『嘘つきは鼻をこする』岡村美奈(090613)

 『きれいドリル』(小学館)『ちょっとしたことで愛される! 1分間心理学』(PHP研究所)の,岡村美奈さんの新刊。

■『嘘つきは鼻をこする ニュースに見るしぐさのリスク』(岡村美奈/産經新聞出版/本体:1,429円)

 来ました〜。「心理学の知見を生かして,自分を変えていきましょう」という前2作とは違って,「心理学の知見を生かして,“しぐさ”から他人のホンネをつかむとともに,“しぐさ”のリスクについて見てみましょう」という内容。タイトルを見たとき“絶対にオモシロイ”と確信。実際そうでした。そして本書を開いた瞬間から“やめられない止まらない”ワールドにドップリ。他人のしぐさの見方を学ぶだけでなく「人のふり見てわがふり直せ」という読み方をすると大変勉強になります。また,そんなに真面目に読まないでも,良質のエンターテインメントとして楽しめます。それぞれの記事は見開き2ページに収まっていますので,通勤途中など細切れの時間にも読みやすい。

 本書は以下の5章構成。◆政治編:今が旬 議員総出の三文オペラ,◆経済編:謝罪会見は危険がいっぱい,◆国際編:見習うべき?明快なボディランゲージ,◆スポーツ編:真剣勝負に裏表なし,◆事件編:当事者が見せるとまどい。登場人物は,安倍晋三,小沢一郎などの政治家,不祥事の謝罪会見をした多くの経営者,外国人…多くは政治家でヒラリー・クリントン,胡錦濤など,北島康介,朝原宣治などのアスリート,殺人犯などです。本書は約90本の記事で成り立っているのですが,そのほとんどにビシッと撮れた写真が掲載されているのもすごい(さすが新聞社系の出版社!)。また,重要なポイントについては「column」として別枠で解説が載っています。

 ちょっとその「column」から引用。

 鼻をこするのは嘘をついている証拠と言われるように、嘘をつくときに出てしまうしぐさの代表だ。他には、口をおおう、目をこする、まばたきが多くなる、鼻をさわる、首元をさわる、指をしきりに動かすなどがある。(後略)(37ページ)

 ドキンと来た一文を覚書。

 自分の惨めな境遇は親のせい、他人のせい、社会のせい、そう思い込んで生きている人間は、実は他人に認めてもらうことでしか、自分の存在を確認することができない。(188ページ)

 人間関係過敏症みたいな人っていますよね〜。小さいときに砂場遊びとか折り紙とかが足りなかったのかなあ? “アタシはこんなこともできるじゃん”とか“自分をほめてやる”とか自己肯定できないってのはイカンですねえ〜。で,一人で煮詰まって社会に逆ギレして無差別殺人とかに走ったり…最悪。一方,自己肯定のかたまりの“アタシが正義”的人間もかなりイヤですけどねえ〜。そういう人間が権力を持つのは…最悪中の最悪。そのケのある,全然ハトじゃない,ハトの名を持った総務大臣が最近辞めたのはよかった。

 それはともかく。本書には興味深い記事が満載なのですが,その中で,2007年10月の,(つい最近自殺した)当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン) ・韓国大統領と金正日(キム・ジョンイル)・北朝鮮総書記の南北首脳会談に関する記事(100〜101ページ)はしみじみと読んでしまいました。それと,全然考えたことがない見方で,なるほどね〜と思ったのは,2008年の中国の胡錦濤・国家主席来日時の福田首相との会談後の記者会見に関する記事。ちょっと抜粋。

 日本語も中国語も分からない外国人に、この会見の映像を見せたら、どちらが国のリーダーとして優れているか、おのずと答えが決まってしまうと思うと、日本人としてはいささか情けない。(123ページ)

 ほんとだ。サミットのときなど,私たちは外国の政治家を見比べますよね。サルコジはインチキくさいとか,メドベージェフは思ったより骨がありそうとか,メルケルさんは何だかすごそうだ…とか。こうして考えると,胡錦濤とかプーチンとかは,やっぱりかなり存在感がある政治家なんだなあ〜と思いますねえ。

 最後にいちおうちょっと覚書。本書は記事の内容,写真は素晴らしい。構成,デザインもいいのですが,ミスプリントがいくつかある(どれも決定的なものではなくスルーできます)のが若干惜しいところ。


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