『北京原人物語』ノエル・T・ボアズ/ラッセル・L・ショホーン(070517)

 いかにも面白そうな書名でございまして,即購入。

■『北京原人物語』(ノエル・T・ボアズ/ラッセル・L・ショホーン/長野敬・林大=訳/青土社/本体:2,400円〉

   

 原題は,“DORAGON BONE HILL”でして,本文では「龍骨山」と訳されています。ちょっとカバーの写真だと見づらいですが,サブタイトルは“An Ice-Age Saga of Homo erectus ”(氷河時代を生き抜いたホモ・エレクトゥスの奮闘物語―「訳者あとがき」より)です。で,この龍骨山というのは,北京の南西50キロのところにあるそうで,1929年(41ページ)に,あのホモ・エレクトゥス「北京原人」が発見されたところなんですね。

 この本の導入部分はその北京原人の化石の「現物」が今はなく,それがどこに行ったのかという話です。北京原人の化石が発見された後,1937年盧溝橋事件,1941年日本軍が北京を占領,1945年の終戦までのゴタゴタの中で行き先がわからなくなってしまったとのこと。

 この話に関連して「一九三六年から一九四五年までの間に、一〇〇〇万人ほどの中国民間人が日本軍に殺されたと推定されている」(58ページ/Gibney,F.1995.Senso,The Japanese Remember the Pacific War,Armonk,N.Y.)といった記述もあり,ぞっとしました。

 さて,こんなイントロを経た後は,「進化上の意義」ですとか,「なりかけの人類による適応行動」「ホモ・エレクトゥスの時代と気候」など専門的な記述が続きます。主として「古人類学」という学問分野に関する記述のようです。私の能力を遙かに超えた本を読んでしまいました。はは。が,面白かった。「160万年前」とか,「おそらく60万から40万年前のことであろう」などといった記述を読むと,「21世紀がナンボのもんなんだ?」と気が遠くなるようでした。星の話も面白いですが,人類史でも十分面白いですねえ。例によって基礎学力がないことが,大いに悔やまれましたけれども。

 ちょっと図版を引用(123ページ)。ホモ族の頭蓋骨の容量や形状の変遷を示した図。横軸の時間単位は100万年です。こういうのが大好きな方にはたまらない読み物と思われます。


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