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『仰げば尊し』『恋は肉色』『菜摘ひかるの私はカメになりたい』『えっち主義』『えっちな気持ち』『依存姫』菜摘ひかる(080424)
何故かはよくわかりませんが,亡くなった『風俗嬢 菜摘ひかるの性的冒険』,『ふにゃふにゃ日記』の菜摘ひかるさんの本を猛烈に読みたくなって,ドカンと買って,まとめ読み。
■『仰げば尊し』(菜摘ひかる/秋田書店/本体:933円)
■『恋は肉色』(菜摘ひかる/光文社文庫/本体:495円)
■『菜摘ひかるの私はカメになりたい』(菜摘ひかる/角川文庫/本体:362円)
■『えっち主義』(菜摘ひかる/角川文庫/本体:362円)
■『えっちな気持ち』(菜摘ひかる/角川文庫/本体:419円)
■『依存姫』(菜摘ひかる/主婦と生活社/本体:1,300円)
以下のうち,『恋は肉色』〜『えっちな気持ち』のカバーイラストは“やまだないと”さん。なかなかいい雰囲気であります。『依存姫』のカバーイラストは櫛永晴美さん。菜摘さんのはかない生涯に,消えてしまいそうな女の子のイラストがあまりにもピッタリとはまってしまって言葉がありません。
●菜摘ひかるさんの略歴:水商売から会社員を経て風俗入り。ヘルス,SM,性感,ソープなどあらゆる風俗業種を渡り歩く。ライター兼漫画家。平成14年11月逝去。享年29歳。
それぞれ,ちょっとずつ覚書。
◆『仰げば尊し』…「たまに自分でつけて,ウットリして遊んでるぐらい,メンズの香りってわたし的には相当クる。定番ものでは,ジバンシィのウルトラマリンとか,シャネルのプラチウムあたりが好み」(46ページ),「風俗の仕事をするようになってから,変わったことがいくつかある。『脱ぐこと』を前提に服を選ぶ。どんなにお気に入りだって,脱ぎ着のしづらい服はNGなのだ。おかげでタートルネックなどは,まったく出番がなくなってしまった。(後略)」(74ページ)。
◆『恋は肉色』…「思うようにチンコがしゃぶれない日が続き,本来は財布に常に補充されているべき現金がただ目減りしていくのを眺めていると,なんともやるせない気分になってくる。(中略)無理したって,結局はダメなのだ。(中略)早く元気になれ,自分」(87〜88ページ),「笑顔で鎧(よろ)え。笑顔で鎧え。」(268ページ)。
◆『菜摘ひかるの私はカメになりたい』…「ひとりにしないで。あたしはココにいます。お父さん。お母さん。」(58ページ),「お願いだから,誰もわたしの側からいなくならないで欲しいと思う」(104ページ),「女の肌が冴え冴えと美しくいちばん映えるのは赤以外にあり得ない。その色を爪に乗せた自分はまだ弱っちゃいられない,そういい聞かせる道具,自分を奮い立たせ戦闘意欲を蘇らせるものとして,赤いネイルはあるのだと思う。じゃないとすぐヘコんじゃって,イッちゃったまましばらく帰ってこられなくなるので,わたしは。」(129ページ)
◆『えっち主義』…『仰げば尊し』に加筆・修正をし文庫化。「母親のような女にならないこと。父親のような男と結婚しないこと。それだけを目標に生きてきた」(55ページ),「二〇〇二年夏の菜摘の意気込み。いつまでも自分に自信が持てずフラフラしまくりのわたしですが,今後は本格的にフィクション方面にチャレンジしようと思ってたりなんかしてます。無謀な挑戦かもしれないけど,生暖かい目で見守ってやっていただけるとうれしいです。(中略)それでは。またどこかでお会いしましょう。」(159ページ/「文庫版あとがき」より/この年=平成14(2002)年11月逝去)
◆『えっちな気持ち』…平成15(2003)年2月初版発行。短編小説集。ピッチング練習で球筋を見極めようとしているかのような作品群。絵で言うとデッサン帳というところ。ポロリとこんな文章あり。「身体を売る仕事はもうやらないよ。永遠にやらない。一度彼の前で口に出したことは,なにがなんでも守るつもり。それこそ死んだって守る。でも死なないって約束は,してないんだよね」(93ページ)
◆『依存姫』…平成14(2002)年6月1刷発行。400字1枚として,50枚以上の小説が4本収められています。「あとがき」で菜摘さんは「一編五十枚以上の小説を書くのは初体験で,暗中模索,七転八倒の連続でした」と書いておられます。これは私の推測ですが,おそらくこちらのほうが『えっちな気持ち』より後の執筆だったのではないでしょうか。本はこちらのほうが随分先に出ましたが,文章の完成度がこちらのほうがずっと高いと思います。編集担当の方も適切なサポートをされたのでしょう。ライトノベルっていうんですかね,いずれも作品として立派に仕上がっていると思います。
菜摘さんは,小説も含めた「物書き」として,一段ステップアップしたところで亡くなっちゃったんですね〜。29歳で…。ふ〜。
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