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『看護倫理』小西恵美子・編集(090503)
宮子あずささんや小林光恵さんのご著書や自分の体験などから,看護師さんの,その道のプロとしての,法曹家のリーガル・マインド(法的思考)のような,「看護マインド」というものをヒシヒシと感じてきました。このお二人が編集された『ナース川柳 看護婦七転八倒』という本を拝読したとき(2000.12.20),「検尿をグラデーションに並べてる」という作品があり,心底,感心しました。“この仕事が好きなんだ”という気持ちが実に明るく表現されていますよね。
■『看護倫理』(小西恵美子・編集/南江堂/本体:2,200円)
政治倫理とか企業倫理とか公務員倫理とか放送倫理とか,倫理というのはなかなかにムズカシイ。
カントの「内なる道徳律」という言葉が私はとても好きですが,それを複数の人や組織と共有するのは大変。ここに,まさに人の命にかかわる仕事をしている看護師さんのための『看護倫理』というテキストがあり,これを学べばたいていの職場などの集団でも生かせるだろうと,かなり真面目に読みました。とても勉強になりました。私のような門外漢でも,いちおうスムースに(例によって浅〜い理解なのでしょうが)読めました。これは本書が,平易な表現で読みやすくまとめられているということだと存じます。
せっかくこれだけのテキストを読みながら,こういうことしか書いておけないのかと情けなくなりますが,看護の基本は「患者中心」ということ。普通の民間企業なら事業の基本は「お客様中心」,公務員なら「住民中心」,放送なら「視聴者中心」,政治家は…「有権者」と言いそうになりますが,政治家は有権者だけのことを考えているだけじゃもちろんダメ。それはともかく。
看護においては,あらゆることの基本が「患者中心」であって,患者に最善のサービスを提供するために,すべての思考・志向・施行・試行がある。
これを実現するには,明示的な倫理的意思決定が大事なわけですが,そこで,第IV章の「倫理的意思決定のステップと事例検討」では,倫理的意思決定を導くための「4ステップモデル」と,それを記入する小西恵美子先生オリジナルの表が掲載されています。これが素晴らしい。
「4ステップモデル」の柱は(1)問題の明確化―(2)問題の分析・検討―(3)判断―(4)行動の選択というサイクルです(テキストではもっと具体的なことが書かれています)。困ったことが生じたとき,意識的にこういうプロセスを経て考えておくと,他者にも説明しやすいし,反省もしやすいんですね。表に記入しながら作業を進めることによって,複数の人とも問題意識や判断・行動の背景を共有することも容易となります。ここで書かれていることは実に実践的。
その他,B5判・約250ページの本書全般を通じて,看護特有のことについては,主として患者やその家族への接し方などが参考になりました。今後,また患者になったときに,ここで学んだことを思い出せるといいんですけどねえ〜。
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