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『竹中式マトリクス勉強法』竹中平蔵(090403)
だんだんアタクシも「典型的ゴルフオヤジ」「英語を話せない英語教師」「馬券を買わない競馬評論家」みたいになってまいりました。能書きは言うけど自分は実行できない。学習の「方法」についていろいろ言うけど,実際の学習はしないので,いつまで経っても頭の中は空っぽ。このテの仲間をアタクシは「ピーマンブラザース」「与太郎」などと呼んで,それなりに愛しておりますが,ま,ろくなモンではありません。
■『竹中式マトリクス勉強法』(竹中平蔵/幻冬舎/本体950円)
アタクシは学習法関連として,これまで,『メキメキ頭がよくなる「超」思考法』(中川昌彦/実務教育出版),『できる大人はこう考える』(高瀬淳一/ちくま新書),『趣味・教養を「武器」に変える 和田秀樹の“最終最強”知的生産術』
(毎日新聞社),『世界一やさしい問題解決の授業』(渡辺健介/ダイヤモンド社)
,『スピーディーに何度も繰り返す! 速読受験術』(椋木修三/PHP研究所
),『翌日の試験はこれでカンペキ! 一夜づけスピード記憶術』(椋木修三/PHP研究所)といった本を読んでまいりました。
これらと比べて本書は,最も実用性に乏しかった(笑)。平たく言うと,アニマル浜口さんが「気合いだあ!」の一言ですませているところを何やかやとこねくりまわしている感じ(おいしいお料理についてあれこれ解説をしている人に「あったかいうちに黙って食え」と言いたくなるのと同様の気分)。それにさらに,上の写真の帯で「1の努力で10の成果 日本一の学習法、初公開」なんて言う幻冬舎さんも可笑しい。昭和初期のノリだ。「世紀の傑作」「絶世の美女」「映画史上空前」とかが連発されていた当時の映画広告みたいであります。「1の努力で10の成果」って,本書のどこに書いてあったかなあ??? 書名の「マトリクス勉強法」ってのも誇大広告気味で,マトリクスで何をどう勉強するか考えてみてね…ってのは書いてありましたけど,これ自体はどっこも「勉強法」ではありません。「日本一」をウリにしようとしているってのもかなり笑える。桃太郎か? このグローバル経済の時代に…。トヨタとかパナソニックとかイチローは「日本一」なんて眼中にないよなあ〜。はは。
…と,悪口はいったんこれでお終いにして。本書はしかし面白い。竹中センセはいい人なんです。その昔,解散直前のビートルズのポールのようなヒゲ面だったのが懐かしい。慶應義塾大学教授ということでスマートに見えるかもしれませんが,竹中センセは,実は本来,ツギハギだらけの蒲団みたいな着物が似合う「農民顔」だと,アタクシは昔から思っておりまして,センセのおっしゃる政策がいつも正しいかどうかはわかりませんが,でも竹中センセは,1+1=2のような世界中のだれにもわかる要諦をお持ち(世界に通じるジョーシキがあるということです)で,アタシなんぞが「センセ,これ違うんじゃないですか?」と聞いても必ず応対していただける気がします。本書を読むと,センセの声が聞こえてくるようでうれしい。いいことをたくさんおっしゃっております。「学習法オタク」でない人や学習法ということを考えたことのない方には十分参考になります。
・すべての勉強に締切りを設定する(50ページ)
・一見敷居が高そうな学問も、自分の関心があるテーマから掘り下げていけば、いくらでも身近になる(150ページ)
・ほめること、エンカレッジすることの威力は絶大(188ページ)
・立ち向かっていこうとする力があるかどうか。これが、「できる人」と「できない人」の違い(190ページ)
…などなど。さすがにセンセはいい言葉をたくさんご存知ですし,説得力もあります。かなりハゲ増されます。勇気が出ます。みんなが明るく元気になれば,それが乗数効果的にまたお互いをハッピーにしますという,マクロ経済学の知見そのものを,これは先生,意識的に提供してくださっているとアタクシは感じた次第であります。
ところで…。マトリクスという,4象限の図を,近頃,インテリ(ウソ臭い人多数)の人たちもよく用います。一見していろいろなことを4つに分類できるのは,まあ,便利といえば便利,わかりやすいといえばわかりやすいですが,それほどすごいものでもありません。AかBかCかDかを見るだけのこと。もろもろのことの本質を4つの視点(というか2つの価値観)で見てみようとすることの過不足(高い・低い,広い・狭い/陽当たりとかが考慮の外になっちゃうのね)を検討しないで,思考の枠を固定してしまうということでもあります。
われわれは,結局はまあ,2つか3つの要素の検討を「積み上げて」物事を判断しているんだと思います。たとえば本を購入する場合,私は,重要度(高い・低い),緊急性(高い・低い),信頼度(高い・低い),価格(高い・安い),文字のサイズ(大きい・小さい),判型(大きい・小さい),重量(重い・軽い),デザイン(美・醜)なんてことを考えます。これらに「中程度」を加えれば評価はそれぞれ3段階になります。こんなことを私たちは考えている。0か1の演算の組合せで動くコンピュータの仕組みには本当に驚きますが,これはすごい。最もシンプルなプログラム。赤ん坊と同じ。二者択一的であります。好き嫌い。快不快。これらにさらに判断の要素をたくさん加えることが,大人になるということなんではないですかね??? ワタクシたちは,これを五感で瞬時にやっているんですねえ。
大事なのは,価値判断の基準を明確にして,PDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)を繰り返すこと。重要な場面で「何となく」ってのはいけません。反省のしようがなくなってしまいますものね。重要な場面で泣いたり怒ったり興奮してしまうのも同様ですし酒酔いも…。これらのせいで正常な判断ができなければ,やはり後で反省のしようがなくなってしまいます。
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