安かれ我が心よ(080229)

 2月29日(金)は葬儀と仕事。この日は同年代のTさんという有能な外部の方と新宿辺りで会って仕事の打合せをする予定だったのですが,共通の知人のMさんの父上が亡くなり,その葬儀の場(東京郊外)で待合せをして,葬儀の後仕事の話をするという段取りとなりました。

 Mさん(私より3〜4歳年下)の父上は71歳だったそうで,13年前に奥様を亡くされたとのこと。Mさんから見れば,これでご両親とも他界されたということです。父上は腎臓を患って人工透析をしながら,頑なに奥様との思い出の家を出ようとせず一人暮らしをされ,最近は言語もやや不明瞭となっていたそうで,周囲はどう対応したものかと心配していたところ,急性の心不全で亡くなられたとのこと。遺影は奥様とのツーショットでした(ということは父上の写真は,13年以上前のものであるということです)。

 葬儀はキリスト教の教会。庭には上のように福寿草が咲いておりました。葬儀の日に見る福寿草というのも何とも…。Mさんは長男らしくしっかりとしたご様子で,挨拶もしっかりとされ,Mさんについては,ひと安心。

 今回の葬儀では,故人のエピソードがいくつか語られました。父上は一部上場企業の,いわゆる“仕事人間”で,退職されたときは役員だったそうです。家庭のことは奥様に任せきりで,その奥様は一人でキリスト教の洗礼を受けられ,亡くなる前には「天国で待っているから,天国に来るのよ」と父上におっしゃったそうです。父上は7年前に洗礼を受けたそうですが,息子であるMさんは洗礼を受けていないとのこと。

 こんな話を聞き,ツーショットの遺影を見ながらいろいろなことを考えました。母上の「天国で待っているから,天国に来るのよ」というお言葉は,普通の愛情表現なのでしょうが,ひねくれた私には,復讎めいたニュアンスがないとも言えない“縛り”のようにも思えます。奥様を亡くされた後,父上はこの言葉の意味を考えに考えたことでしょう。その結論が入信という行為になったのでしょう。そして,そのことが「父にとって死は,母のもとに行く,うれしい旅立ちだと思います」(Mさんの挨拶の中の言葉)と子どもたちが考える根拠ともなり,ツーショットの遺影というアイデアに結実したのでしょう。子どもたちにとって,“深く愛し合った父と母”という“神話”は快いに決まっていますし。

 こうしてMさんの家で,“神話”は続いていく。この“神話”は,もしかすると事実とは随分違う方向で強化されて行ってしまうのかもしれませんが,家族を救う,あるいは少なくとも家族の“癒し”になるような話として伝わっていってほしい,と思ったことでした。ツーショットの遺影が“神話”の証明,象徴になることはいうまでもありません。

 先日の親友のこと(「親友・正俊を送る」(080221)),自分の母,亡父,義父母のこと,私たち夫婦のことを思ったり,その場に一緒にいた,一昨年奥様を亡くされたTさんのお気持ちを推量したりと,無神経な私にしては心をだいぶ使ってくたびれました。告別式の最中に歌った賛美歌298番「安かれ我が心よ」の歌詞の「神がかっていない部分」(信者の皆様,すみません)とメロディーが胸に染みたことでした。

 ちなみに後で調べたところによると,この歌はフィンランドの国歌らしいです。それと少しも認めたくはないのですが,歌詞もメロディーも「君が代」っぽいのに驚きます。歌詞は以下です。

■賛美歌298番

安かれ 我が心よ
主イエスは ともにいます
痛みも 苦しみをも
雄々しく 忍び耐えよ
主イエスの ともにませば
耐え得ぬ 悩みはなし

安かれ 我が心よ
波風 猛(たけ)るときも
父なる 天つ神の
御旨(みむね)に 委(ゆだ)ねまつれ
御手もて 導き給う
望みの 岸は近し

安かれ 我が心よ
月日の 移ろいなき
御国は やがて来たらん
憂いは 永久(とわ)に消えて
輝く 御顔仰ぐ
命の 幸(さち)をぞ受けん

 仕事の打合せは淡々と終了。Tさんと別れた後は,会社に戻ってちょっと仕事をして,退社後は歯医者に。歯医者もようやく一段落。後はとりあえず小さなところだけとなりました。本当に大きい,奥歯の欠損対策=入れ歯ってことですが,は,当面不自由していないので見送りです。

 歯医者に行った後は,実家に行って母の料理をゴチに。昼間の葬儀のこともあって,いつも以上に幸せかつ美味しい夕食。おふくろ様が元気でいてくれて本当にありがたい。まじめにアルコールもなし。上々。

 それと。あまり意識していませんでしたが,よく歩いた。1万7,500歩。


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