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『楯』二谷友里恵(090207)
『愛される理由』(二谷友里恵)―『ダディ』(郷ひろみ)と読んできて,本書でこのお二人に関する読書は終了。『ダディ』(1998年5月)から3年。本書は2001年5月第1刷。カバーのイラストは私の好きなパウル・クレー(Paul
Klee)のもの。オシャレですねえ〜。
■『楯』(二谷友里恵/文藝春秋/本体:1,143円)
でも,書名は…。この「楯」という文字を見てドキンと来た人も多いのではないですかねえ。あの三島由紀夫の「楯の会」の「楯」。帯や前書きにある「真実を口にする勇気は私に残された最後の楯でした」から取ったタイトルで,不自然ではないのですが,気になる人にとってはこの字はコワイ。「腹くくってる」とか「腹をくくったぞ」,もう少し言うと「腹を切るぐらいの覚悟で書いたぞ」という意味合いもあるのではないかとも思えたりして…。考えすぎでしょうけれど…。
二谷さんは賢い。ちょっといくつか引用。離婚前の郷さんについて。
そのどの姿をとっても、もう私とは同じものさしで物事がはかれなくなっていた。最初はミリ単位のずれが、気が付いた時には長さを聞いてもグラムで答えが返ってくるような、そんな感覚だった。(26ページ)
→うまい! 「最初はミリ単位のずれが、やがて(メートルとか)キロ単位のずれになった」なんて書くのが普通じゃないですかねえ。
こんな文章もあります。
私は一応、転んだりした時はただでは起きないように心掛けている。すべての禍に意味を持たせる。(67ページ)
もう1つ。
結婚生活の中で、私は本当の意味での挫折や絶望を経験し、今迄「2ひく3は」と問われて「ひけません」、と答えていた自分から、やっと「マイナス1」という、正の世界と同じだけの負の世界があるという概念を持てる自分にお蔭様で修行を積ませていただいていた。(102ページ)
二谷さんは賢いだけでなく強いですねえ。母なるものの強さと人としてのプライドからの強さの両方を持っておられる感じ。本書の発行からやがて8年。その後にも,おそらくパワーアップされていることでしょうねえ。
二谷さんは1964年11月生まれ。ということは今,44歳。『愛される理由』で書いてあった,女子大生の頃の郷さんとの出会いがなかったら,まったく違った人生を歩まれたはず。それは郷さんにとっても同じですよねえ。何だか不思議な気がしますねえ〜。
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