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『バガボンド27』『リアル7』井上雄彦(071201)
井上雄彦さんは,すっかり“大家”なんですな。集英社と講談社という2つの出版社が協力して“同時発売”をし,かつお互いの広告をそれぞれの単行本に入れております。こら,すごいわ。出版も構造不況業種の一つなので,こういった試みはもっとしたほうがいいですよね。新聞社もそう。ホリエモンさんや三木谷さんから見える世界と,テレビ屋さんやラジオ屋さん,新聞社,出版社から見える世界は微妙に一致していないようですが,“メディア屋”になろうと思えば,どこが中心になるにせよ,メディアする範囲は決まってるんじゃないかと,私には思えますけれどもねえ…。つまりは,いくつかのメディア屋さんがあらゆるチャネルを持って寡占的に繁栄し,一方でさまざまなビンボなインディーズがそれなりに成り立つってなところではないかと…。
■『バガボンド27』『リアル7』井上雄彦
さて。この2冊は11月29日に同時発売。何で見たか忘れましたが,そのことに気づいた私は,「だれが買う?」と3人の子どもたちに速攻でCCメール。息子が「私が買います」と,すぐにCCで反応してくれて「じゃ,よろしく」と私もCCで流して家庭内業務連絡は終了。長女,二女からも追ってCCで「宜しくメール」が来て,4人間の連絡は完璧な形で終了。全員が状況を理解。これ,朝9時から昼12時頃までの話。高校2年の二女がなぜ連絡してこられたかは謎ですが,まあ今どきの高校生は休み時間にメールチェックするのかなということで,追求せず。
それにしても,この連絡のよさは,手前味噌的でナンですが,気分がいい&安心。わが家では,ツマと私の母と弟夫婦が入ってもこれぐらいの連絡はすぐできます(私が携帯をなくしたりしなければ)。これって,いいことですよね。1932年生まれの母が,携帯電話だけでなくメールをブリブリ打ってくれる(写真添付もありで)のが大きいんですよね。実は。じゃないと情報が回らない。ほんと,わがオフクロ様の勉強好きがありがたい。
そそ。『バガボンド27』『リアル7』の話。もうね,言葉がない。どちらも本当に素晴らしい。絵もねえ,いいです。スキャンしちゃいたい画像多数。実はところどころ,特に『バガボンド』で,私にはよくわからないカット多数なのですが,そんなのどうでもいいよという迫力があります。
ブログなどでは“評論家”がいろいろなことを言っているようですが,井上雄彦様,どうぞお好きなように,いいと思うように描きまくってくださいませ。信頼できる人のアドバイスだけお聞きください。もう,井上雄彦様,あなたはストーリーテラーとして,吉川英治と別の次元におります。自信を持ってブイブイ行ってくださいませ。
『バガボンド』については,史実とどうかというようなややこしい問題もありますが,まあ,漫画や小説では史実の隙間を埋める部分もあり,で,よくわからないから想像で書いておいたら(そこが面白いとこだったりします),後で「○○日記」とか出てきて辻褄が合わなくなる,なんてよくある話です。そんなところには,いちおう備えをしていただければ,と。ま,これは,出版元の編集者が気を遣うべきところでもあります。『リアル』で,微妙なところにかなり気を遣っておられることがよくわかります。それと同じように,『バガボンド』でも,つまらない「揚げ足取り」に引っかからないよう,どうぞご注意くださいませ。
さてさて。下は『リアル』のワン・シーン。この(障害者の)男の子は,久しぶりに目覚まし時計にスイッチを入れたんですな。で…
涙出た。私,来年50歳なんですけど。すげえよなあ。この間(ま)。小説とか演劇とかドラマで,この心の言葉をどう表現しますかね。私はこの左上の目覚まし時計を入れたコマに,井上さんの天才を感じます。ヒッチコックとかビリー・ワイルダーとか黒澤明とかの作品には,いつもこんな間(ま)を感じるシーンがあるんですよね。ちょっとしたカットの間(ま)にいるうちに,心臓をつかまれてる,みたいな,ね。
井上さんの出世作の『スラムダンク』にも,こんな間(ま)のあるシーンがいっぱいあります。たとえば花道が親友の洋平に「きのう,オレ,すごかった?」と聞くシーンがある(下)のですが,洋平はその問いに直接答えないで,「あの大歓声がきこえなかったのか?」なんて言うんですね。その後,3コマ置いて(この“間”が大事。ダムとワンドリブル。その質感や体育館に響く音を読者は感知する。で,),花道が顔を上げて「オレ…なんか上手くなってきた…」と言うんですなあ。このシーン,ずっと前から読んでくるとジョワンと涙が出るのでございます。その後の洋平とのやりとりがまた,さらっとしてて素敵なんですな。この見開き,私,大好き。『スラムダンク』11巻174〜175ページ。
そうそう。そういえば,今回の『リアル』では,「男は外で応援するより,まずはコート(だったっけな?)に立つことをめざすべきだぜ」なんていう,私好みの言葉もありました。
あ。あと,井上さんの絵の迫力は何といっても『バガボンド』にありでございます。どなたかに教わっているのでしょうか? 明らかにスラムダンクの頃より,遙かに絵がお上手になってます。特に黒の使い方が印象的だなあと私は思っています。
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