『清潔はビューキだ』藤田紘一郎 (080428)

 名著『笑うカイチュウ』で知られる藤田紘一郎先生の本。迷わず購入。カバーのデザインが,“何かしっくりくるなあ〜”と思ったら,装丁は田村義也さんでした。シンプルなんですけど,書体など,結構計算して作り込んであります。

■『清潔はビューキだ』(藤田紘一郎 /朝日新聞社/本体:1,400円)

 本書は1999年2月に第1刷発行。私の手元にあるのは同年8月の第2刷。朝日新聞1997.10.6〜1998.6.1に連載したものと,それの補講で構成。

 本書では,「行きすぎた清潔志向」によって,日本国内の「無菌化」が進み,それによって日本人は感染症に弱くなり,花粉症・アトピー性皮膚炎といったアレルギー性疾患も出現してしまったということが繰り返し語られます。大変興味深い内容で,家族にも必ず読んでもらおうと思います。まずは近頃保育園でバイトしているカアちゃんから。

 いくつか覚書。

 日本人は回虫が体の中にいるのは嫌だけれども,まぁ仕方ないものだとあきらめていたらしいのだ。(中略)回虫は第二次世界大戦まで,日本人にとってごく身近な存在であった。(27ページ)

 回虫や細菌を追い出した日本人の体は,スギ花粉やダニに対して,敏感に反応する体質になってしまったのであろう。(34ページ)

 腸の内部には,長い歴史の中で人類と共生するようになった「常在菌」が約100種類,計100兆個も棲んでいる。一平方センチあたり数千万個という莫大な数になる。(68ページ)

 外でいろいろな菌に少しずつ触れることは,免疫力を高めるうえでも,感染症への抵抗力を養う意味でも必要だと思う。(81ページ)

 抗菌とか消毒とか,手の洗いすぎ,風呂に入りすぎ,なんてことをしていると,清潔なところでしか生きていけない体になっちゃうぞってことですねえ。なるほどねえ,と思ったのは,抗生物質を使いすぎると,昔から共生してきた“有用な大腸菌”の数が少なくなってしまい,かえって菌に対する抵抗力が弱まってしまうという話。同じように抗菌グッズを使いすぎると表皮の「常在菌」が弱まってしまい,皮膚が障害されてしまうという話も出てきます。体臭や汗などについても過度な対策はよくないと述べられています。

 わが家のメンバーに過度な清潔好きはいませんが,子どもたちはみんな“年頃”なんでちょっと心配。体臭とかニキビ対策とか,ね。

 そうそう。ペットが原因で起こる病気についても取り上げられています。

 トキソプラズマに未感染の女性が妊娠した場合には,妊婦は,猫の糞を素手で扱わない,ブタ肉やヒツジの肉を扱った後はよく手を洗う,ブタ肉などの調理の際には十分火を通すなどの注意が必要であろう。(144ページ)

 小鳥に口移しでえさを与えるなどの濃厚な接触は避けるべきであろう。(147ページ)

 ペットとの付き合いもなかなかむずかしい(危険が伴うのは当然)とわかりました。ペット由来の感染症に関する問題点について,

 まず第一に,この種の感染症についてはまだ十分な研究がなされておらず,不明な点が多いということ。そして二番目に正確な診断ができる医師も医療機関も少ないということだ。(以下略)(151ページ)

…という記述があります。約10年前の話なので,今はこの記述が妥当するかはわかりませんが。いちおう。


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