『一日一文 英知のことば』木田元・編(080209)

 立派な造本であります。箱入り。箱入りの本を見ると「良い刀は鞘に収まっているものですよ」という『椿三十郎』に出てきたセリフを思い出します。物書きなら,だれもが憧れるのではないでしょうか。

■『一日一文 英知のことば』(木田元・編/岩波書店/本体:2,500円)

 書名通り,木田元先生(『新人生論ノート』(2007.10.10)以来)が1日ごとに「一文」を割り振ってくれております。その文章を書いた人の誕生日や命日にちなんで割り振っているところもあります。

 本文のレイアウトは上のよう。右側に「一文」,赤い文字が引用元。上に日付と人名,左に写真とプロフィール。私はこの写真も楽しかった。名前は知ってたけど,この人はこんなお顔だったんだあ,など。これは集めるが大変だったと思います。お疲れさまでした。ご担当の方。古い人は彫刻だったり絵だったり,さすがに何も入れられない人もいます。

 この本の面白味は,木田先生がこういう一文を引っ張ってきたというところ。一文そのものももちろん面白いのですが,選者の「好み」もかなり味わい深い。今,私のすぐそばのチビ本棚には寺山修司の『ポケットに名言を』(角川文庫),童門冬二先生監修の『心を強くする名言』(成美文庫)といった本がありますが,本書もそこに加えます。ちょっと一文。

われわれは短い人生を受けているのではなく、われわれがそれを短くしているのである。われわれは人生に不足しているのではなく濫費しているのである。たとえば莫大な王者のごとき財産でも、悪い持ち主の所有に帰したときには、瞬く間に雲散してしまうが、たとえ並の財産でも善い管理者に委ねられれば、使い方よって増加する。それと同じように、われわれの一生も上手に按配する者には、著しく広がるものである。(2月18日/セネカ/51ページ/ルビは飛ばしました)

 いかがでしょうか。こんな感じ。時間のあるときに,こんな一文を目にすると,背筋が伸びます。


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