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『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』橋本治(080106)
橋本治さんの本を読んだのは,『上司は思いつきでものを言う』(2007.8.18)以来。『上司は思いつきでものを言う』と同様,この本も理屈っぽい。(笑)
■『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』(橋本治/集英社新書/本体:700円)
冒頭,「勝ち組・負け組」という二分法はイカンという話がかなり長々と続きます。
「勝ち組」のいる世界には,たった一つの方向性しかない(98ページ)
→いいこと言ってくれます。赤瀬川原平さんの「老人力」を思い出します。評価のモノサシを変えることによって,世界はいろいろに見えるものなんですねえ。だのにねえ,裕福かどうかとか結婚しているかどうかとか,子どもがいるかどうかとかねえ,そんなんで勝ったの負けたの言ってナンボのもんよってところでありますねえ。
以下,覚書。私の理解したなりにストーリーを要約。アサッテのほうを向いているかもしれません。そしたらすみません。(^_^;)
経済とは,「ただ循環すること」です。(103ページ)
→これもいいですねえ。ただ,橋本さんは近代経済学の基本がわかっていない風でもあります。経世済民=経済と理解されているような部分があります。経世済民は,マクロ経済学というか経済政策・財政学といった分野で,経済学の基礎分野の半分ぐらいってとこですねえ(多分)。でも…
「物や金が動く」という行為と連動して,明らかになにかが回っているのです。それは,「生きることが幸福でありたい」という感情です。これこそが,経済という人間行為の本質を示すものではなかろうかと,私は思うのです。(114ページ)
→と。これには私も賛成であります。文化人類学や民俗学などが重視する「交換」ってのが,まさに経済の原点なんだと私も思います。
橋本さんは,日本経済のバブル崩壊を「スーパーマーケット」を題材として語られます。『カリスマ』(佐野眞一)で得た知識が大いに役立ちました。デパートに打ち勝ったスーパーマーケットではあったが,コンビニにお客を奪われたという話。果てしない欲望と「追い掛けっこ」してどうなのよ,と読者に再考を迫ります。そして…
「我慢」とは,現状に抗する力である。(201ページ)
→と,来るのでございます。“おお,『足を知る経済』(安原和雄/2006.1.19)だあ〜”と思いましたねえ。私は「我慢とは,理性である」と言いたい。で,私が何より苦手なのが,この「我慢」なんですなあ〜。私が本当に我慢が得意なら,アル中にもならないし,サイフがスッカラカンになってもまだカードを使って飲み歩くなんてバカなことはしないはずなんですねえ〜。トホホ。
ただ「我慢が出来ない」だけの人間は愚か者である。(206ページ)
→異議なし! そのとおり!
本書には次のような話も出てきます。
日本人にとって,「二大政党制」というのは,「“正反対のことを言う与党と野党”の二大政党があって,それが政権交代を繰り返すこと」らしいのです。そんなことになったら,社会が不安定になってたまらないのですが,どうもそういうものだと考えているみたいです。(88ページ)
かつての日本経済の発展について…
「指示を出す命令側の“官”は優秀だが,それを受ける現場の“民”の能力は低かった」ということになっていたら,「日本経済の発展」なんかあるはずがなかった(88ページ)
その他いろいろ。橋本治さんは「自分の頭」で考える方。南伸坊さんや赤瀬川原平さんと通じるところがあり,橋本さんが見せてくれる思考のプロセスが,私には勉強にもなり,とても面白いのでございました。
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