『AV女優』永沢光雄(071009)

 私は今年だけでも,『ふにゃふにゃ日記』『犯罪風土記』『続 犯罪風土記』『風俗裏日記』なんて本を読んできているわけなんですが,本書もその一環。エッチな世界を覗きたい気分もありますが,光の当たらない部分で生きている(た)人たちにとても興味があります。いやいや興味があるというと「スカした」言い方すぎるか。もう一人の私を見に行っているような気分になります。

 この本はかなりの労作。文庫でざっと650ページあります。厚さ約27ミリ。

■『AV女優』(永沢光雄/文集文庫/本体:800円)

 本文中に,この本を書いた永沢さんの以下の独白があります。

 私は分裂病ではないが鬱病を飼っているし,ほぼアル中である。何かに依存しなくては生きてゆけない人間である。(616〜617ページ)

 この一文が妙に引っかかりました。で,永沢さんのお名前でネット検索してみたらやっぱり。1959年7月生まれ,私より1歳年少の彼は,昨年の11月1日にアルコール性の肝機能障害で47歳で亡くなっておりました。

 こんな本を出す人はマトモじゃないんだろうな,と,この本を読みながら思いました。『ふにゃふにゃ日記』を書いた菜摘ひかるさんもそう,『風俗裏日記』やこの本に出てくる女性たちもそう。みんなココロに空いた,何らかの穴を埋めようとしています。心象風景がみなとてもよく似ていると思います。

 著者の永沢さんのいつも酔っている取材や,インタビューの尋常でない丁寧さを見て,「永沢さん,あんたもそっちの人じゃないの?」と思いました。そんな次第で,そっちの世界にどっぷりつかってしまう本です。社会の見えづらいところで消費され,磨り減っていく人たちの世界。精神分析医や学校の先生にぜひ読んでいただきたい。

 なお,出てくる女性たちは,ほとんどが服を着ている美人です。また,写真はすべてモノクロです。


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