『続 犯罪風土記』朝倉喬司(070819)

 我ながら「雑読系」でありまして興味関心がいろいろなところに飛んでいきます。というか,継続的に,機会あるごとに興味関心の輪廻のようにグルグルいろいろなところを行ったり来たりしている感じです。Kちゃんから機会をもらった『非行対策』の後は本書。7月の頭に『犯罪風土記』を読んで約1か月後に続刊読了。

■『続 犯罪風土記』(朝倉喬司/秀英書房/定価:1,200円)

 朝倉さんは本書でも,土地の特性や親子の記憶などを踏まえて,まさに裏カバーにあるとおり「放浪芸人の足どりで事件の因縁の糸をほぐしていく」のでございます。

「地獄の季節」と題された章では,小菅散弾銃殺傷事件で少年犯罪が扱われ,OL眼つぶし事件・練馬一家五人惨殺事件では「親の因果が子に報い…」的な「語り」が炸裂(お見事!)。柳川組解散の過程では在日朝鮮人の戦後が語られます(この文章もシブイ!) ここまでは私も事件の背景についてはよくわかりました。が,勝田清孝連続殺人事件・神戸保険金殺人事件になってくると,都市だの祝祭だのが出てきて,ど〜も,朝倉さんもお困りの様子が伺えます。

「親の因果が子に報い…」的な深さがないのが都市化する中で発現してくる「都市犯罪」というものなのでしょうか。朝倉さんがテキ屋や山の民などを語った部分(「万物流転を生きるテキヤの犯罪哲学」)は絶品です。しかし,本書の後半では,「事件」の「要素」が,朝倉さんがとらえようとする指の間をすり抜けていく感じがします。何やら死も生も軽い。都市の底流にはドロドロした記憶があり,そこから犯罪をとらえようとするのが朝倉さんのスタンスなのですが,うまくはまらない…。

 朝倉さんは「まえがき」で次のようにおっしゃっています。

 私は,犯罪を素材として物を書くに当って,言葉の構成力から,どうしてもハミ出す部分にこそ,人類史の広大にして底深い拡がりがあるのだという確信はもっている。
 で,原稿用紙に向うにあたっては,何とか言葉に工夫をこらし,論理のアクロバットもあえてやってのけ,私なりに想定した「拡がり」を皆さんの前に,ほのめかそうと頑張ったつもりである。
 その悪戦苦闘を,ひとつよろしくお汲みとりいただければ幸いである。

 可愛い素敵な文章でございます(見た目はちょっと怖い感じの方ですが)。はい。ちょっとだけなんでしょうが,汲みとらせていただきました。ありがとうございました。朝倉喬司様。新刊の『女性未解決事件ファイル』(新風舎文庫)も読ませていただきます。

  


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