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『人体模型の夜』中島らも(090530)
『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』以後,久しぶりに中島らもさん。本棚の整理をしていたらポロっと出てきたんですな。“あれ,これ読んでないジャン”ってなことで。カバーのデザインがなかなかカッコウイイ。あの無粋なバーコードを,入れなくてよかった時代の裏表紙の雰囲気もいい。「人体模型の夜」という文字は銀。その文字の右に首だけ見えているのは,背から裏表紙にかけて描かれていて,カバーをはぐと表紙のセンターにもなっている,この男女の天使が産み落としたまんま(と思われる)の,赤ん坊の「天使の死体」。うー。気持ち悪い。怖い。でもこの本にピッタリ。
■『人体模型の夜』(中島らも/集英社/本体:1,165円)
何冊も中島らもさんの本を読んできたけれど,らもさんは,小説を書くこともこんなに上手だったんだな〜と,本当に驚きました。すごい才能だったんだと再認識。『青春と読書』などいろいろなところに書かれた短編小説をまとめて,エピローグとプロローグをつけておそろしい宇宙ができあがっています。参ったなあ〜。いろいろなところに書いた短編をただまとめただけの小説集のはずなのに,こうして読むと,すんごいオムニバスになってるんですねえ。そういうことを計算して書いてらしたんですかねえ。プロというか,コロンでもただ起きないというか,案外セコイというか…。はは。そんな背景はどうでもいいけど,ともかく本書は全体で一冊の,一本の作品として成り立っています。
言葉とか文章の美しさ,物語の楽しみ…なんてことはそうそう考えないものですが,この本を読んでいると,そんなことを噛みしめたくなってきます。本書は傑作だと,アタクシは思います。生意気を言えば,アル中ネタの『今夜、すべてのバーで』よりも,こちらのほうがプロとしての凄さを感じさせてくれる作品です。文章を読んでいて,かなり視覚にくる。演劇的というか映像的というかシナリオ的というか,ありえないことをリアルに感じさせる力量に驚きます。ふー。うー。うー。
改めて,イマーノさんもそうだけど,私たちは,同時代の素敵な才能を失ってしまったんだなあと思ったことでした。階段から落っこちて…ってのがまた,らもさん。できすぎであります。
アタシの大好きだったオジサンたちが,洗濯物を干していて物干しの下で脳溢血で亡くなっていたとか,チャリンコで出かけて,家から10メートルぐらいのところの人の家の植木に寄っかかって心筋梗塞だかで亡くなっていたという話みたい。それはそれでその人らしいのね。アタシは落としたコインを拾うために道路に飛び出してはねられたたりするのかな? 酔って若い女性に変なことをしようとして電車のホームから突き落とされたりするんでしょうか? オフクロ様と義父母が健在なうちは死にたくないけど,死ぬとしたなら,それなりに格好のつく形がいいなあ。子供たちには格好悪い死に方を見せてやりたい(オヤジよりはマシだと思って逝けるように)けど,親(特に義父母)には格好悪いところを,見せたくないのね。はは。
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