●短歌・川柳
 この2週間ぐらいで,以下の書籍を読みました。

(1)『ナース川柳 看護婦七転八倒』
    
(小林光恵+宮子あずさ/幻冬舎文庫)
(2)『無援の抒情』(道浦母都子/岩波現代文庫)
(3)『薄荷色の朝に』(松村由利子/短歌研究社)
(4)OL委員会秘宝館スペシャル「肉体の門」編
    
(清水ちなみ+原田宗典/幻冬舎文庫)

 まず,(1)ですが,小林光恵さんと宮子あずささんについては,普段から別の書籍なども読ませていただいており,その延長でちょいと手に取りました。小林光恵さんも宮子あずささんも看護職にまつわる沢山の書籍を出されており,このお2人の本はオススメです。で,そのお2人が看護職の方から寄せられた川柳をまとめたのがこの本でして,入院していた頃のことを思い出しつつ,読ませていただきました。「検尿を グラデーションに 並べてる」などなど。
 
そして,(1)の解説を清水ちなみさんが書いておられ,そこで紹介されていたのが(4)でして,季語ならぬ「肉語」(肉体を感じさせる語)を入れねばならぬという厳しい縛りがあるがゆえに川柳ではないOLの皆さんの歌(まさに肉声?)を集めた文庫があることを知り,インターネットで買い求めました。かなり笑えましたが,ちょっと行きすぎのようなものもあり,興味のある方は,できればこれはいちおう立ち読みで様子を窺っていただければ…。これを受け入れられるかどうかには相当個人差があると思われます。私が文句なく爆笑したのは,「ケンカ後のダンナのベッドにバズーカ屁」。いかがでしょうか?

 さて,(2)については,全く不勉強で恥ずかしいですが,知人から「すごい歌人」ということだけ聞きまして,全共闘世代の闘いを詠った歌集があるということで,これまたインターネットで調べ,購入しました。私の10歳ぐらい上の世代の多くの人が参加した学生運動って何だったんだろう???…と,ずっと引っかかっております。今回この歌集を拝読してストンとその引っかかりがなくなったわけではないのですが,当時の若者が幼いながらも現状に「否」と言ったこと,世の中を変えようとしていたこと,行動したこと,その内面などを見ることができました。荒削りですし,感傷的すぎるところもありますが,それをどーんと目の当たりにすると,改めて「処世の姑息な技」を駆使して(「これは分別というものだ」などと心中言い訳しつつ)ただ流されていく保守的中年としての自分の「現在」の有り様を,これで,だからどうなの…と思ってしまいます。
 「明日あると信じて来る屋上に旗となるまで立ちつくすべし」
 旗という政治的シンボルや理念だけでは世の中は動かないし,旗として立ってるだけでナンボのもんじゃいってことなわけですが,でも,ジーンときました。信ずる旗を持たない人が多いと,日々感じているからかもしれません。

 (3)も知人からお名前だけ聞いて,インターネットで調べ,購入しました。この歌集は,一般の書店さんではほとんど出回っていないと思われます。定価2,500円(税別)。この本の出た当時(1998.8),松村由利子さんは離婚されて,お子さまと2人暮らしだった模様で(歌と解説からの推測です),キャリアウーマンとして,母として,女性として,という歌が多いです。世代が近いこと(私より2歳年下。1960年生)もあって,こちらはすんなりと入ってくる歌が多かったです。ファッションや料理の用語,それと松村さん(毎日新聞の記者)の知見に私のほうが追いつかず鑑賞できないものもありましたが,いくつも気に入った歌がありました。
 「型くずれしてゆく鞄どうしても詰め込み過ぎる資料と希望」
 「昔話の途中で寝入りし子の側で思う「めでたしめでたし」の先」
 妻と娘にはぜひ読んでもらおうと思っています。


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