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『日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか』草野厚(071127)
草野厚先生の本を拝読したのは,『解体 国際協力銀行の政治学』(2007.3.29)以来ですが,今回もかなりの情報収集・整理がなされており,先生ご自身もさることながら,先生の“弟子”の学生さんや担当の編集の方も相当に大変だっただろうなと拝察いたします。皆様,お疲れさまでした。労作,ありがとうございます。約270ページ。新書としてはなかなか読み応えがありました。
■『日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか』(草野厚/朝日新書/本体:740円)
凝った書名。表紙と帯にはODAとは書いてありません。援助を広く考えるということと,専門書的な匂いを消したかったのでしょうかね。
第一部で本書の狙いや構成が明示され,草野先生の国際協力に関するお考えや提言が書かれています。これが総論。第二部は経済協力について,第三部は自衛隊と警察による国際協力についてで,第二部と第三部は各論というところ。
第一部から抜粋。
本書では,経済協力については「資源小国,経済大国の日本が生存するためにはこれ以上ODA予算を削減すべきではない」という立場から議論し,また,自衛隊の国際協力では「『国連の平和維持活動への参加』を原則とする」という私論を展開し,軸足をはっきりさせる。
その上で,第二部以下で,仮に私論を含め国際協力の政策を具体化する場合,どのような基礎的事柄を理解しておくべきか,どのような周辺的な要素に配慮しなければいけないか,などについて言及している。(16〜17ページ)
ODAは日本生存のためのインフラ(31ページ)
自衛隊の協力は国連機関を中心に(38ページ)
このように,フレームをきちんと示してくれると,われわれ読者も迷子にならないで助かります。草野先生のご著書は,毎度この骨組みというか構成がしっかりしています。主題の旋律とその他の旋律の組合せを考慮して,まるで作曲をされるように本を書かれるという印象です。
さて,で,第一部の後の第二部が約180ページあります。この第二部を読めば「あなたもODA通になれる!」という感じ。充実した内容です。ODAを一から勉強したい方,それと公務員試験を受ける人は必読であります。
第三部は約45ページ。こちらは自衛隊や警察による国際協力について。ここもねえ,公務員試験を受ける人にはぜひ読んでおいていただきたい。技術系の人にも「ここは教養試験でよく出まっせ」とお知らせしたい。
私は,実は,この第三部関連がずっと引っかかっております。湾岸戦争のとき金だけしか出さなかったから,クウェートは日本に感謝しなかったし,日本は世界の笑い者になってしまったというアレです。私は,クウェートが感謝の新聞広告だかに日本を入れなかったことがわが国にとって,そんなにダメージになったのか?と思いますし,日本は「絶対に戦争に人を派遣しない」ということを世界に知らしめることが悪いこととはどうしても思えない。「私たちは軍事にお金を使わないからお金持ちなんです。金持ちケンカせずです。世界の皆さんもそうなさったらいかがですか?」と言い切ってしまいましょうよ,と思うのですよねえ。この話をすると馬鹿にされるんですが,人類は「月に行きたいな〜」と憧れたから行けたわけなので,「地球上から戦争をなくしたいな〜」と本気で考えて行動すれば絶対できると思うのです。環境問題への対応についても同様です。共産主義というと変な話になってしまうのでしょうが,社会民主主義的発想というか公共を常に意識した市民感覚の醸成というか,が必要なんじゃないかい? と強く思います。
おととと。ちょっと余計な話になってしまいましたが,特に,国際協力とかODAについて学びたい方にはオススメです。大変勉強になります。
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