『階級社会 日本』橋本健二(080106)

 この本は,多分,BOOK-OFFで購入したもの。この価格はすごいわ。普通の単行本サイズで,約280ページしかないのに…。同じようなサイズの『カリスマ』は680ページで1,900円なのに…。まあ,「専門書」ということなのでしょうねえ。プロの社会学者が語る「階級」論。興味津々。

■『階級社会 日本』(橋本健二/青木書店/本体:2,700円)

 橋本健二先生は1959年生まれ(私より1歳年下)。武蔵大学社会学部教授。専攻は理論社会学(階級論・マルクス主義社会理論)。 この本に紹介されているプロフィールによると,趣味は「飲酒」「都市徘徊」(アルコール中毒系路上観察学者の私とここらの趣味は合います),「ジョージ・セルと武満徹」(こちらは私にはわからない)。

 例によってちょいと引用。

 彼(アダム・スミス)によると,そもそも無所有・無階級の社会は国家を必要としない。国家は階級社会の誕生とともに,財産の所有者を守るための暴力装置として発生したのである。政治や制度というものは,支配階級の利害によって生まれるのであり,政治家がいう「国民的利益」とは,現実には政治家の個人的利益と,彼がよって立つところの支配階級の利益に過ぎない。しかも支配階級は既得権を守ろうとするので,政治や制度は,社会が変化してその意味を失っても容易には崩壊しない。(16ページ)

 こんな感じで,アダム・スミスが登場して,その後,マルクス,ウエーバーと階級・階層論,日本の状況,現代社会の階級構造へと話が続きます。このあたりはなんというか,基礎知識。大学の講義を聴いているようで実はちとツライ。ガツンと来るのが,「プロムナード 越境する階級―二つの『ツルモク独身寮』」という章で,私はここを読んで,階級についての感じ方というか考え方が身体に染みた感じがいたしました(『ツルモク独身寮』必読…子どもたちにもきっと有用とも思ったことでした)。

 この後は,資本家階級,新中間階級,労働者階級,旧中間階級という4つの階級の,差異などの分析,平等社会を実現するための提言などが続きます。

 最後の提言の部分では,「新しい社会主義」(259ページ),「非階級社会の実現」(262ページ)という言葉も見られます。やっぱりだいぶ理屈っぽくってシンドイのですが,これは致し方ないのでしょう。価格からいっても“一般大衆向けの本ではない”のでしょうから…。

 この本は2001年5月第1刷。私の手元にあるのは2002年12月の第3刷。本書で用いられている基本データは1955年〜1995年までの「SSM調査データ」というものなのですが,その後も「SSM調査」はなされており,最新のデータからはどんなことがいえるのか,また,それらを受けて,橋本先生は,今,どんなことをお考えなのか,それを知りたいと思えるような,「後を引く」読書でございました。

  


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