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『病みながら老いる時代を生きる』吉武輝子(080207)
吉武輝子さんは2000年の段階で「膠原病と25年近く付き合って」(2ページ)きて,「集中的に呼吸器に障害が出ている」とのこと(9ページ)。その上,2002年には大腸がんであることが判明。
■『病みながら老いる時代を生きる』(吉武輝子/岩波ブックレット/本体:480円)
本書の最初のほうの「それは典型的な大腸がんの症状です」という節で,外出先で排泄物がどっとあふれ出すという,すごい体験談が出てきます。そのときの服装が幸いして他人に気づかれないですむ状況ではあったものの,こういうときこそ人間,真価が問われますよね。吉武さんは落ち着いて凛として(内心はともかく)対処されます。
「かっこいいGパンを履いているのに、よたよた歩きをするわけにはいかない。ぐいと胸を張り、かっかっと靴音を鳴らしてプラットホームに降りる」(8ページ)
こう言ってはナンですが,普通の女性では「よう書ききらんだろ」と思われるキビシイ話。しかし,“この病気にかかった病人はこうなってしまうのだ,こうなることもある”と実際にあったことを書いていただけると参考になりますよね。こういうところに,その病気の,身体だけでなく精神的に最もツライ部分があることが少なくないと私は思います。で,ツライのだけれども,かっかっと靴音を鳴らす吉武さんの心意気! これが本書全体に染みわたっていて勇気を与えてくれます。
B6判・72ページの本書には,タイトルにあるとおり,「病みながら老いる」ときに支えになるような言葉がたくさん収められています。「がん友」(がん友達)なんて言葉も出てきます。
「自慢ではないけれど、四分の一世紀以上にわたって、『病気のデパート』の門戸を立派に張り続けてきた。このデパートの社是は「病気はするけど病人にはならない」。(30ページ)
この社是を確実なものにするために,吉武さんは「社是3カ条」というものを厳守されていると紹介されていますが,これが本書のキモです。実にハゲミになります。
なお,吉武さんは,アンチエイジングという言葉が大嫌い(64ページ)とも書いておられます。そうでなく「ウィズエイジング」ということをおっしゃいます。
昨日できたことが今日できなくなる。今日できたことが明日はできなくなるかもしれない。しかしできなくなったことを、歳を重ねながら溜め込んだ人間としての英知で補いながら生きていく。ここがウィズエイジングの極意だ(64ページ)
大賛成ですねえ。「アンチ」と言って加齢を「敵対視」するのでなく,いつまでも元気でいたいとそれなりに気はつかうけれども,基本的には「加齢」からくるものは受け入れていこうという姿勢ですよね。道浦母都子さんに教わった「花眼」という言葉を思い出しました(『花眼の記』/道浦母都子/本阿弥書店)。
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