけ)
・「地域医療計画とクリティカルパス(疾患別医療計画表)」というお話。熊本市が先進地。治療・リハビリが連携。
・今,全国で脳卒中の連携パスがつくられている(急性−回復−維持−在宅)。
・港区では「がん連携パス」というものを紙ベースでつくっている。
・メディカル・ネットワーク・パスというのもある。紙ベースが多いが,インターネットを使って,手術時の画像をはりつけるなどの試みもされている。
・糖尿病の連携パスもある…横浜医療センター。糖尿病パスポート。
・病院・診療所をみんな渡り歩くようになる。病院と診療所の連携がよくなると治療成績が上がる。患者の自己管理も進む。検査の重複が少なくなって金銭的な負担が減る。
◆埼玉県志木市長・長沼浩一氏(レジュメなし/画面だけ)
・健診の受診率を上げたい
・がん検診とメタボ健診を同時にやりたい
・地域医療計画は都道府県に義務づけられたが,志木市は同市初の医療政策として独自に策定
◆3人のプレゼンを聞いて信友先生・コメント
・住民が一番恐れているのは「ボケ=認知症」。こういうところをしっかりつかんでおいてほしい。
・脳卒中のパスについては,Suicaのようになるといい。
→これを受けて,司会者が「脳卒中パスモ」と言いましたがこれが馬鹿ウケ。この日,最も印象に残った言葉になってしまいました。(^_^;).
〔以下,討論〕
――地域医療格差はあるのか
・富田氏が都内にはリハビリ格差があることを指摘(パワーポイントが遠くてよく見えなかった)。
・格差はある。「かかりつけ医」,特に往診をしてくれる信頼できるかかりつけ医をつかまえることが大事という話あり。
・治療法や投薬の格差もあるとのこと。医師の間での情報格差が原因。これはITなどを活用してなんとかしなくてはいけない。
・人口1,000万人当たりの回復リハ病棟の比較をぜひ調べてみてほしい。格差がわかる。
――医療の地域力について
・長沼氏の発言。市長(行政)の力が大きい。市長(行政)の責任として医療の充実を考えたい。
・この発言には皆さん感銘を受けた模様。トップが当事者意識を持つことが大事と,皆さん強調。
・長野県の食事ボランティア,食事改善員という制度は充実している。市民の手づくり。
・地域の病院同士の協力,医療と福祉が連携していることが大事。お金がなくてもここがしっかりしているといろいろな工夫ができる。
――官民協力について
・患者が参加する医療というのが今後のポイント。病院医師・診療所医師・患者の3者の連携が基礎。
・住民・行政・医師会が1つのテーブルで話し合う場がいつもあることが大きい。
・製薬メーカーが教育教材をたくさん作っている。民で使えるものは何でも利用したい。
・武蔵野・三鷹・小金井では,長いこと連携に取り組んでいるが,自治体をまたいだ協力というのはなかなかムズカシイ。これは今後も続くと覚悟している。
――最後にひとこと
・医療・福祉は住民が育てるもの
・パスは認知症・心不全などまだまだ課題が多い
・耐震というハードも重要だが,健康というソフト面での施策もやっていく
・韓国では若い子どもたちを医療福祉の現場に行かせている。これはとてもいいこと。若い人には特にボランティアを通じて,地域がどうなればいいのか考えてほしい。
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